泉鏡花の天守物語

あらすじ

 “千歳百歳に唯一度、たった一度の恋だのに”─泉鏡花の「天守物語」は、播州姫路白鷺城の天守閣に住む美しき魔性の姫・富姫と、若き鷹匠姫川図書之助による恋物語です。
 魔物が巣くうと恐れられ、誰も近づかない白鷺城第五重の天守閣では、天守の主富姫が、猪苗代から天を駆けて訪ねてきた妹分の姫君亀姫との懐かしの再会。他愛のない鞠つきを楽しむためにやってきた亀姫は手みやげをもってきます。供の妖怪朱の盤坊から差し出されたその品は、猪苗代城主の生首。富姫・侍女等一同はおいしそうな生首だと大喜びします。お礼に富姫は、白鷺城城主の秘蔵の白鷹を、鷹狩りから帰ってきた一行から奪い取り、亀姫に贈ります。この白鷹騒動を巡り、天守夫人富姫と鷹匠が出会うことになります。
 雪洞の灯りをたよりに天守へ現れた武士、名を姫川図書之助。鷹を失った咎により、一度は殿様より切腹を申しつかったこの若侍は、鷹の姿が消えた天守閣を見届ければ、その罪をゆるされるとあり、やって来たのです。当初富姫は図書を見咎めるのですが、訳を語る彼のすずしい言葉に感心し、ここへは二度と来ぬようにと諭して帰してやります。しかしその帰途、大入道に雪洞の灯りを消され、武士が段を転げ落ち片輪になるよりはと、命絶たれるのを覚悟のうえで再度現れる図書之助。彼の爽やかな心、美しく勇ましい立ち姿に心打たれた富姫は、たちまち恋に落ちてしまうのです。
 夢幻の超越的世界と現世とが交錯する天守閣に立つ富姫の恋の行方は……
(『天守物語』初演プログラムより)

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