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アリョーシャと一緒にプリンを食べよう


皆さん、思い出して下さい。感動的なラストシーン 「カラマーゾフ万歳!」 の数行前のアリョーシャのセリフ。
「○○を食べるからといって、気にすることはないんですよ。」
…覚えていませんか? それでは私の最初に読んだ原卓也訳を抜書きしてみましょう。

原卓也訳 ■ 新潮文庫 (下) P491,P496
「なんだか変ですよね、カラマーゾフさん、こんなに悲しいときに、突然ホットケーキか何かが出てくるなんて。わが国の宗教だとすべてが実に不自然なんだ!」
「鮭(さけ)の燻製(くんせい)も出るんだって」 トロイの創設者を見つけた少年が、突然、大声ですっぱぬいた。
「僕はまじめに頼むけどね、カルタショフ、ばかみたいな話で口出ししないでくれよ、特に君と話してるんでもなけりゃ、君がこの世にいるかどうかさえ知りたくもないような場合には、なおさらのことさ」 コーリャがその方を向いて苛立たしげにきめつけた。
《略》
「さ、それじゃ話はこれで終りにして、追善供養に行きましょう。ホットケーキを食べるからといって、気にすることはないんですよ。だって昔からの古い習慣だし、良い面もあるんだから。」 アリョーシャは笑い出した。

私が読んだ時は「ホットケーキ」だったのです。この時は特別気にすることもなく、読み飛ばしていました。
ところが、先日読んだカラマーゾフの兄弟 《ジュニア版》 (金の星社 / 米川正夫 , 鎌原正巳 訳) では「プリンを食べましょう。」となっていました。

pudding…プリン?

pudding、これのこと? だとしたらホットケーキは何???
―― ということで、今回ちょっと調べてみることにしました。

  プリンって何?   ブリヌイを作ってみよう!   アリョーシャと一緒にプリンを食べた?!


 

プリンって何?

――最初に、恒例の翻訳比較を行ってみましょう。

新潮文庫原卓也訳ホットケーキ
金の星社米川正夫・鎌原正巳訳プリン
岩波書店米川正夫訳薄餅 (ふり仮名:プリン)
河出書房新社米川正夫訳ブリン (薄餅)
講談社北垣信行訳薄餅 (プリン)
筑摩書房小沼文彦訳パン・ケーキ
中央公論社池田健太郎訳ブリン
集英社江川卓訳ブリン (ホットケーキふうの薄焼きの菓子)
角川書店中山省三郎訳揚煎餅

以上を見ますと、「 プリン = ブリン ≠ pudding(プディング) 」 と考えるのが正しいのではないかと分かります。そしてそれは 薄餅 であり、ホットケーキふうの薄焼きの菓子 である、と。

pudding … これではなかったのですね(笑)
たまたま2度目に目にしたのが金の星社版であったことが、今回不思議に思った原因だったようです。他の訳では特に疑問に思うような訳ではないですね。

―― でも、もう少し続けますよ。

念のため、原語を確認してみましょう。

◎ блин [ブリーン] (白水社 / パスポート 初級露和辞典 より)
(ロシア風の)クレープ、ブリン(ジャム、スメタナ [サワークリーム] 、溶かしたバターあるいは酢などで供する)。

…はい、ブリンで大丈夫です。ロシア風のクレープということも分かりました。
では、この 「ブリン」 とそれに続く 「〜だって昔からの古い習慣だし、良い面もあるんだから。」 とのセリフの関係はどのようなものなのでしょうか。
それは、集英社 / 江川訳 の注解に書いてありました。

江川卓 訳 ■ 集英社 世界文学全集19 P875
古いスラヴの祭りにマースレニツァがあり、これは西欧の感謝祭、カーニバルに当たるが、このときにブリンを焼いて食べる習慣がある。このマースレニツァはもともと春を迎え、農耕の開始を告げる祭りで、そのために太陽に似た形のブリンを作るのだという説もあるが、このエピローグの文脈では、キリスト教が入って以来(異教的要素も残っている)、マースレニツァの第一日に両親の霊を供養するしきたりができたこと との関連で考える方がよいだろう。ブリンの最初の一枚は物乞いに与えるしきたりもあった。同時に一月六日からこのマースレニツァまでは結婚式がもっとも多く行われる時期で、子孫繁栄を願う祭りの意味もあった。

「何で、ブリンを食べないといけないんだ。謝肉祭 (マースレニツァ) でもないのに。」 というコーリャに対し、「マースレニツァには騒ぐだけでなく、両親 (ここではイリューシャ) の霊を供養するしきたりもあるのですよ。」 とアリョーシャが返しているのだと、私は解釈したのですが…正しいところはどうなのでしょうか?

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ブリヌイを作ってみよう!

ブリヌイ そこまで分かると、今度はアリョーシャと一緒にそのブリンを食べて「ウラー、カラマーゾフ!」と叫んでみたくはなりませんか?
…なりますよね。>強引に。
その前に、実際ブリンとはどのようなものなのでしょうか。
現物を食べた事はありませんが、レシピ通りに作ってみました(笑)
← ロシア料理では ブリヌイ(блины=複数形)と呼ぶのが普通のようです。1枚では「ブリン」です。以前NHKのロシア語会話では「ブリンチキ」と注文していたような…

では、皆で「ウラー、カラマーゾフ!」と叫ぶためにも、早速作りましょう!
※ 2011年1月3日 レシピを以下の自己流に変更しました。
カラマーゾフのHPを作ってから私はロシア料理教室へ通い始め、ロシア人の先生にブリヌイの作り方を何度も習いました。今ではそのレシピを元に配分を調整した自己流で作っています。
(先生のレシピは生地にヨーグルトを入れないのです。)
美味しい…というか、作っているのが楽しいので、ぜひお試しください。

ブリヌイです 《 材料 》 ※ 約4人分(左の写真は半分の量です)
 薄力粉 … 350cc
 牛乳  … 300cc
 卵   … 1 個
 砂糖  … 大さじ 1
 塩   … 小さじ 1/2
 サラダ油・重曹(無くても可)・酢 … 適量
 溶かしバター … 適量
 ※ その他、上にのせるトッピングを色々用意

《 作り方 》
少しずつ入れていきます
1.牛乳を湯煎して人肌程度に温め、そこに薄力粉を少しずつ振るいにかけながら混ぜていく。
  ダマにならないように注意!

小さじにのせた重曹
2.1に塩・砂糖・サラダ油、酢で溶かした重曹を入れ、ラップをして10分ほど置く。
  ※ 重曹は、スプーン(写真は小さじ)の上で耳かき1杯程度の量を僅かなお酢で溶かし(泡が出て
  来る)、1に入れる。

10〜15センチ位が包みやすいと思います
3.熱したフライパンに油を薄く塗り、クレープのように薄く焼く(両面)。
  ※ フライパンを回しても生地がのびない場合は牛乳や水で薄め、逆に生地がゆるい場合は小麦
  粉を追加して生地を固めにし、最初の数枚を焼きながら生地の調整をとると良い。
  >重曹の発酵具合によって毎回違ってくるので。

出来上がり!
4.仕上げに溶かしバターを両面に塗って、少し焦げ目をつければ出来あがり!

これに好きなものを包んで食べるのですが、ロシアっぽくしたい場合はサワークリームとキャビアとか、ひき肉と卵・玉ねぎを塩コショウで炒めたもの(この場合、包んだ後にさらにパリッとなるまで焼くと良いかも)など。
家にあるもので済ませたい場合はレタスとツナ(私はいつもこれです!)、サワークリームとハチミツやジャム、などを包んで食べると美味しいです。
カッテージチーズを包み、上からジャムをかけると、立派なデザートになります。>これも美味しいですよ!

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アリョーシャと一緒にプリンを食べた?!

ラズベリーウォッカ 2004年6月5日、ブリヌイがどのような食べ物であるのかを確認するために、新宿にあるロシア料理店スンガリー に食事に行ってきました。
私はロシア料理と意識して食事をするのは今回が初めてで、最近「地下室の手記」を読了した友人と共に、もう、大興奮の中で美味しく頂きました。恥ずかしながら写真を撮ってきましたので、ブリヌイの確認他、今回の料理を見ていきたいと思います。※ 以下はカラマーゾフの兄弟とは全く関係ありませんので、ご了承ください。
←まず最初にウォッカ…といっても飲みやすいように薄められたもの(名前忘れました)を注文して『乾杯!』

私が仕事以外の席でアルコールを頼む事はほとんどありません。でも、今日だけはフョードルみたいに、ミーチャみたいに、ウォッカが飲みたい! …ということで、ラズベリー系のジュースで薄めたと思われるこちらを注文。これ、アルコールが苦手な私でも飲むことが出来ました(笑) 非常に飲みやすかったです。カクテルよりも好きですね、私は。要するに、気持ちの問題なのでしょうか?

今回は初めてだったので、セットメニューにしてみました。

マリーノブナヤ・ケタ (ロシア式フレッシュサーモンマリネのブリヌイクレープ包み)
フレープ (自家焼きライ麦パン)
グリヴィー・ヴ・スミターニェ (マッシュルームとホワイトアスパラガスのつぼ焼きクリーム煮)
ビーフストロガノフ (牛フィレ肉と茸の煮込み、香り豊かなサフランライス添え)
ロシアンティー (バラジャムとグリオットジャムを添えて)

…目的はもちろん、ブリヌイ! そして、つぼ焼きも楽しみ〜♪

マリーノブナヤ・ケタ ロシア式フレッシュサーモンマリネのブリヌイクレープ包み

マリーノブナヤ・ケタ まず最初に、今回の目的だったブリヌイの登場です。最初に生地と中身を別々に持ってきてくれて「中身をお包みしましょうか?」と聞いてくれるのですね。
…この瞬間、先日私が半信半疑ながらも作ってみた「ブリヌイもどき」は正しかったのだ、と確認が取れました (笑) 見た目が一緒。 > これで、一安心。
包んできていただいたのが左の写真ですが、中にはサーモン・オニオン・ピクルスのマリネとサニーレタス、サワークリームあたりが入っていました。生地も、クレープではなく、ホットケーキでもなく、という柔らかさと薄さで口当たりがいいです。サーモンとの相性もばっちりで、美味しい〜! 友人と共に大満足
これを食べる機会を与えてくれてアリョーシャの一言に大感謝です(笑)

フレープ 自家焼きライ麦パン

フレープ 次にライ麦パンが来ました。ライ麦パンらしく、しっとりと重く、そしてぱさぱさしていました。私たちは意味もなく「…ロシア的だよね」とこれまた感激(笑)
実際、全体的な料理の量が多かったのでこちらのパンは半分残してしまったのですが、お店の方が持ち帰りように包んでくれました。

グリヴィー・ヴ・スミターニェ マッシュルームとホワイトアスパラガスのつぼ焼きクリーム煮

グリヴィー・ヴ・スミターニェ 今回の2番目の楽しみだったつぼ焼きが来ました。上のパン(パイ?)部分を割って食べるイメージがあるのですが、こちらはパカッとはずしてくれます。
つぼの大きさが大きすぎず、小さすぎずと可愛いのです。
気になるお味は… 文句なし! ちょっと濃い目のチーズ風味のクリーム(最初は熱々なので注意が必要)を口に入れた瞬間、ふわ〜っ
グリヴィー・ヴ・スミターニェ ときのこの風味が広がるのです。パンを入れて一緒に食べても、これまたいい具合に合いますね〜 美味しかったなぁ。毎日でも食べたいです(笑)




ビーフストロガノフ 牛フィレ肉と茸の煮込み、香り豊かなサフランライス添え

ビーフストロガノフ 実は、ここまでの料理で私たちはお腹がいっぱいになっていました(笑)
でも次がメインディッシュ・ビーフストロガノフです。
美味しいのとお腹がいっぱいなのと入り混じりながらもお互い完食。
食べながら、次に来る時は単品で頼み、「メインディッシュ+デザート」か「サイドメニュー数品+デザート」という組合せにしよう、と考えていました(笑) もう、デザートが頼めなかったのが残念で残念で…

ロシアンティー バラジャムとグリオットジャムを添えて

ロシアンティー あとはロシアンティーを飲んで終わりかぁ、と単純に思っていた私は甘かった(笑)お楽しみはここからだったのです。最初に写真右側のトレイだけが来ました。
…?
紅茶の中に入れるジャムをここから選べってことかなぁ、と言いながら紅茶が来るまでスプーンでジャムをすくったりしながら眺めていました。

◎ ここで第一の興奮。
真ん中のジャムは桜んぼ 正確にはブラックチェリーでしたが)が入っていたのです!

―― 普通、カラ兄弟を読んだ方はここで興奮しますよね? (しますよね!)
アリョーシャの大好きな桜んぼのジャムです。そして、これから紅茶が来ます。魚スープはないけれど。これはもう、飲み屋《 都 》 にいる気分でした。第五編プロとコントラ です。
(注:私は決して怪しい人ではありませんので、どうかここで退かないでください、笑)

そして、マトリョーシカ風のポットに入れられて紅茶が来ました。ジャムの内容は (正確な名前は忘れましたが)、イチゴとオレンジ、ブラックチェリー、薔薇の3種類でした (当然ながら、砂糖の存在は私たちは無視してました)。

◎ 第二の興奮。
「 お代わり自由ですので何杯でもどうぞ 」

本当〜?! 親切にも限度ってものがあるのよ! …なんて、大喜びで3杯いただきました。
ジャムはお皿に取って、舐めながら紅茶を飲んでもいいし、紅茶にそのまま入れて飲んでもいいそうなのです。ブラックチェリーのジャムはとても甘いのですが、実を紅茶に入れて柔らかくすると甘さといい、食感といい、丁度良くなりました。

こんなに美味しく、そして興奮しながらの食事はめったにありません(笑) > というか、普通は無いと思います
これがロシア料理全て、というわけではありませんが、初めてにしては十分ロシアな気分に浸れたのではないでしょうか(笑)
新宿に行かれた際には、ぜひ、こちらの料理で楽しんでください。そして、カラマーゾフの兄弟他ロシア文学について色々語ってください! 話が進むこと間違いなし! ですよ〜

…以上で、ブリヌイ検討も終りです。最初はプリンの疑問で始まって、美味しいロシア料理で終わる。とても有意義な時間を過ごすことが出来てよかったです(笑) 大満足。

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本嫌いさんの読書感想文〜カラマーゾフの兄弟はいつも貸出中?!
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