『百鬼夜行抄』
あらすじ
飯嶋律(橘義)は、祖母八重子(植本潤)、父孝弘(水下きよし)、母絹(八代進一)と一緒に暮している、ごく普通の浪人一年生。しかしただ一つ、普通でないのが、物の怪を見ることが出来る見鬼(けんき)という能力があるところ。
律が幼い頃に亡くなった小説家の祖父蝸牛(中脇樹人)は、妖魔を操る能力を持っており、飯嶋家の庭にはひっきりなしに魑魅魍魎がやってくる。
律に退魔の能力が無いことを心配した蝸牛は、死後も様子を見にこの世に現われているが、父孝弘が死んだ際、その身体を、生前遣い魔として操っていた、龍の青嵐(水下きよし)に与え、守護させている。
第一夜 痣
律の従姉司(秋葉陽司)は、子供の頃飯嶋家の庭で奇怪な体験をした後に、背中に原因不明の痣が出来た。年が長じるにつれ痣は大きくなる。絹の兄で司の父覚(桂憲一)にも見鬼の力があるが、それを嫌い飯嶋家を継がなかったが、司の痣が物の怪の障りであることを知って司とともに実家にやってくる。律は蝸牛や青嵐の力を借りて司の痣を取り除く。
第二夜 石
飯嶋家とそっくりの箱庭が何者かによって持ってこられる。青嵐が餌食となる魔を引き寄せるために用意した、曰くのある品である。絹が小川の部分にマッチ棒の橋を掛けたことで、箱庭に閉じ込められていた人食い(中脇樹人)がこの世に解き放たれてしまう。人食いは箱庭を作った職人三郎(横道毅)の兄で、かつて自分の家族五人を惨殺し、その肉を食らった殺人鬼で、近所の家族四人を殺し、律にも襲い掛かってくる。
近所の円照寺の住職(原川浩明)に調伏され、苦しんでいるところを、律に助けられ、遣い魔となった妖魔の尾白(大井靖彦)と尾黒(嶋倉雷象)は箱庭の石となっていた三郎から事情を聞いて、律を救うため箱庭の中に飛び込む。
第三夜 花くらべ
頼朝の娘大姫(加納幸和)は、許婚の義高を父に殺された恨みから妖魔となった。義高が見鬼であったことを頼りに、義高の生まれ変わりを探しており、幼い律と出会い、義高だと思いこんで、以来魅入っていた。
大姫は海神の妖魔ちぬの君(溝口健二)から、海と陸の花くらべに誘われ、飯嶋家の庭の満開の桜の下で待ち合わせをする。
ちぬの君はまず、海の底の枯れることのない花を見せようと大姫を伴い、海へと消える。
第四夜 篳篥
翌朝、飯嶋家に絹の茶道の師範仲間青海浩子(山下禎啓)が訪れる。散り始めた桜の下、律は浩子の身体から潮の香りを嗅ぎ取る。浩子は娘笙子(松原綾央)を海の事故で失っている。生前娘がフルートの勉強のために留学を望んでいたが反対したことを後悔している。浩子は海岸で篳篥を拾い、肌身離さず持ち歩いていた。尾白と尾黒は浩子のために司を操り、笙子に似せ篳篥を奏でさせる。この篳篥はちぬの君がなくしたもので、その調べに惹かれ、ちぬの君が大姫と飯嶋家に戻ってくる。
ちぬの君は篳篥が返ってきたことと、演奏に感じ入り、浩子の願いを叶えようと約束する。全てが夢と思いこんでいる浩子は笙子の行方を尋ねる。笙子はちぬの君に命を救われ、下働きをしていた。再会を果たした親子の運命は?
第五夜 目隠し鬼
幼い頃の律(森川理文)は、魔除けのために童女の格好をさせられていた。ある日、遊びの最中に友達とはぐれてしまった律は不思議な少女と出会う。一緒に遊んでいるうちに、少女は律の目を奪ってしまう。
夢から目覚めた律は失明していた。蝸牛の幼馴染みの妖魔鬼灯(北沢洋)の仕業であった。鬼灯は悪戯好きで、蝸牛亡き後も、飯嶋家を訪れ、見鬼の力を持つ孫の律に、何かとちょっかいを出しては騒動を起こして楽しんでいる。
飯嶋家の庭に張られた結界に綻びが生じ、近頃頻繁に起こる怪異の原因がそこにあると鬼灯から知らされて、青嵐は尾白、尾黒とともに結界を修繕しようとするが、大姫一行が庭に現れる。
病院に向かって祖母が運転する車の中から、律が忽然と消える。鬼灯が律から盗んだ目を大姫に贈ったためで、律は大姫の元に連れ去られたのだ。
蝸牛との約束を守るため、大姫から律を取り戻そうと挑む青嵐。しかし、大姫の妖気は凄まじく、律の身が危険にさらされる。辛うじて律の目を取り戻すことが出来た青嵐は、律の命を救うため、我が身を盾に大姫と刺し違え、庭の中に消えてしまった。
|