神奈川県は、平成14年同和地区の生活実態調査を行いました。
  調査数値は、生活格差、就労や結婚などで問題は基本的に解決されています。基本的とは、差別が厳しい時代に育った高齢者(ここでは60歳以上)は同和対策の恩恵を受けることが出来ませんでした。一部にある格差は埋めることが出来ないものです。若年層にいくほど高学歴になり、結婚や就労などあらゆる生活分野で格差は解消されています。
 調査の幾つかを紹介します。(原文)

○人権侵害体験
 世帯主または世帯の代表者484人に対し、「あなたは今までに、同和地区の人で:あるということで、人権を侵害されたことがありますか」と質問し、人権侵害の体験:の有無を調べた。
 人権侵害が「ない」人は71.7%、「ある」人22.3%、「無:回答・不明」4.5%である。
 平成5年度同和地区実態把握等調査における全国の数値は、「ない」65.5%、「ある」33.2%であるので、本県地域住民の人権侵害体験は全国の数値より10ポイントほど低い。
 さらに、人権侵害体験のある108人について、「一番印象の残っているのは、いつごろ体験したものか」体験時期を問うたところ、「20年以上前」69.4%が最も多く、「5年以内」8.3%、「6〜10年前」6.5%、「10〜20年前」96.3%は、それぞれ1割以下である。
 平成5年度同和地区実態把握等調査における全国の数値は、「5年以内」21.8%、「6〜10年前」15.6%、「10〜20年前」23.4%、「20以上年前」38.6%であるから、本県地域の場合、過去における数値が高く、最近の数値が小さい。しかし「5年以内」の人権侵害も皆無ではないので、今後の教育啓発の課題は残されているであろう。

 人権侵害場面
  「どのような社会関係や場面で人権侵害を体験されましたか」という人権侵害場面では、「日常の地域の生活」56.5%が最も多く、次いで「職場や職業上のつきあい」14.8%、「結婚」7.4%、「学校生活」4.6%、「就職」0.9%、「その他」6.5%、「無回答・不明」9.3%となっている。
 平成5年度同和地区実態:把握等調査では、「結婚」24.2%、「日常の地域生活」23.6%、「職場のつきあい」21.2%、「学校生活」16.4%、「就職」6.8%、「その他」7.2%、「不明」0.7%であるので、本県の場合、一番印象に残っている人権侵害は「日常の地域生活」場面が多いことが特徴といえる。


○住居の状況
 住居の状況
 住居の所有関係をみると、持ち家が最も多く94.0%を占める。平成12年度国勢調査神奈川県全体の持ち家率は58.7%であるから、地域の持ち家率ははるかに高い。次いで、県市町営賃貸住宅が3.7%であり、神奈川県全体の8.0%とほぼ等しい。民営賃貸住宅及び間借りはそれぞれ0.8%ずっと、その割合は低い。

 住居の建築時期
 建築時期は、昭和56年〜昭和60年が最も多く18.6%であり、次いで昭和51年〜昭和55年15.9%、昭和36年〜昭和45年14.2%、昭和46年〜昭和50年11.1%、昭和61年〜平成2年10.5%となっている。他の区分はいずれも、10%未満である。約7割(70.3%)の住居が、昭和36年から平成2年までの30年間に建築されている。この期間に建築された住居の神奈川県全体の数値(平成10年度住宅統計調査)は、68.2%であるので、この数値自体には大差はない。しかし、昭和25年以前に建築された住居は、神奈川県全体では1.5%であるのに対し、地域では8.5%とやや高い。これは地域の住居の所有関係が、持ち家の多いことによるものと思われる。


○最終学歴
 15歳以上の世帯員1、891人の最終学歴(中退者は一つ下の学校卒業者に加える)を見ると、義務教育(小学校・中学校)修了者46.7%が最も多く、次いで中等教育(高校・旧制中学校)修了者37.6%、高等教育(短大・高専及び大学・大学院))修了者8.6%(短大・高専4.3%、大学・大学院4.3%)となってしいる。
 平成12年度国勢調査による神奈川県全体の学歴は、義務教育修了者16.13%、中等教育修了者44.0%、高等教育修了者39.9%(短大・高専16.0%、大学・大学院23.9%)であるから、地域世帯員の学歴は高いとはいえない。これも老齢人口の割合の高いことが原因の一つである。
 最終学歴を年齢別に見ると、義務教育修了者は、70歳以上84.2%、60歳代72.7%、50歳代48.1%、40歳代17.4%。30歳代13.9%、20歳代2.9%と、年齢が高い層ほど割合が高い。
 反対に、中等教育修了者(70歳以上11.0%、60歳代19.1%、50歳代41.0%、40歳代57.4%。31歳代60.4%、20歳代52.6%)及び高等教育修了者(70歳以上1,9%、60歳代2.4%、50歳代5.7%、40歳代14.9%。30歳代14.6%、20歳代16.6%)は、若い年齢層になるほど著しく増加している。
 中退者は32名であり、中退した人の率は2.3%である。学校種別では、中等教育中退者27名、高等教育5名(短大・高専3人、大学・大学院2人)である。
 専門学校・専修学校・その他教育訓練機関進学の構合
 専門学校等に進学した者は、61人であり、そのうちほとんどの人(59人、96.7%)は卒業している。専門学校中退者は2人である。


○就労の分布
産業分類(就労内容)
 主な仕事の産業分類では、製造業22.6%、サービス業22.2%、建設業13.1
3%、卸売・小売業・飲食店11.1%、運輸・通信業10.4%、公務5.8%となっている。
 他の産業は5%未満である。神奈川県民全体(平成12年度国勢調査)では、製造業18.7%、サービス業31.2%、建設業9.1%、卸売・小売業・飲食店22.8%、運輸・通信業7.1%、公務2.9%である。
 地域住民の場合、県全体と比較して、製造業、建設業、運輸・通信業、公務の割合が高く、反対にサービス業及び卸売・小売業・飲食店の割合は低いことが特徴である。
 また、学歴別に見ると、小中学校卒では、建設業が最も高く、23.5%、高校旧制中学校卒では、製造業が最も高く、28.3%、短大高専、大学・大学院卒では、サービス業が最も高く、それぞれ、34.9%、25.0%となっている。

 職業分類
 主な仕事の職業分類では、生産工程・労務作業者19.1%、専門的・技術的職業従事者18.3%、サービス職業従事者16.8%(含む保安職業従事者17.3%)、事務従事者11.5%、販売従事者9.0%、管理的職業従事者7.7%、運輸・通信従事者7.1%となっている。
 他の分類は5%未満の少数である。
 平成14年度度働力調査(全国)では、生産工程.労務作業者23.6%、専門的.技術的職業従事16.7%、サービス職業従事者(含む保安職業従事者)11.3%、事務従事者22.7%、販売従事者16.1%、管理的職業従事者3.2%、運輸・通信従事者3.4%である。従って、地域住民では全国よりも、サービス職業従事者(含む保安職業従事者)、管理的職業従事者、運輸・通信従事者の割合が高く、反対に、事務従事者、販売従事者、生産工程・労務作業者の割合が低い。


○配偶者
配偶者の状況
 15歳以上の世帯員1,391人について、婚姻状況を見ると、配偶者ありが55.5%と半数以上であり、死別10.1%、離別2.8%となっている。未婚者は27.7%である。
 次に、配偶者のいる(いた)人772人について、その配偶者の出生地を見ると、同和地区が60.2%、地区外29.0%、その他・不明10.7%となっている。,
 さらに、同一世帯内で婚姻関係にある現存夫婦326組について、出生地の組み合わせを見ると、夫婦とも同和地区生まれは31.9%、夫婦のどちらか一方が同和地区生まれ50.9%、夫婦とも同和地区外生まれ2.8%、不明14.4%となっている。

平成5年度総務庁生活実態調査による全国(関東)の数値は、夫婦とも同和地区生まれ57.5%(関東57.3%)、夫婦のどちらか一方が同和地区生まれ36.61%(41.1%)、夫婦とも同和地区外生まれ5.9%(1.6%)であるので、本県の同和地区・地区外間結婚は全国及び関東よりもかなり進んでいるといえる。 

 これを婚姻時期別に着目し、夫婦のどちらか一方が同和地区生まれの割合の変遷を見ると、昭和25年以前の結婚では27.5%(40組中11組)、昭和26〜35年39.6%(53組中21組)、昭和36〜45年54.8%(73組中40組)、昭和46〜55年51.2%(82組中42組)、昭和56〜平成2年67.4%(49組中33組)、平成3年以降78.3%(23組中18組)となっている。時代とともに地区・地区外間結婚が増加していることは明らかである。    
 また、夫の年代別に夫婦のどちらか一方が同和地区生まれの割合で見ても、70歳以上では37.8%(82組中31組)、60歳代44.3%(70組中31組)、50歳代56.2%(105組中59組)、40歳代59.6%(47組中28組)、40歳末満77.3%(22組中17組)と、若い世代になるほど地区・地区外聞の結婚の割合が増加している。
 このように見ると、部落差別の最後の壁といわれる結婚問題も、本県地域に.おいては問題解決に向けて前進しつつあるといえよう。