24. レジオネラ肺炎

24) レジネラ肺炎というのは何ですか?

レジオネラLegionella pneumophilaという細菌の感染による肺炎です。
肺に親和性があり、ほとんどが肺炎の形で感染します。感染力は弱く、健康な人にはあまり感染しません。幼児、高齢者や慢性肺疾患では感染しやすくなります。
人から人へは感染しません

レジオネラ属菌は土壌、河川、湖沼など自然界に広く生息しますが、菌数はあまり多くないので通常は感染の危険はありません
クーラー冷却水塔、循環式浴槽、循環式給湯器、加湿器、噴水などといった水を取り替えていない、あるいは消毒していない環境で大量増殖することがあり、これらが感染源となります。
レジオネラはアメーバなどの原虫に寄生して増殖するのでアメーバのいる環境では爆発的に繁殖します。

在郷軍人病ともいわれています。1976年、米国の在郷軍人(退役・予備役軍人)の大会で、謎の肺炎が集団発生し患者225人、死者34人という大惨事になりました。この時の肺炎患者から検出された細菌がレジオネラと命名されました。会場となったホテルの空調設備からの感染と推定されています。レジオネラ(Legionella)とは在郷軍人をレジオンLegionということから名付けられました。その後40-50の菌種があることが判明してレジオネラ属菌といわれています。

            

★レジオネラ属菌の特徴
@内毒素endotoxin、外毒素exotoxin、その他にも各種蛋白分解酵素などの毒素を産生、分泌します。
空気中に浮遊しているレジオネラはまず肺に定着し増殖して肺炎を引き起こします。次に様々な毒素を産生、分泌して肝臓などの内臓を障害していきます。その結果、肝機能障害血液障害凝固障害(DIC)などを合併していきます。
A β-ラクタマーゼを産生します。
β-ラクタマーゼとはペニシリン系、セファロスポリン系抗生物質の基本骨格となる構造(β-ラクタム環)を壊してしまう酵素です。β-ラクタマーゼを産生する細菌には普通の抗生物質が効きません。クラリスロマイシン、エリスロマイシン、リファンピシンなど毛色の変わった抗生物質を投与しないと治りません。
普通の肺炎だと思って普通の薬を使用してもレジオネラ肺炎は良くなりません、どんどん進行していきます。
またレジオネラは細胞内で増殖するので、細胞膜を貫通しにくい抗生物質は効きにくくなってしまいます。
B マクロファージ内で増殖可能です。
レジオネラは細胞内寄生菌で、アメーバ、白血球、貪食細胞などの中で繁殖していきます。もちろん細胞の中だけでなく細胞の外でもよく繁殖します。
マクロファージ(貪食細胞)は体内の異物や病原微生物を食べて壊していき、生体を感染から防御してくれます。しかしレジオネラ属菌はマクロファージに食べられても死にません、しぶとく生き残って増殖していきます。

★臨床像 
レジオネラ属菌で汚染された微粒子状(直径5ミクロン程度)の水滴を吸い込むことにより肺に感染します。感染力は弱く、日和見感染(抵抗力の弱った人にだけに感染する)と位置付けられています。
人から人へは感染しません

潜伏期間:2-10日
症状:肺炎型非肺炎型があります。
肺炎型では全身倦怠感、頭痛、筋肉痛で始まり、高熱、呼吸困難、下痢、意識障害がみられ、重症で死亡率は高いです。
咽頭痛や鼻水などのカゼ(上気道炎)様の症状はありません。
神経症状
が特徴的で、健忘、幻覚、振
戦、小脳失調などがあらわれます。
非肺炎型(ポンティアック熱型)では発熱、寒気、筋肉痛がありますが、比較的軽症です。カゼ様の症状で無治療でも数日で治っていきます。
合併症:レジオネラ菌の産生する毒素による、肝障害貧血白血球減少血小板減少播種性血管内凝固障害(DIC)などがあります。
治療:普通の抗生物質は効かないので、クラリスロマイシンエリスロマイシンリファ
ンピシン
などの抗生物質を投与します。

           

★温泉とレジオネラ属菌
レジオネラ属菌はクーラー冷却塔や人工温泉水の中で増殖します
温泉水は地表に湧出した時点では無菌状態です。天然の温泉水に人間が余計な加工をするからばい菌が生えるのです。人災といってもいいでしょう。
温泉には湧出した天然の温泉をそのまま湯船に流して溢れた温泉水はそのまま捨てるという当り前の「掛け流し式温泉」と、垢やばい菌で汚染された湯を循環させ濾過してまた湯船に流し込むという信じがたい「循環式温泉」があります。さらに愕然とすることに、溢れた湯を濾過さえもせずにそのまま別の浴槽や露天風呂に流し込む「廃湯利用式」などというのもあります。井戸水や水道水を混合する「混合式」なんてのもあります。
もちろん「掛け流し式」以外は誰がどう考えても「温泉」とは到底いえません
まさに人工温泉水、ニセモノ温泉水です。「掛け流し」以外の余計な加工をしているからばい菌が大量に発生するのです。レジオネラだけではありません、大腸菌なども大量に繁殖してきます。

医学書には、「レジオネラ属菌は温泉水に繁殖する 」と記載されていますが、これは誤りです。
天然の温泉水、湧出したばかりの温泉水、掛け流し式温泉にはレジオネラ属菌はいません!!
レジオネラ属菌は人工温泉水に繁殖する」 というのが正しい記載です。

このように循環式温泉には危険が潜んでいます
   循環式温泉の全てが危険というわけではありませんーーー
   最近は温泉水はよく消毒されて塩素臭すら漂っていますーーー

特に打たせ湯気泡浴などでは微粒子状になった汚染水が浴室に充満していますので、さらに一層危険です。
微粒子状になった水滴は肺の奥底まで侵入していきます

 

★最近のレジオネラ肺炎の事件

 年 月  施 設  方式 患者 死者  転 帰
 14年7月 宮崎県日向市
日向サンパーク温泉
循環式 295  8 保健所係長自殺
営業停止
 14年8月 鹿児島県東郷町
東郷温泉ゆったり館
循環式   4  1 町長(社長)辞任
掛流し式に変更
 12年6月 茨城県石岡市
石岡ひまわり館
循環式  45  3 業務上過失致死傷で送検
営業停止
 12年3月 静岡県掛川市
つま恋温泉森林之湯
循環式  23  2 業務上過失致死傷で送検
自主休業

★なぜレジオネラ肺炎が最近増えてきたのでしょうか?
@ 経営優先、保健衛生無視
レジオネラ肺炎の発生には利用者の健康を無視した経営優先の姿勢が見え隠れします。少ない湧出湯量なのに大勢の客を受け入れたり、費用や手間のかかる感染症対策をなおざりにしてきたことに大きな問題があります。
A循環式温泉の急増
ふるさと創生事業で造られた温泉のほとんどは循環式です。物理学の法則により、地下1000mも掘れば25℃以上の地下水が得られます。これは現在の温泉法では立派な「温泉水」となります。この少ない湯量を循環して再利用すれば温泉業は成立します。
レジオネラの発生は汚染された湯水を再び湯船に戻すという循環式が最大の原因です。消毒や濾過をするといっても限界があります。
B大浴場嗜好
客が大浴場や大露天風呂を熱望することもレジオネラ肺炎増加の一因です。小さい浴槽で湧出湯量に見合った身の丈の営業をしてた温泉宿はレジオネラ属菌とは無縁でした。しかし多量の客を消化するために大浴場をつくり、不足分の温泉水は循環式にして調達したためにレジオネラ属菌が繁殖しはじめたわけです。
C打たせ湯、気泡浴などの開発
これも客の要望によるという側面があります。打たせ湯や気泡浴では空気中に微粒子状になった水滴が散乱します。汚染された温泉水であれば非常に危険です。直径5ミクロン以下になった微粒子、エアゾルは細気管支まで容易に到達します
そもそも打たせ湯なんてのは大量の湯を使いますから、余程の湧出湯量の温泉地でなければ怪しい(循環式)と思っていい。

★レジオネラ属菌から身を守るために:
1. まず自分自身で循環式か掛け流し式かを尋ねてください。
2. 湧出湯量以上の大浴場や露天風呂があるところは怪しい。
3. 湧出湯量が少ないのに打たせ湯があるのは怪しい。
4. 湯船から温泉水が溢れて流れ出ていないのは明らかに循環式です。
5. 浴槽内に湯の取り込み口(排水口)があれば循環式です。
6. 塩素臭のする温泉はもう最低最悪です。
  循環式で貯湯槽内の温泉水を塩素消毒しているのです。

循環式温泉のすべてが危険というわけではありませんが、構造的にレジオネラ属菌が爆発的に増殖しやすくなっています。
かえって塩素臭が強くする温泉ほうが安全かもしれませんがーーー、これなら家庭風呂に人工入浴剤でも入れたほうがまだましではないでしょうか???

 

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