<私の好きな岬> 


☆岬について

 辞書的に言うと「海・湖に突き出た、陸地の先端」ということになりますが、旅の感覚でとらえると、他の要素が加わってきます。
第1に、交通の不便なところが多いということです。鉄道で直接行けるところはほとんどありません。バスや自家用車で行きますが、車を下りてからけっこう歩かなければならないところが、少なくありません。徒歩1時間以上なんてところもあります。それだけさいはて感が強いということになります。
第2に、絵になるということです。海に望んで岩礁があり、灯台があって見晴らしがよく、解放感があります。
第3に、エキゾチックな感じがするということです。岬に近くなると、海流の関係で、植生が変わるところが多く、急に異国に迷い込んだ感じのするところがあります。
 以上の要素を備えた岬は旅行地として最も旅情を味わえるところと言えるのではないでしょうか。


☆私の好きな岬六題

私の好きな岬の地図

 私が今まで行った中で、「最果て感があり」、「絵になり」、「エキゾチック感がある」の三要素を備えた岬を6つご紹介しましょう。 

 その1は、佐多岬(鹿児島県)です。九州最南端にあり、鉄道線から離れていて、行くのがたいへんです。バスで3時間以上揺られて、下車後、椰子やモンキーバナナの林のなかを上り下りして、30分は歩きます。それだけに最果て感は強く、展望台から、屋久島、種子島などの南の島々を望むと「ヤッタ!」という感じになります。 

九州最南端の佐多岬(鹿児島県)

 その2は、足摺岬(高知県)です。太平洋の黒潮が直接ぶつかる臼ばえというところが近くにあり、南国ムードが漂っています。田宮虎彦の小説『足摺岬』でも有名な、自殺の名所となっている断崖絶壁があり「飛び込む前に電話をください」という立て札が立ち、無料電話があります。モダンなロケット型の白亜の灯台が立っていて、水平線が丸く見えます。 

足摺岬灯台 足摺岬

 その3は、襟裳岬(北海道)です。ここも不便な所で、帯広からだとバスで3時間以上かかります。森進一のヒット曲で、「なにもない春です」と歌われているように、植生が乏しく、荒涼とした感じがします。遊歩道を行けば岬の突端まで行くことができ、そこの岩礁にはゼニガタアザラシが生息していて、北海道らしさを感じます。 

襟裳岬 襟裳岬灯台

 その4は、都井岬(宮崎県)です。太平洋に突きだしたこの岬からの景色はすばらしいものがあります。ここの灯台は常時公開されている参観灯台なので、上まで登って、この眺望を堪能することが出来ます。また、資料展示室も併設されているので、いろいろと灯台の歴史や機能についても学ぶことが出来ます。しかしこの岬の大きな特徴は、「御崎馬」と呼ばれる野生馬が生息していることです。この馬、体高は130pと小柄で、脚の割には胴長で、ずんぐりとした体つきです。馬が草をはんでいる姿を見ただけでほのぼのとした気分になれます。

都井岬灯台 御崎馬

 その5は、地蔵崎(島根県)です。日本海を見渡す大パノラマは感動的なもので、晴れ渡っていれば隠岐島さえ見えます。美保関灯台は白色円形の石造りで、エキゾチックな感じがしますが、「世界灯台100選」にも選ばれている日本を代表する灯台なのです。以前の灯台守の宿舎が改造されて、灯台ビュッフェとして営業していましたが、今は休業中です。尾根伝いの遊歩道を3q余り歩くとかつての航路標識木ともなっていた関の五本松で初代、2代と枯れてしまいましたが、現在は3代目が植えられています。この公園からみる景色もすばらしいものです。

地蔵崎の美保関灯台と初代関の五本松(島根県)

 その6は、経ヶ岬(京都府)です。日本海に突きだした丹後半島の突端にあり、たどり着くまではたいへんで、灯台へは駐車場からも片道15分ほど歩いて登らなければなりません。しかし、海抜140mの断崖絶壁の途中にある経ヶ岬灯台からの眺望はすばらしいのです。京都百景にも選ばれていますし、1998年(平成10)11月1日の第50回灯台記念日の行事として選定された「日本の灯台50選」にも入っています。しかも、この灯台は、全国に6つ。(他は、室戸岬灯台、沖の島灯台、角島灯台、出雲日御碕灯台、犬吠碕灯台)しかない最高級・第1等レンズ(フランス製)を使用した第1等灯台で、約41km先まで届く豊富な光量を誇っていますし、木下惠介監督の映画「新・喜びも悲しみも幾年月」(1986年(昭和61)制作、主演は加藤剛と大原麗子)の舞台にもなるなど、話題にも事欠かないところです。

経ヶ岬灯台 経ヶ岬からの眺望

 その他にも、旅情豊かな岬がいくつもありますのでぜひ旅の途中に立ち寄ってみてください。

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