22. 火山ガス

22)温泉地で噴出してるガスは危険ですか?

危険なものもあります。 
もちろん危険地域は立ち入りは禁止されていますが、火口や噴気孔、まれに温泉宿でもガス中毒などが発生していますので、注意してください。

マグマには多量のガスが含まれていて、火山ガスとして地表に噴出します。火山ガスの90%以上は水蒸気ですが、二酸化硫黄(亜硫酸ガス) SO2, 硫化水素 H2S, 二酸化炭素(炭酸ガス) CO2 なども含まれています。

火山では当然ながら有毒ガスも噴出します。二酸化硫黄硫化水素一酸化炭素は地表に直接噴出していることもあり(噴気孔)、たいへん危険です。昔から、有毒ガスのでる地域は殺生ヶ原とか地獄谷とかいう名前で呼ばれています。

   
       草津白根山 殺生ヶ原 (有毒ガス発生時はサイレンが鳴ります)   

        
       立ち入り禁止の警告        噴気孔

★高崎女子高校の事故
30年ほど前、群馬県の名門校、高崎女子高校の学生さんが登山中に硫化水素ガスを吸い込んで数人が死亡するという痛ましい事故がありました。山中から群馬大学草津分院に搬送されてきたそうですが、すでに心肺停止の状態だったそうです。朝、元気なわが娘を送り出したばかりのご両親が次々と駆けつけられてから、院内には悲しい泣き声がいつまでも響き渡っていたそうです。

その後も数年に一度くらいは登山者やスキーヤーなどが火山ガスの犠牲になっています。
過去の事故報道をいくつか列挙してみます:

火山ガス事故

1971年12月 草津白根山 スキーヤー6人死亡  H2S
1976年 8月 草津白根山 登山者3人死亡  H2S
1985年 7月 立山地獄谷 登山者1人死亡  H2S
1990年 3月 阿蘇山中岳 観光客1人死亡  SO2
1997年 7月 八甲田山 登山者3人死亡  CO2
1997年11月 阿蘇山中岳 観光客2人死亡  SO2

温泉旅館でのガス中毒

1952年 3月 箱根湯の花沢温泉  H2S
1969年 8月 宮城県鳴子温泉  H2S
1972年10月 栃木県那須温泉  H2S
1986年 5月 秋田県玉川温泉  H2S
1989年 8月 鹿児島県霧島新湯温泉  H2S
2000年 2月 秋田県湯沢温泉  H2S

いずれも有名な温泉で、管理もしっかりと行われているはずのところですが、大自然の力には及ばないのかもしれません。
自然は自然を知る者には天使のように微笑みますが、自然を知らぬ者には悪魔のように襲いかかります。

名湯と毒ガスは紙一重なのでしょうか。
不謹慎な表現ですが、「河豚は食いたし、されど命は惜ししーーー」と通ずるものがあります。
      名湯に入りたし、されど命は惜ししーーー。

 

★ロアーニオス村の事故
海外の火山ガス事故ではロアーニオス村(カメルーン)の事故が有名です。
1986年8月21日夜、西アフリカのカメルーンにある火口湖が噴火しました。その火口湖から1.5kmほど離れたところには人口700人ほどのロアーニオス村がありました。
 正確に言うと、この湖の底からは絶えず二酸化炭素が噴出していて湖水には常に炭酸ガスが大量に溶け込んでいました。この日は湖底のマグマが湖水を加熱し過ぎたために、湖水に溶存していた炭酸ガスが飽和濃度を越えてしまいました。炭酸ガスは湖水から一挙に空気中に大量放出されたそうです。この大量の炭酸ガスが谷を伝わって(空気より重いので)1.5km下流にある眠りについたばかりのロアーニオス村におりてきました。炭酸ガスは無味無臭で感知できません。一夜明けると700人の村はほぼ全滅し、生存したのはわずか2-3人だったそうです。近隣の村も含めると死亡者は1,700人以上もでたそうです。

 

火山ガスについて

二酸化硫黄
亜硫酸ガス
  SO2
分子量
 64.06
気体密度 
 2.927
感知濃度
   3ppm
脱出可能濃度
  100ppm
即死濃度
  1000ppm
強い刺激臭をもった気体で、10ppm程度で咳や涙などの粘膜刺激症状が出現。
症状は気道や肺の粘膜障害によるもので、最終的には肺水腫を起こして死亡します。
硫化水素
  H2S
分子量 
 34.08
気体密度
 1.5392
感知濃度
   0.1ppm
脱出可能濃度
  100ppm
即死濃度
  800ppm
卵が腐ったような臭いで、10ppm程度で眼炎などの粘膜症状が出現。
細胞の内呼吸をおこなっているチトクローム系酸化酵素のFe3+と結合して、細胞の呼吸を阻害します。青酸(シアン)と同じメカニズム。酸素を大量に吸っても細胞が利用できないため息苦しく呼吸不全で死亡します。
二酸化炭素
 炭酸ガス
  CO2
分子量
 44.01
気体密度
 1.977
感知不能
脱出可能濃度
  7%
即死濃度
  30%
無味無臭で大気中に0.03%含まれる。
炭酸ガス濃度が高まり酸素が追出されて酸欠状態となり死亡します。

火山ガスは救出に行った人もガス中毒となり、2次、3次被害を起こしやすいので注意が必要です。日本の火山に多い上記3種のガスはいずれも空気より重いので、風の無い時に噴気孔の下やくぼ地、谷に入るのは危険です

 

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