1999年へ。 2001年へ。
-全鑑賞List-:日本映画/外国映画
     1. 1.(Sat)
  - 御法度 - 
  滅びの美学を描ききる舞台として新撰組はいかにも好材料。繰り返し映し出される男 
 の顔の訴えかけるニッポン人的な強さと脆さ。青の照明が幻想的。大島渚監督こだわり
 の独特のキャスティングの中でも坂上二郎とトミーズ雅が見せる陽の魅力が 愉しい。
  - END OF DAYS - 
  ミレニアムという概念の聖書的な意味合いからサタンに対峙するヒーロー像を際立た
 せることは設定上、視覚上の効果を高めるために充分機能してはいるが、破壊や暴力の
 描写よりも清濁混在する主人公像の葛藤にもう少し焦点を当て描いて欲しかった。
  - THE LEGEND OF 1900(海の上のピアニスト) - ユーカリが丘マイカルシネマズ
  ティム・ロスの飄々とした姿がただ深く心に刻まれる。この手触りの暖かさはやはり 
 トルナトーレ監督の魔法。映像と脚本、演技と音楽、様々な要素が調和する作品世界の
 虚構こそがリアルな人の生が醸し出すドラマの豊かな味わい。この「国際版」でカット
 された40分を含む母国語ヴァージョンを観てみたい。
  1. 2.(Sun) - 地雷を踏んだらサヨウナラ - シネ・ラ・セット   チーム・オクヤマの新しい始まりに選ばれた作品は実話をベースにした若い写真家の   生き様。浅野忠信の発する陽のエネルギーと戦火の極限状態での屈託のない笑顔は演技  でありながらもライブ感たっぷりの虚実入り混じった最高の表情。 - GHOST DOG - 日比谷シャンテ・シネ2   ジャームッシュ監督作はデッドマン以来。独特の間とかみ合わない言葉、状況だけで  不思議におかしい濃い顔ぶれのオフビートな表情と監督の趣味そのものといえる脚本の  オリジナリティ、主演のフォレスト・ウィテカーの武士道でありハードボイルドである  沈黙の演技が語る孤独な生への問いかけが哲学的。
  1. 7.(Fri) - ナビィの恋 - テアトル新宿   沖縄・粟国村に溢れる色彩と唄や踊り、人の営み。島はいつも波の音に囲まれ、陽光  を浴び、風に吹かれている。激しくも純粋な恋を描いてこの「抜け」のよさはただ呆れ  るほど。ゆったりとただ波の揺れに身を預けるようなこの作品に出会えてよかった。
  2. 1.(Tue) - リング0〜バースディ -   「貞子」という存在をしっかりと描くために用意された番外編は「シックスセンス」   との共通項も認められるような内面のドラマ。この作品における恐怖の描写は、むしろ  善良であるはずの市民が、集団心理によって憑き動かされる衝動を正当化して暴走する  社会正義による行動の理不尽さにこそある。 - ISORA 多重人格少女 - ユーカリが丘マイカルシネマズ   1995年日本で起こった大規模な天災と人災が残した深い傷跡。崩壊の現実を正面  から語ること、そして生き抜くための再生と癒し。「金融腐食列島・呪縛」の製作陣は  更にこだわり続ける。
  2. 26.(Sat) - magnolia -   まさに「裏ショート・カッツ」。陰影の多い人物像の複雑に絡み合ったエピソードが   一気に意味を失う唖然とするラストの「超常現象(?)」。エイミー・マンの歌声から  それぞれが導かれる自己の生の真実は時に厳しくも捨てたもんじゃない。 - ANNA and the KING - ユーカリが丘マイカルシネマズ   既に揺るぎ無い評価をもつミュージカル作品のリメイクに敢えて挑戦するからには、   やはりここまでの拘りは必然。重厚な歴史背景の描写ではあるが、やはり西洋的視点が  主であり、ロケーションのもつ説得力が若干ドラマより勝っている印象はある。
  3. 1.(Wed) - 雨あがる -   黒澤組の新しい方向、それが「小泉組」。スタイルではなく、その意志を尊重し踏襲   する映画作りのこだわりある潔さと軽やかで実直な演出。細やかな機微を抽出する遺稿  となった黒澤明脚本が放つ深遠な光は強くメッセージを伝え続けている。 - SLEEPY HOLLOW - ユーカリが丘マイカルシネマズ   ティム・バートンがILMに求めていたのはまさにこんな映像表現なのだろう。残酷   でとことん無邪気。ジョニー・デップ以下、俳優陣が嬉々として演じているゴシック・  ホラーはある意味、楽し過ぎる。
  3. 3.(Fri) - Bacheha-Ye Aseman(運動靴と赤い金魚) - 津田沼テアトルシネパーク   この幼い兄妹が見せるやるせない表情は、懸命に生きる余裕のない日常の中、他者へ   の慈しみに溢れ、豊かな情感が伝わってくる。どこにも運べない、交換できない大切な  もの。鮮やかな赤が映える金魚の描き方が実に美しい。
  4. 1.(Sat) - The Straight Story - ユーカリが丘マイカルシネマズ   老人たちの自らへ向ける眼差しの厳しさは拭い去れない罪への認識と神の赦しを信ず   る真っ直ぐな心。星空は人の営みの歴史など遥かに超えた年月を地上にもたらし、数え  切れぬ光を与える。デビッド・リンチの映像表現がもつ光と闇の豊かさがリアル。
  4. 17(Fri) - The GREEN MILE - ユーカリが丘マイカルシネマズ   人が自らの死と向き合うときに見えてくるもの。「マイル」を歩む歩幅。心の闇から   生まれる病みの心。心の光がもたらす癒し。処刑の描写はかなり強烈な印象を残すが、  ミスター・ジングルズの挿話のさわやかさが救ってくれる。「何か欲しいものは」との  問いにミュージカルを求めるのは前作「ショーシャンクの空に」のオペラを思い出す。
  5. 27.(Sat) - MISSION TO MARS - ユーカリが丘マイカルシネマズ   デ・パルマのSF映画への憧れは「2001年宇宙の旅」他、数多くの引用として実   に無垢で真っ直ぐな表現として散りばめられ、余りにも古典的な謎解きへと導かれる。   自在なカメラワークに「デ・パルマらしさ」が認められる以外、モリコーネのスコア  にしろ、ゲイリー・シニーズ+ティム・ロビンスという配役にしろ徹底的に地味。   この地味(=リアルな宇宙観)の極みにこそNASA全面支持の意味がある。
  5. 28.(Sun) - BICENTENNIAL MAN(アンドリューNDR114) - ユーカリが丘マイカルシネマズ   死が人に与える意味とは?不完全な有機体=ヒトは、何によって「人」となるのか?   自己は他者によって描き、築かれる。手のひらの信頼で感じる血の通った温かさ。幻を  形にするドリーム・クエスト社の映像表現がILMとは別の大きな支流を作っていく。
  6. 4.(Sun) - THE INSIDER - ユーカリが丘マイカルシネマズ   ラッセル・クロウの苦渋に満ちた眼差し。全てを失っても曲げない意思は、ただ男の   約束を全うするため。実名そのままの設定は「金融腐食列島〔呪縛〕」同様のスタイル。   やはりマイケル・マン演出は果てしなく硬派だった。
  6. 29.(Thu) - THE HURRICANE - ユーカリが丘マイカルシネマズ   肉体表現の極限までの挑戦と対極になる内面への奥深い洞察。これは演技ではなく、   憑依ではないか。ボブ・デイランの放つ言葉の中に、揺らいでも決して消えない強固な  ハリケーンの命の炎が見えるようだ。   これで載冠は当然だったはずの至高の表現者デンゼル・ワシントン
  7. 1.(Sat) - THE CIDER HOUSE RULES -   人の生の営みをじっくりと見つめる淡々とした語り口はやはりハルストレム監督作品。  ジョン・アーヴィングによる原作/脚本の品格も文学的で豊穣。絶妙に配置された人物  の描写は容赦なく厳しい現実を突きつけ、少年に成長を促す。  - GLADIATOR -   古代ローマ世界を描く圧倒的なスケール。復讐劇を演じるラッセル・クロウの王道の  ヒーロー像は「インサイダー」と比較するとまさに陰と陽。溢れる陽光に陽炎が揺れる  砂埃の中、戦闘シーンの際立つ光と影がリドリー・スコット監督独自のコントラスト。 - MAN ON THE MOON - ユーカリが丘マイカルシネマズ   ジム・キャリーにしか表現できない、幾層にも過剰に重なるアンディ・カウフマンの  矛盾した内面と行動のペーソス。多数の本人出演、カメオ出演によって醸し出される熱  を帯びた時代の空気感がよく伝わる。
  7. 10.(Thu) - THE CIDER HOUSE RULES -   やはりこれをもう一度スクリーンで観ることができてよかった。   身近な人の死が伝える残された者への大切なメッセージ。   サイダーハウスでの「規則」=自分たちを守ってもくれない法律。   最後のホーマーがささやく「おやすみの挨拶」に込められた確かな意志。  - MISSION:IMPOSSIBLE-2 - ユーカリが丘マイカルシネマズ   全編ジョン・ウー美学。トム・クルーズが求めていた「全く別のイーサン像」はどこ   かシュワルツネッガーのアクション。「スパイ大作戦」よりむしろ「007」のよう。  そしてどうしてもハト・スローモーション・二挺拳銃。
  8. 16.(Wed) - ざわざわ下北沢 - シネマ・下北沢   丁寧にそしてごく自然に過ぎてゆく暮らしの風景を描く市川準監督独自の語り口は、   下北沢界隈という特定された舞台の中で、これまでの作品同様穏やかに進行するかに見  えて、あのマグノリア的な局面を迎えるとは、全く予想できなかった(まさか、CGが 登場するなんて・・・)。終わりかけた後で迎えたささやかな着地点に満足。   インディペンデントな企画・製作に賛同して集結したキャストの顔ぶれが凄い。 - どら平太 - 飯田橋ギンレイホール   「四騎の会」の遺志を残すために製作を実現させた市川崑監督の冴えわたる光と幻影   の美しさと役所広司を筆頭の見事なハマるキャスティングの妙。王道のサムライ活劇の  楽しさ一杯の至福の時を過ごせた。市川崑モダニズムの到達点。
  8. 18.(Fri) - THE TALENTED MR. RIPLEY -   まさかマット・デイモンの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」が聴けるとは・・。   「太陽がいっぱい」のリメイクというより原作の新たな翻案という趣旨は、アンソニー  ・ミンゲラ監督独自の拘りのあるキャスティングにその意図が表れている。 - RULES OF ENGAGEMENT(英雄の条件) - ユーカリが丘マイカルシネマズ   不当な断罪に屈せず「戦時下の行動における正義」に勝利することが、ドラマとして  肯定されても本当によかったのか。全米初登場でこの作品が1位になったことの意味は  この8月で55年を数えた敗戦国、日本でこそ問われるもの。
  8. 22.(Tue) - WHITEOUT - ユーカリが丘マイカルシネマズ   徹底して映像で語る脚本のスタイルに、台詞での説明に逃げ込まない潔さが刻まれて   いる。緻密な設定のアクションも人間ドラマもきっちりと盛り込む娯楽映画として製作  サイドも妥協せず、この作品を完成させることができたのは、日本映画制作にとっては  「踊る大捜査線」の成功に後押しされてこそのもの。
  10. 3.(Tue) - BEING JOHN MALKOVICH(マルコヴィッチの穴) -   かつて見たことのないジョン・キューザックにキャメロン・ディアス。いつも通り、   いや、もしかしたらそれ以上のジョン・マルコヴィッチ。映像の中に議論があり、提起  があり、己を愉しむ哲学がある。テーマと設定はどこか近代日本文学のテイスト。 - AUTUMN in NEW YORK - ユーカリが丘マイカルシネマズ   これが初顔合わせのリチャード・ギアとウィノナ・ライダーという組み合わせでNY   の美しい秋〜冬へ移ろう情景を丹念に描く。「神経芽細胞腫」についての描写はもっと  リアルに見せて欲しかった。
  10. 7.(Sat) - THE KID - ユーカリが丘マイカルシネマズ   誕生日の贈り物は、赤いプロペラ機が届ける向き合うべき時機を迎えた「自分自身」。  ファンタジー作品としての明快さとオリジナルな脚本。ただ、このブルース・ウィリス  の姿がどうしても「ショックス・センス」の児童精神科医役と重なって見えてしまう。
  10. 8.(Sun) - CRADLE WILL ROCK - 恵比寿ガーデンシネマ   1936年、ニューヨーク。舞台『ゆりかごは揺れる』が上演されたという事実に刻   みこまれた熱。芝居を打つことで恐らく若きオーソン・ウェルズの表現したかったもの  は、思い描いたテーマを遥かに凌駕する時代のエネルギーを放出したのだろう。全てに  説明がつかないからこそ、伝わるものがある。
  10. 22.(Tue) - 五条霊戦記 GOJOE -   この企画の実現に費やされた時間だけ、幾度となく監督の頭の中でリテイクされたで   あろう映像の説得力はそれに十分応えるキャストとスタッフの手によって世紀末を駆け  抜けるハイテンション霊能チャンバラ活劇に昇華。隆大介演じる弁慶の静謐な佇まいが  特に魅力的。浅野永瀬の組み合わせは、公開待機中の作品でも期待。 - X-MEN - ユーカリが丘マイカルシネマズ   すでに圧倒的支持が確立されているアメリカン・コミック原作の、どの部分に焦点を   絞り、どこを敢えて裏切るのか。次回続編作への期待度は今回が人物紹介中心の展開で  あっても十分なもの。アンナ・パキン演ずるローグ役の視点からの描写は良かった。
  11. 14.(Tue) - SPACE COWBOYS - ユーカリが丘マイカルシネマズ   「いずれくたばっていくその時まで、枯れたりなんぞ絶対するものか。」という強い   意思表明が見えるイーストウッドの気骨。そのままの意味の「FLY ME TO THE MOON」。  無様なら無様なままで、頑固ならとことん頑固なままで犬死してこそ男の本懐。
  11. 9.(Sun) -GIRL, INTERRUPTED(17歳のカルテ) - 恵比寿ガーデンシネマ   考える葦であるヒトが自らの自由意志を表明し、尊重されるべきは危うくも先鋭的な   10代後半、しかし目前には「障害」となる象徴的な様々な壁が厳然と立ちはだかる。  境界性人格と定義され、区別されることでこそ生じる歪みは社会生活という幻想に敗北  を強いられる。その「境界」こそ、彼女たちにとっての真実であるにもかかわらず。
  11. 26.(Sun) - カオス - テアトル新宿   萩原聖人演じる複雑な便利屋のキャラクターが物語軸の基点でありカメラ主観の焦点。  中田監督+中谷美紀配役のコンビは「リング」以降の重要な要素。非ホラーのはずが、  やはり映像の話法がどこかホラー的。 - BOYS DON'T CRY - 飯田橋ギンレイホール   この実話が伝える悲劇性は、おそらく現在でも在り続けるのだろう。これは暴力的な   描写ではなく、暴力による破壊性・群衆心理の排他行動についての言及である。   性同一性障害を体現するヒラリー・スワンクの真っ直ぐな佇まいが無垢に訴えかける。
  12. 3.(Sun) - Wonder Boys - 飯田橋ギンレイホール   モンローのコート、そして犬のポーの行方。ワンダー・ボーイたちの向かう歩みの先   に、迷いがないはずはない。情けなさに共感できるマイケル・ダグラスの妙演。そして  強く真っ直ぐなトビー・マグワイアの眼差しに、シニカルなロバート・ダウニーJr。   淡々と進む物語の中に、時にユーモラスで、深みのあるドラマを堪能できた。
  12. 17.(Sun) - バトル・ロワイアル - 渋谷東映   淡々と人数が減っていく前半部が物語展開の処理に済まされず描かれている無常感は、  実にリアルで切ない。その点はやはり深作・仁義なき戦い・欣二監督らしさ。灯台の中  でふとしたきっかけに気づかされて向かい合う猜疑心と友情、虚栄、自己保存と他者へ  の依存、転嫁と合理化の重なり合う状況は、この物語の虚構の中だけではない日常思い  当たる風景に見えてくる。
  12. 31.(Sun) - COYOTE UGLY -   NYに実在するアグレッシヴなバーを舞台に描かれる物語はこの作品の映画制作自体  にそのまま投影された「都会での成功への道」。こうした才能の発掘に好意的な土壌が  ハリウッドを支えている。 - DANCER IN THE DARK - ユーカリが丘マイカルシネマズ   「ドグマ95」に基づき撮影されたドラマ部分とドキュメンタリィ的な表現に基づいて   描かれたミュージカル部分。あくまでシンプルに、そして正直に編み合わされた断片の  集積であるフィルムのもつ力強さに説得力がある。   何よりビョークの唯一無比な在り様によって、そこに深遠な魂の明滅が際立つ。

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