『十二夜』 お芝居を観る時、原作があれば読み、過去に上演されたものならば、その当時の記録など、手に入るものは必ず目を通してから…というのが通例でしたが、今回の『十二夜』は、何も頭に入れずに観ました。 どうしてヴァイオラはオーシーノーのことを好きになれたのだろう?という疑問。 オーシーノーは勿論すぐにオリヴィアを妻にしたいという気持ちもあっただろうけれど、それだけでなく、彼女に少しでも早く悲しみから立ち直って欲しいと願っていたのではないだろうか…?そのために自分が出来る事は…と考えた上での、このようなプロポーズだったのかも? シザーリオ(ヴァイオラ)はオリヴィアと同様に兄を失った悲しみを、身をもって知っていたから、オリヴィアの気持ちを察することが出来、その優しさからオリヴィアはシザーリオを好きになったのかもしれません。 そしてシザーリオという少年(男)になったことで、オリヴィアには見えなかったオーシーノーの少々乱暴で強引ではあるけれど、本当は優しくて、思いやりのある人なのだといった、彼の魅力を知ることが出来たのかもしれません。 今回の舞台の中で、時計という小道具がとても効果的に使われています。 わたしは時計を身につけるのが苦手なのですが、それでも時計自体は無いと、とても困ります。 正確な時を刻まなければ、時計はその本来の機能を果たしていないわけです。ところが物語の中では、すぐに止まってしまったり、狂ってしまいます。 ヴァイオラは父親の形見の時計を首に下げています。海水を吸って、止まってしまった時計に、道化のフェステ(左)が興味を示します。 オリヴィアの家の執事、マルヴォーリオの時計も安物で、すぐに止まってしまいます。生真面目過ぎて、トービーやマライアたちにからかわれてしまう、彼の時計は、まさに彼の性格までも表しているようです。 ヴァイオラは自分のついた嘘が元で、想う人(オーシーノー)には告白できず、想わぬ人(オリヴィア)から求愛され、がんじがらめになってしまった。それは止まってしまった時計のようでもあります。 フェステに壊れた時計を預けた頃から、ヴァイオラの運命が動き出します。兄のセバスチャンが街に現れ、そっくりな二人が至るところで騒動に巻き込まれるので、街の人たちは大混乱になります。 セバスチャンと再会することで、ヴァイオラは身分を明かすことになったけれど、もし再会出来なかったとしても、オーシーノーにホントのことを言ったのではないかな…と思います。 シザーリオと間違えてセバスチャンと式を挙げてしまったオリヴィアが、入れ違ったと知りながらも、そのままセバスチャンと一緒になると決心することや、オーシーノーがすぐにオリヴィアのことを諦めて、ヴァイオラとの結婚を決めるという辺りも、観劇中はいくらハッピーエンドだといっても、“おいおい、それじゃああんまりいきなり過ぎないか?”と、ついツッコミを入れてしまいました。 う〜ん、恋ってホントに不思議なものですね。
オリヴィアに恋するうちの一人、貴族のアンドルーと彼の愛馬・パカポコの関係も印象的です。 マルヴォーリオといつも一緒にいる、コマルヴォーリオは、あまりにマルヴォーリオが情けないので、家出をしようとします。それを、パカポコが見つけて“あんたが見捨てたら、マルヴォーリオは一人ぼっちになってしまうよ”と説得します。どんなにダメな人にも、一つくらいはいいところがある。そこを分かってあげなければと、気付いてコマルヴォーリオは家出を止めます。 観た日2000年7月14日(fri) |