『阿修羅城の瞳』あらすじ

 時は文政八年(西暦1825)江戸の町には千年前に滅んだはずの鬼が跳梁跋扈していた。

 初代から数えて十三代目、陰陽師・安倍晴明(平田満)を総領とした鬼退治の特務機関・“鬼御門”の切り込み隊長として怖れられていた病葉出門(市川染五郎)は五年前、鬼殺しに明け暮れる生活に嫌気をさし、鬼御門を脱退。身分を隠して、戯作者四世鶴屋南北(加納幸和)の一座に身を寄せていた。

 人気役者、望月高弥郎(渡辺いっけい)からの依頼、中村座の夏狂言『東海道四谷怪談』の構想を練る南北と出門の元に、五年前から過去の記憶を持たぬ女盗賊、つばき(富田靖子)が鬼御門の安倍邪空(古田新太)らに追われて逃げ込んでくる。
 一月前、つばきの書いた文で佃の戻り橋に呼び出された晴明が、殺害され、嫌疑がかけられていたのだ。
 つばきの美しいが、寂しく翳りのある瞳に心惹かれた出門は昔の同輩、邪空から逃がす手助けをする。

 邪空は鬼の美惨(江波杏子)らが蘇らせようとしている阿修羅王のことを知り、師である晴明の命を手土産に阿修羅の力を手に入れようと画策する。

 五年前、出門は鬼のアジトで一人の童女を斬った。童女は死の恐怖と憤りから、肩に椿の花のように紅い痣を持つ女に転生した。それがつばきだった。
 転生前の記憶を持たぬつばきは自分の素性を探すため、人家に忍び込み、古い文献や書物を漁り、安倍晴明に痣のことを聞くつもりだった。

 邪空に攫われたつばきを出門は身を挺して奪回する。しかし、出門の口から、五年前の話を聞き、つばきは童女の頃の記憶を蘇らせた。激しい感情が童女を女に変え、そして出門を恋しいと思う感情が今、つばきを阿修羅王へと転生させる。

 江戸の町は火に包まれ、天空はさかしまの阿修羅の城が姿を現す。
 出門は阿修羅王となったつばきとの決着をつけるために、さかしまの橋を渡り、城へと向かう。

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