『ハムレット』あらすじ

 デンマーク国エルノシア城で、イングランド国王からの書状を持参した使者と、ノルウェーの王子フォーティンブラス(伊沢磨紀)は、凄まじい光景を目にした。それは国王クローディアス(間宮啓行)、王妃ガートルード(岡まゆみ)、先王の王子ハムレット(植本潤)、家臣ポローニアス(佐藤誓)の息子レアティーズ(戸谷昌弘)の痛ましい死骸である。
 ハムレットの親友ホレーシオ(福井貴一)は、使者とフォーティンブラスに全てを語る。

 デンマークの先王(山崎清介)はかつてノルウェー王(彩乃木崇之)と領土を争い、一騎討ちで討ち取ったことのある優れた名君であったが、二月ほど前に突然身罷ってしまった。先王の弟クローディアスが新たに王に即位することが決まり、留学先から呼び戻されたハムレットは、戴冠式とともに母ガートルードがクローディアスと再婚することを知り、ショックを受ける。父王の死の悲しみにも増して、ハムレットは母親の不実不貞が許せず、鬱々とした日々を送っていた。

 戴冠式、結婚式の宴が執り行われる最中も、ノルウェーとの緊迫した関係は続いていた。先のノルウェー王の王子フォーティンブラスが兵を挙げ、デンマークに攻め入って来るのではないかという噂に、城壁の警備は厳重であった。
 深夜になると、城壁の上に先王にそっくりの亡霊がどこからともなく現れては無言のまま消えていくことを夜警の兵士がホレーシオに知らせる。その話を聞いたハムレットは是非会って話がしてみたいたいと深夜の城壁へと向かう。
 亡霊はハムレットの問い掛けに応え、自分は先王であり、クローディアスの謀略によって毒殺されたのだと告白し、ハムレットに復讐せよと迫る。
 ハムレットは先王の言葉に悩む。前々からクローディアスに疑念を抱いていたが、確固とした証拠を掴むため、ただ一人信頼できるホレーシオだけに本心を打ち明け、人前では異様な言動を取るようになる。

 人が変わってしまったハムレットを周囲の者は怪しんだ。クローディアスの家臣ポローニアスは、ハムレットが娘のオフィーリア(佐藤あかり)に失恋したからという説をクローディアスに提言した。オフィーリアは父や兄のレアティーズから例え王子からの求愛であっても、貞節を重んじるよう言われていた。そのためハムレットからの恋文を無視し、それが原因で奇行に走ったのであると考えたのだが、決定力に欠けていた。
 クローディアスはハムレットの学友であったローゼンクランツ(伊沢磨紀)ギルデンスターン(彩乃木崇之)を呼び寄せ探りを入れることにしたが、この二人に対してもハムレットはある時は狂人の如く振る舞い、また思い悩む様子を見せてはぐらかし、決して本性を見せようとしなかった。
 ローゼンクランツとギルデンスターンが旅の一座チコ・シュガーの役者をしていると聞いたハムレットは宮廷で芝居を演じるよう頼み、さらに台詞を書き加えるよう指示する。

 ポローニアスはハムレット乱心の原因が失恋であるという説を捨てきれず、ハムレットとオフィーリアを引き合わせ、二人の様子を物陰から伺うことにした。物思いに沈むハムレットはオフィーリアに会い、話をしていると突然罵倒して走り去った。クローディアスはハムレットの言葉に危険を感じ、国外に追放しようと考え始める。

 宮廷の大広間、王と王妃の前で芝居が披露されることになる。ハムレットはオフィーリアに対して機嫌良く振る舞い、オフィーリアはハムレットの心中が分からず混乱する。
 先王暗殺そっくりの芝居がハムレットの指示通りに上演された。毒殺の場面でクローディアスは狼狽し、芝居を止めようと玉座から駆け降りる。そして振り返ると玉座には先王の亡霊が見え、その場から立ち去った。ハムレットはクローディアスが先王を毒殺したことを確信する。

 ハムレットの数々の度を越した乱行を心配した王妃はポローニアスに相談する。ハムレットを王妃の居間へ呼び、事情を問い質し、ポローニアスは壁掛けの奥に隠れて様子を探ることにした。
 王妃の居間に向かう途中、ハムレットは必至に懺悔し祈りを捧げているクローディアスを見掛け、復讐のために剣を抜くが思い留まった。
 王妃はハムレットを諌めるつもりが、反対に先王への愛情と恩恵を忘れたことを責め立てられた。そして運悪く壁掛けの奥から聞こえた物音に、ハムレットはクローディアスが潜んでいると勘違いし、ポローニアスを殺してしまう。
 クローディアスはイングランド国王へハムレットが着いたらその首を刎ねるよう手紙を書き、ローゼンクランツとギルデンスターンを供に付けて国外へと追いやる。

 父ポローニアスの死を知り、正気を失ったオフィーリアは、花を摘み、歌を歌い、訃報を聞いて帰国したレアティーズと対面しても兄であることも分からなくなってしまった。
 そこにイングランドで処刑されたはずのハムレットから、クローディアスに宛てて手紙が届く。ハムレットは自分を処刑する旨の書かれた書状の名前の部分を書き換え、身代金目当ての海賊の船に乗って近く帰国することが綴られていた。
 クローディアスはポローニアスを殺したのがハムレットであることをレアティーズに明し、ハムレットが戻ってきたら、剣の試合で討つよう唆す。

 デンマークに帰ってきたハムレットは墓地で墓掘りと出会い話しているうちに、新しい墓穴が溺死したオフィーリアのために掘られていることを知らされる。葬儀の席でオフィーリアを抱き、慟哭するレアティーズの姿を見たハムレットは、自分のほうがオフィーリアを愛していたと叫び、二人は掴み合いの喧嘩になる。このことでレアティーズはさらに怨みを募らせる。

 ハムレットは宮廷に戻り、旅の間にあった一部始終をホレーシオに語った。
 航海の途中、フォーティンブラス率いるノルウェー軍がポーランドとの戦さに向かう様子を見て、彼のような人にデンマークを任せたいと思い、帰国の際には是非デンマークに寄って欲しいと伝言したこと。イングランド国王への書状の自分の名前をローゼンクランツとギルデンスターンに書き替えたことなどを話していると、レアティーズから剣の試合の申し込みが入った。
 レアティーズは剣先を丸めていない真剣にクローディアスから提供された毒を塗って試合に臨んだが、剣の腕では数段上のハムレットを傷付けることが出来ない。焦ったクローディアスは毒の入った酒をハムレットにすすめるが、何も知らない王妃ガートルードがハムレットの代わりに飲んでしまう。
 勝負が決まり、一瞬油断したハムレットは腕を斬られ、初めてレアティーズの剣が真剣であることを知り、剣を奪ってレアティーズに斬り付ける。
 母親が俄かに苦しみだし、クローディアスの腕の中で事切れる。
 レアティーズは酒の中に毒が入っていたこと、そして自分の剣に毒が塗られていたこと、自ら塗った毒によって間も無く死ぬこと。そして全てはクローディアスの策謀であることを証言して死ぬ。
 ハムレットはクローディアスを刺し、毒酒を飲ませて息の根を止め復讐を果たした。しかし毒が身体に回り始める。

 おりしもイングランド国王の手紙を携えた使者と、ポーランドから凱旋し立寄ったフォーティンブラスを迎える号砲が鳴り響いた。ハムレットはデンマーク王にフォーティンブラスを推し、ホレーシオに全てを託して息絶える。

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