伝統的民家に泊まる(1) <兜造り多層民家−山形県田麦俣>


平側にも採光と煙出し窓が見られる 妻側から見た兜造り

☆かやぶき屋(民宿)

標準料金 1泊2食付 6,500円(込込)
住所電話 〒997-05 山形県東田川郡朝日村大字田麦俣字七ツ滝135 TEL(0235)54-6103
建物 兜造り多層民家で江戸時代後期200年ほど前の建物と推定される。
特徴 当初は寄せ棟造りであったが、明治時代になって養蚕が盛んになると、屋根が改造され、妻側は兜造りに、平側にも採光と煙出し窓が作られて、今見られるような風格のある建物になった。
 田麦俣集落は六十里越街道の要所で、江戸時代に湯殿山への参拝が盛んになると、宿場的性格を帯びた。昔の兜造り多層民家の内部は1階が主に家族の居住用、2階が下男たちの居住用と作業場・物置、3階が養蚕と作業用の「厨子」、さらにその上が物置用の「天井厨子」となっていた。現在、「かやぶき家(民宿)」では1階に客間が4室と家人の居室があり、2階が家人の子供部屋になっている。その中で、この地方独特の茅葺き民家が建てられるようになった。しかし、現在田麦俣に現存する兜造り多層民家は隣の県重要文化財に指定されている「旧遠藤家住宅」と2軒だけになってしまい、大変貴重なものである。

<宿泊記録>

囲炉裏

 1997.5.3(土)  1泊2食付6,500円(込込)で泊まる。

 時間が遅くなったので、国道112号線に道をとり、一路、田麦俣を目指す。西川町の水沢あたりから山がせまってきて、前方には月山連山の雪をいただいた姿がみられ、山中の谷間には残雪がいたるところに見られるようになってきた。その中をかなり走ったところで、渋滞とぶつかってしまった。なんでも橋が工事中で、片側交互通行とのこと。宿へ到着する時間が気がかりだったが、なかなか進まず、だいぶ待たされて、やっと6時少し前に民宿「かやぶき家」にたどり着いた。この建物はすごい。この地方独特の茅葺きの多層民家だ。それが、2軒並んでいて、その一方が今日の宿だった。私はもうこの姿を見ただけで、とても気に入ってしまった。その重量感といい、色合いといい、曲線といい....感動するほど美しい屋根だ!連休中ということで、満員で、一人旅の私が通された部屋は3畳間だったが、寝るとき以外は、囲炉裏のある広間でくつろいでいてとのことなので、別に苦にはならなかった。風呂も混み合っていて、囲炉裏端で同宿となった年配の2人の男性と話していて、やっと順番が回って来た。外観に似合わず、風呂は新しいポリ浴槽だったが、長旅の疲れを癒すには程よい湯 加減で、汗を流した。その後、風呂から上がってすぐに夕食となった。囲炉裏端に席が作ってあって、山菜や川魚など地元で採れたものや自家製の珍しい料理がたくさん並んでおり、岩魚が串刺しとなっていて食べてもらえるのを待っている。その威容に再び、感激してしまった!こんなに食べさせてもらっていいのだろうか?しかも、この低料金で...。さっそく、お酒を冷やでたのんで、飲みかつ食べはじめた。同宿の人達ともなごやかに談笑しながらの楽しい夕餉となった。後は部屋に戻り、テレビを少し見て寝る。

 翌朝は6時すぎに起床し、6時半すぎから散歩に出ようとしたが、少し雨が降っていたので、宿の傘を借りていくことにした。まず、この多層民家の外観を何枚も写真におさめ、村落を気儘に歩いてみる。斜面に民家がある程度の間隔をおいて建ち、その間を車一台通れるほどの道がカーブを描きながら上っている。以前は、村中が茅葺きの多層民家だったとのことだが、維持管理がむづかしいとのことで、トタンで覆ったり、建て替えたりで、茅葺き屋根は無くなってしまっていた。屋根の葺き替えに何百万円もかかり、葺き替え職人もほとんどいなくなり、材料の茅も手に入りにくくなっているとのこと。民宿の主人は村の古老から手ほどきを受けて、自分で少しずつ葺き替えていると言う。たいへんな努力だと思う。人の生活は変わりつつあるが、自然は昔のままに残されていて、渓谷は深く、流れはいくすじもの滝となって、すばらしい景観を形作っている。花は咲き、新緑も目立ってきて、今が一番良い景色かも知れない。充分風景を堪能して、7時半前に宿に戻ってきた。また、囲炉裏端に座り、同宿の年配の男性と話をし、おいしい朝食(地場産のきのこ類が美味だった)をいただいて、いった ん部屋に戻り、旅日記をしたためてから9時に出立した。そして、この宿で管理している隣の重要文化財指定の旧遠藤家住宅を見学してから、田麦俣を離れ、湯殿山へ向かった。


豊富な量と珍味のそろう夕食 地元の食材を生かした朝食

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