温泉の科学5

           
             群馬大学 草津分院

4、温泉の副作用と安全入浴法 

 温泉にも副作用があります。湯中り(ゆあたり)、のぼせ湯ただれ酸性泉浴湯皮膚炎)などの言葉は耳にしたことがあるでしょう。 

★湯中り
 湯中り(ゆあたり)は温泉地ではしばしば見られる現象です。何日か温泉浴を続けると、倦怠感、微熱、食欲不振、頭重感がみられることがあります。自律神経の変調が原因といわれていますが、十分には解明されていません 。 

★のぼせ
 のぼせは入浴中または出浴直後に不快感、動悸、顔のほてりなどを感じることです。入浴により心拍出量が高まり脳に血液が多く行きすぎる結果です。
 逆に出浴後には、水圧がとれて頭にのぼっていた血液が下半身へ戻って行き、しかも温熱で拡張した血管に集まるため、入浴前よりも多くの血液が下半身に移動するので、低血圧となり脳貧血の状態になります。その結果、めまいがおきます。

★血栓症
 血栓症とは血管に血の塊が詰まって、血液がそこから先に循環しなくなり、血行が絶たれた臓器が腐ってしまう病気です。心臓の冠状動脈が詰まれば心筋梗塞、脳の動脈が詰まれば脳梗塞となります。

    
    赤い血液の流れている血管に血の固まりができて
    (血管に栓をして)血管を塞ぎかけている。

 血栓症は動脈硬化でボロボロになった血管壁に、「何かの拍子で」血液が固まり付いていってしまうことが直接の原因です。 
 「何かの拍子」の一つに無理な入浴がありますーーー。
 小さな血栓でしたら血管内皮から血栓を溶かす物質が分泌され、血栓症は発生しません(線溶機能)。

 血管内皮の上では絶えず、微小血栓ができては溶けていってます。この血液凝固(血が固まること)と線溶機能(血の固まりが溶けていくこと)のバランスがくずれると血栓ができて血管が詰まってしまいます。

      

    
   血管壁の上では常に血栓ができては(凝固)、溶けて(線溶)いってます。
   このバランスが崩れると血栓ができあがります。
         (図中の赤玉:赤血球、白玉:白血球、黄玉:血小板、青玉:線溶物質
   血管壁(内皮)は血を固まらせる物質や溶かす物質を数多く分泌しています。

           →血小板の補足説明へ

 温泉地では観光旅行者の急性疾患、特に重篤な心筋梗塞脳梗塞の発症が問題になっています。強行日程で、狭いバスの中で窮屈な姿勢を強いられることもその原因の一つとも考えられています。 

 

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