2001年へ。 2003年へ。
-全鑑賞List-:日本映画/外国映画
     1. 1.(Tue)
    - LA LENGUA DE LAS MARIPOSAS(蝶の舌) - シネスイッチ銀座
  スペイン、ガリシア地方の美しい自然、1936年。冬が過ぎ、教師は子供たちに、新た 
 なる「視点」を与える。自由を導くための僅かなきっかけ。時代が暗澹たる方向を示し
 犠牲が払われても、明日は訪れてくる。教わったのが蝶の舌の不思議だけではないこと
 に、やがては気づく。だから言葉が持つ本当の意味を知るのは後からでいい。
    - The Man Who Cried(耳に残るは君の歌声) - 日比谷シャンテ・シネ1
  共演はこれが初めてではないがクリスティーナ・リッチとジョニー・デップの見つめ 
 あう眼差しの切ない情感は、この作品の寡黙な役柄に最も適している。自由が奪われ、
 マイノリティが圧殺された事実は、過ぎ去って風化した過去なのではなく、残念ながら
 21世紀の現在にも意味を失わずにある。そして唄が伝える想いも簡単には風化しない。
     - BLOW DRY(シャンプー台の向こうに) - 日比谷シャンテ・シネ2
  「フル・モンティ」のサイモン・ボーフォイによる軽やかでユーモラスな脚本が実に 
 愉しい。アラン・リックマンのくたびれ具合の説得力、ジョシュ・ハーネットの闊達で
 どこか素朴な佇まい、ナターシャ・リチャードソンの気丈だが切ない達観とレイチェル・
 グリフィスの柔軟な伸びやかさ。この英・米キャスト陣の絶妙さがいい。
  1. 4.(Fri) - BANDITS -   とにかく主演の俳優陣が魅力的。しかもアイデアが秀逸で軽妙な脚本の語り口も実に   愉しい。目新しさや刺激の強さなどの一時的な流行ではなく、古びないテーマ性を持つ  誠実でウィットたっぷりのバリー・レビンソン監督による職人芸という趣き。 - Harry Potter and The Philosopher's Stone - ユーカリが丘マイカルシネマズ   作品のテーマ自体が愛と勇気、協力、友情など、普遍的で常に問われ続け、語られる   べき大切な課題を描いているからこそ、このファンタジックで自由な映像表現を心から  楽しめる世界の創造は重要である。「仮面の男」と併せ成長期に是非観てほしい作品。
  1. 26.(Sat) - FROM HELL - ユーカリが丘マイカルシネマズ   シャーロック・ホームズが歩いてでもいるかのような19世紀末の帝都:倫敦の街並み   のリアル。連続殺人事件の陰惨な現場を忠実に緻密に再現した舞台美術から浮き彫りに  されてくるのは切り裂きジャックの犯人像の猟奇性を醸成している都市の繁栄の狂気に  他ならない。人間としての弱さと翻弄される運命を見事に体現したジョニー・デップを  導くイアン・ホルムの怪演、ヘザー・グラハムの凛とした佇まいも魅力的。
  2. 1.(Fri) - la stanza del figlio(息子の部屋) -   最愛の家族の1人を突然事故で失うことが悲劇であることなど、自明である。   だからこそ死を悼み、自身を支えていける糧は自らの中からしか発生せず、家族以外   の誰と分かち合えるはずもないと考えるのは当然である。しかし、家族の知らない息子  の生に改めて気づけば、新しい暮らしも動き出せる。遠のいていくバスの窓越しの海辺  の景色に余韻を残すイーノの曲 BY THIS RIVER が切ない。 - VANILLA SKY - ユーカリが丘マイカルシネマズ   脳が見る深層の世界では無意識と現実などいとも簡単に錯綜し、混ざり合った新しい   曖昧な記憶を海馬に残していく。そしてその脳内に映る空はバニラ・カラーで描かれた  印象画。キャメロン・クロウ監督のこだわりの選曲と脚本が難解な命題を丁寧に解いて  いく。原作に当たる「オープン・ユア・アイズ」が未見なので比較は出来ないが、この  リメイク作のハード・タッチな内省劇の結末は無理なく肯定できる。
  2. 23.(sat) - Amelie - ワーナーマイカルシネマズ市川妙典   赤・燈・黄中心の光線と背景の温かみのある配色に際立つどこかレトロで浮き足立つ   パリの街並み。ジャン=ピエール・ジュネ監督こだわりのなんとなくヘンな顔の人たち  が自然と集まるカフェ“ドゥ・ムーラン”だからこそ、この独り暮らしするには余りに  危なっかし過ぎる空想癖を持つアメリが伸び伸び活きているのだろう。 - OCEAN'S ELEVEN -   アカデミー監督賞受賞後のソダーバーグ作品、往年の痛快娯楽作品の豪華キャストに   よるリメイクと話題先行であったし、脚本の構成の面白さとしては「スコア」に近いが  あくまで同列。錚々たるスター共演の中でドン・チードルとアンディ・ガルシアの2人  のキャラクター造形がユニークで印象に残った。 - WASABI - ユーカリが丘マイカルシネマズ   スタイリッシュでテンポがいい娯楽作品。意外に日本の描写も不自然ではなく、主演   の2人、ジャン・レノ+広末涼子もすんなり納得できる軽やかさがある。ただ、脚本は  台詞が説明しすぎている気がして深みも感じなかった。もう少し個々の人物像は丁寧に  描写して欲しかったが仏+日製作陣の融合チームとしてのチャレンジは成功だと思う。
  3. 1.(Fri) - 化粧師 kewaishi - ららぽーと東映   大正の震災の焼け跡に息づく逞しき下町風情の寓話。新しい時代を闊歩し始めた女性   の群像を静かに後押しする化粧師という構図がかなりユニーク。椎名桔平演じる小三馬  の動作の柔らかさが特に美しさを際立たせている流麗なカメラワーク。そして淡い彩り  で控え目ながら微妙な空気感を伝える音楽が敢えて台詞の情報量を抑え気味にした分、  行間の味わいを細かなニュアンスで豊かに伝えている。魅力的な配役も愉しかった。
  3. 9.(Sat) - Laundry - シネ・アミューズ ウェスト   言葉数の少ないシンプルで真っ直ぐな台詞に生音中心の音楽、遠くに並ぶガスタンク   と白い鳩の飛ぶ姿。映画初演出の森淳一監督が欲しい映像を求めながら自然に仕上げた  背筋の伸びた無垢な脚本の中で呼吸するテル:窪塚洋介と水絵:小雪の存在感の不思議  =生活の日常的な現実感と寓話的要素の境界上にあるような人物像がいい。その切なさ  で惹きこまれ、スクリーンの2人の姿に観ていて涙がこぼれそうになった。   コインランドリーから遠く離れて旅は巡っていく。納得の着地点も嬉しかった。
  3. 23.(Sat) - THE SHIPPING NEWS - ワーナーマイカルシネマズ市川妙典   ロープに堅く結び付けられ、断崖に立ち吹き荒ぶ強い風を正面に受けて耐える家の姿   が醸し出す頑なさや軋み、封印され忘れ去ることを余儀なくされた陰鬱な過去。   カナダ北東の極寒の地ニューファンドランド島のロケーションそれ自体が物語る自然   の厳しさと壮大さ。挫折や失望、無感覚、自己否定、不器用といった様々な内面の要素  を寡黙に演じるケヴィン・スペイシーが祖先の地で温かな血の巡りを取り戻し、柔和な  笑顔を徐々に見せる姿がいい。   ギャミーバード新聞社の面々も何しろ独特だがジュリアン・ムーア演じる気丈で懐の  深いしなやかな佇まいのシングルマザーも実に魅力的。
  3. 24.(Sun) - 害虫 - 渋谷ユーロスペース   一見無表情な中に複雑な内面を覗える独特の寡黙な芯の強さが宮崎あおいの視線には   ある。残酷さが加速する後半、その痛々しいはずの境遇で不思議に平然とした眼差しと  対する蒼井優の潔癖と純粋、そして余りに真っ直ぐであるが故の転落する刹那もリアル。  「リリイ・シュシュのすべて」と相関的な対比が認められる思春期の悲痛で脆弱な精神  の闇を描く剥き出しの映像表現とエンドロールのハミングに複雑な心境が残る。
  4. 1.(Mon) - BLACK HAWK DOWN -   一旦始まったら延々続く地上での過酷な戦闘。墜落したブラックホークに米軍の威信   が象徴され、多くの兵士の犠牲が払われていたのだとしたら、その愚は何によって報わ  れるのであろう。リドリー・スコットのリアリズムを追求し執拗に描かれる戦場の姿も  勇壮な音楽によって殺戮が美化して曲解され、士気が鼓舞されている気がしてならない。 - A Beautiful Mind - ユーカリが丘マイカルシネマズ   実在の偉大なる数学博士の魂の闇の部分を脚本は原作にある事実から映画的な虚構へ   と大胆に飛躍し、物語性に富む複雑な構造を築くことに見事に成功。ラッセル・クロウ  のアプローチは「インサイダー」同様、素材の人物像を的確に表現しており、主役然と  していないのがいい。エド・ハリスの怪演も見事。
  4. 2.(Tue) - The Lord Of The Rings The Fellowship of the Ring - マイカルシネマズ市川妙典   壮大で果てしないこのファンタジー世界の圧倒的なスケールを映像化できる視覚効果   の技術も目を見張るが、やはり自然のロケーションの豊かさがうまく組み込まれていて  こそ映えるのであろう。ホビット役で登場のイアン・ホルムが複雑な内面を僅かに一瞬  覗かせる以外、実にお茶目に飛び跳ねている姿が意外でもあった。
  4. 28(Sun) - パコダテ人 -   タイトルからして人を喰っているが、その内容もかなり脱力するキテレツな家族映画   である。過去の出演作でこんな屈託のない表情を見たことのなかった宮崎あおいの笑顔  がキュート。いや、それ以上に大泉洋もキュートである。しっぽ騒動に沸くパコダテ市  のロケーション描写も、ごく自然で気負いすぎてはいない。 - Human Nature - 銀座シネパトス   何しろ設定そのものが開いた口が塞がらない妙な脚本。宇宙一毛深い女性だなんて、   まずその基準が意味不明だし、不条理である。やはりチャーリー・カウフマン脚本での   独創的なアイデアは「マルコヴィッチの穴」より先にあったこの物語の勢いでもある。   いかにも収まりの悪そうなティム・ロビンスの迷走ぶりが愉しいしそれ以上に気高い  裸のサルを演じたリス・エヴァンスの柔和な表情が魅力的。
  5. 4.(Sat) - The OTHERS - ユーカリが丘マイカルシネマズ   リメイク権を得た「バニラ・スカイ」からの縁でトム・クルーズが製作を担当。   造りは古いがどっしりと格式あるいかにも何者かが棲んでいそうな威厳のある屋敷に   3人の使用人がやってくる。伏線が幾重にも出現するので思わせ振りな結末への予想は  早くからついてしまうが、ゴシックな闇の演出とキリスト教信仰という要素のブレンド  は活きている。
  5. 11.(Sat) - 突入せよ!「あさま山荘」事件 -   TVでのリアルタイム放映により国民の記憶として強烈に残っている映像をフィルムに   再現する試み自体、劇中のキーワード「ヘラクレスの選択」であるともいえる。現場の  長野県警・警視庁・警察庁と、事件解決のために連携して当然のはずの各組織が悪天候  で余談を許さない状況の中、体面や立場から不協和音を生じて指揮系統の混乱を極めて  いく姿はまさに悪夢である。その警察側の究極の板挟みが現場指揮の佐々役であるが、  緊迫したその姿を実に飄々と柔軟に演じる役所広司の存在感の凄みが実に魅力的だった。 - PANIC ROOM - ヴァージンシネマズ市川コルトンプラザ   その家が意味する真実、母と子の敵対する存在への戦い、緊張感溢れる映像と、様々   な雑誌で「アザーズ」との比較があった本作、ジョディ・フォスターの熱演と床を這い  まわり壁を抜けるデヴィッド・フィンチャー監督が縦横無尽に独特の空間把握をテンポ  よく見せる演出でハイテンションのまま一気にラストへ。ある意味、シンプル過ぎる。
  5. 18.(Sat) - HEARTS IN ATLANTIS(アトランティスのこころ) -   少年時代との訣別を初めて認識した11歳の夏の日々、そして再認識する旧友の追悼の   日。スティーブン・キング原作の連作小説より抽出した2篇のエピソードは超自然的な  要素を極力排して微妙で繊細な記憶を淡い印象的な映像として描くスコット・ヒックス  監督のディレクションとマイケル・ダナの音楽の静けさ。 - SPIDER-MAN - ワーナーマイカルシネマズ市川妙典   アメコミのフィルム映像化としては、恐らく最も批判の厳しい根強い人気作品だけに   ドラマ部分の丁寧な内面描写の演出は必須だったのであろう。矛盾を際立たせ、自在に  狂気を見え隠れさせるかのようなウィレム・デフォーとトビー・マグワイアの対立する  配役の妙があり、アクションとしての映像のスピード感との配分も的確。   ダニー・エルフマンのドラマチックなスコアも見事。
  5. 26(Sun) - The Man Who Wasn't There(バーバー) - 日比谷シャンテ・シネ2   陰影の深いモノクローム映像が醸し出す時代がかったアメリカ郊外の住宅都市。煙草   の揺らぐ煙とともにある男の人生哲学が静かに語られる。ビリー・ボブ・ソーントンの  立ち姿の直線とポーカーフェイスな表情、ベートーベンのピアノ・ソナタが内面の熱情  を際立たせ、唯一の若き理解者にひき合わせるシーンが何といっても美しい。
  6. 1.(Sat) - O BROTHER, WHERE ART THRU? - 津田沼テアトルシネパーク   1930年代アメリカ南部の土臭さにぴったりなカントリー音楽そして口が達者な脱獄囚   の伊達男を実にコミカルに演じるジョージ・クルーニーの濃い顔立ちが軽妙でとにかく  愉快なテンポの映像で強く印象に残る。なぜかコーエン兄弟作品をここにきて順序も逆  に続けて鑑賞。ベースが古代ギリシア叙事詩「オデュッセイア」というネタも不思議。
  6. 9.(Sun) - 模倣犯 -   森田監督は「黒い家」に続き話題の小説を独自の世界観で映像化へ。自ら脚本を担当   するのは「ハル」以来ということで、その細部へのこだわりの強さも頷ける凝った手法  とメディア露出を逆説的に発想した明確な意図の配役が見事。顔立ちやシルエットまで  重なって多層的に見える津田寛治、中居正広の2人の姿の対比は特に際立っている。 - I am Sam - ユーカリが丘マイカルシネマズ   とにかく全編を通して流れるビートルズ・ナンバーが醸すゆったりと穏やかな雰囲気   の大らかさとパーカッシヴで生音中心に構成されたジョン・パウエルの軽やかで躍動感  が心地いいスコアという、音楽が重要な要素として成立している作品。知的障害と親子  間の絆を問い質すジェシー・ネルソン監督自身も参加した脚本の明確なメッセージ性、  ショーン・ペン、ダコタ・ファニングの父娘の佇まいの心に沁みる魅力のみならず脇を  固めるミシェル・ファイファー、ダイアン・ウィースト他、心に傷を負った人々の社会  と奮闘しもがき喘ぎながらも生きている姿の美しさに目頭も熱くなる。
  6. 29(Sat) - THE MAJESTIC - シネプレックス10幕張   “キャプラへのラブレター”であると公言するこの作品はまさにフランク・ダラボン   監督版「ニューシネマパラダイス」である。またアメリカという国の建前理念の病理が  顕著に見て取れる1950年代の赤狩りの描き方は「真実の瞬間」を思い起こしもした。  物語の展開は新鮮なものではないかもしれないが、マーティン・ランドーを筆頭に渋い  配役が揃った明快な演技と演出における娯楽作品である。マーク・アイシャムの繊細な  スコアも物静かにロマンティックな映像に華を添えている。
  7. 1.(Mon) - WE WERE SOLDIERS(ワンス&フォーエバー) - ユーカリが丘マイカルシネマズ   原作となるムーア中佐役メル・ギブソン+ギャロウェイ UPI記者役バリー・ペッパー   の2人の視点から捉えた戦場での現実が訴えかけてくる実話としての描写の説得力が何  より凄い。敵も味方も至近距離で死体になっていく兵士達には階級も国家理念も民族も  ありはしない。本国で連絡を待つ家族の描写も含め多層的に語られる戦争の悲劇は勝利  を収めた戦闘が勇敢であったことを手放しで肯定したりはしない。
  7. 6.(Sun) - Chloe - シアター・イメージフォーラム   「BeRLiN」以来。俳優として幾度か姿を見た利重監督。摘出された蓮の蕾の幻想。   主演のともさか永瀬が全うする愛の姿の純粋さと儚さは2人の細身のシルエットで   実に引き立つ。篠田昇の情感溢れるカメラ、そして室内照明の深みのあるニュアンスに  今野登茂子によるピアノ主体のスコア。悲しい結末であるのに観終えて柔らかな余韻が  残る。
  7. 21.(Sun) - 笑う蛙 - 新宿武蔵野館   納戸の穴を必死に覗く長塚京三の小ワザの効いたユーモラスな動きと余りにも状況が   破滅的ながら、大塚寧々演じる妻の超然とした在りようがあることで中和され、笑いの  場ができる。オールセットの倉沢家の閑静な雰囲気もあり、緑に囲まれた家構えの和の  佇まいがいい。後半、一気にシチュエーション・コメディ化する面白さも、前半の演出  の丁寧な描写もさすがは「愛を乞うひと」「ターン」の平山秀幸監督
  7. 28.(Sun) - THE TIME MACHINE - ユーカリが丘マイカルシネマズ   ガイ・ピアース出演作として考えると、これほど王道SFというのも実に意外な印象。  原作者の曾孫にあたるサイモン・ウェルズ監督の初演出も及第点だし、CG視覚効果での   I.L.M.、デジタル・ドメイン社の仕事振りも充実、物語の主軸を分かり易く表現できて  いる。作品への評価は恐らくA.I.への期待とその後の評価と似たものにあるであろう。
  8. 1.(Thu) - Life as A House(海辺の家) -   キャスティングの味わい深さで魅了される等身大のドラマ。特にケヴィン・クライン   の静謐な情熱とヘイデン・クリステンセンのナイーブで鋭利な姿の父・息子の佇まいの  対比が見事。マーク・アイシャムのリリカルで情感豊かなスコアとジョニ・ミッチェル  の「Both Sides Now」など印象的な音楽が残す余韻に目頭が熱くなる。 - STAR WARS episodeU:ATTACK OF THE CLONES - ワーナーマイカルシネマズ市川妙典   旧3部作から遡り、サーガもほぼ全体像が予想できそうな核心部分へ。ドラマとして   の要素はこれまでの5作中、最も配分を大きく描かれている印象。   何はともあれ、このエピソード2はヨーダである。CG技術で表情豊かに描かれている  分だけ、むしろマンガ的に見えてしまったきらいもないではないがヨーダなので支持。
  8. 4.(Sun) - NO MAN'S LAND - シネ・アミューズ   ボスニア兵とセルビア兵。偶然の状況により背景である軍から対象化されてしまった   塹壕での向き合う不条理。更に国連軍+マスコミが加わりコミュニケーションの齟齬が  一層際立つ。戦場における国家の自我の無意味を毒気のあるユーモアで見事に描写する  この作品を観終えた衝撃は独特。 - ONE FINE SPRING DAY(春の日は過ぎゆく) - 渋谷ル・シネマ
  ホ・ジノ監督は「8月のクリスマス」以来、これが長編第2作。男女の恋の揺らぎと   時間の移ろいを淡い味わいで描く手法は前作同様だが、説明的な台詞を極力排除し行間  を感じさせる展開でより微妙なニュアンスを醸し出す。それ故、観終えて痛みを感じた  のは、個人的に余りにリアルな心情になったからであるが、それこそ監督の意図する処  であるのかもしれない。
  8. 11.(Sun) - ギブリーズepisode2猫の恩返し -   「猫の恩返し」が初演出となる森田宏幸監督。やはり宮崎駿監督作品「もののけ姫」   や「千と千尋の神隠し」との比較になるのは仕方ないことだが、それにしても粗さだけ  目立ってしまう。少女マンガ的展開も、さすがに物語として感情移入しにくい。むしろ  「ギブリーズ」のテンポ、大胆な動きのデフォルメの面白さの方が印象に残った。 - Ping Pong - シネプレックス10幕張   松本大洋原作の独特のマンガのタッチを実に見事に再現。デジタルドメイン社で発揮   したCG技術の方法論はあくまでドラマを効果的に演出するための処理として用い魅力的  なキャラクターに深みのある実在感を宿すのに成功している。そんな中でもやはり主役  窪塚洋介:ペコ+ARATA:スマイルの人物造形の鮮やかさには驚く。面白かった。
  8. 31.(Sat) - In The Bedroom - 日比谷シャンテ・シネ   アメリカ中流階級での善良なる市民生活は、根源的に個人の理性による抑圧によって   その危ういバランスを保っているという現実。   夫婦と息子、その愛情の対象への不確かさは信じようと努力するほどに脆く揺らいで  しまう。「息子の部屋」に共通するテーマであるこの作品、やはりアメリカ社会の殺伐  が見え隠れする。初監督作とは思えないトッド・フィールド演出の機微の細やかさ。
  9. 1.(Sun) - ぼのぼの クモモの木のこと -   CGスタッフのかなりの労力によって完成した各キャラクターのふさふさの毛は、実に   当然の如くぼのぼのをとりまく世界を息づかせている。この郷愁は何だろう。   それにしても立川談志&森本レオという声の出演の見事にハマったキャスティングと  いい切なくも深いシンプルな言葉といい、ゴンチチのウクレレの音色といい、全て原作  マンガの独特の質感を見事に翻訳している。出会えてよかった。 - WINDTALKERS -   ジョン・ウー作品でのニコラス・ケイジ出演はフェイス/オフ以来。太平洋戦争での  激しい銃撃、殺戮そして暗号通信士の姿。極限状態での狂気や大義名分ではなく個人に  去来する心理を骨太に描く作風はいかにもジョン・ウー監督らしい。 - MONSTER'S BALL(チョコレート) - ワーナーマイカルシネマズ市川妙典   余りにも悲痛な出来事の後にも、変わり映えの無い日常は続いている。肉親の死別の  先に静かな佇まいの他者のささやかだが確かな温もりが在る。前作「バーバー」に続き  寡黙なビリー・ボブ・ソーントンの誠実な朴訥さと、全てを理解し大切にできる安らぎ を実感するハル・ベリーの並ぶラストショットの余韻が本当に素晴らしい。
  9. 15.(Sun) - 竜馬の妻とその夫と愛人 -   原作・脚本:三谷幸喜+監督:市川準という作品がこうして実現するなんて、想像も   できなかった。何とも切なく可笑しく温かな人間模様。特に木梨憲武+中井貴一の2人  のコンビが醸し出す絶妙な間合いの味わいが愉しいし、艶っぽく含みのある表情の鈴木  京香が実に説得力があって惹かれる。もう一度観たい。出会えてよかった。 - INSOMNIA - シネプレックス10幕張   クリストファー・ノーランの新作はノルウェー映画のリメイク。霧の立ち込める白夜   の街で踏み外した一歩がアル・パチーノの眠りを奪い、現実はぼんやりと焦点を失って  いく。今回は凝ったフィルム編集による時間軸の操作はせず、登場人物の価値観や信念  そして自我同一性の揺らぐ心の闇を丹念に描き出す。過去の出演作にはなかった不敵な  表情のかなり怖いロビン・ウィリアムズがリアル。
  10. 5.(Sat) - ROAD TO PARDITION - シネプレックス10幕張   苦渋に満ちた表情のトム・ハンクスに向けられた様々な視線の叙事詩。実の息子以上   の愛情を抱きつつ1931年当時シカゴ闇社会の同胞意識もあるボス=ポール・ニューマン。  そして、歪み始めた家族の運命の変転から登場するカメラマン=ジュード・ロウの本来  端正な姿が僅かずつ壊れた印象の中、一層鋭く映る冷めた眼差しの空虚。   男たちの絆を描くサム・メンデス監督作、前作より観終えた余韻が個人的には好み。
  10. 20.(Sun) - 阿弥陀堂だより -   冬は雪深い奥信濃・飯山市のロケーションに溶け込む阿弥陀堂のささやかさとそこで   暮らすおうめ婆さん=北林谷栄の超然とした佇まい、そして雄大な懐を見せる自然の姿  から漏れ聴こえてくる様々な音。里山の人の暮らしにごく当たり前にある厳しさ、命の  有限をさりげなく盛り込んだシンプルな脚本の味わいが沁みる。 - OUT - シネプレックス10幕張   平山秀幸監督はここ数年、小説の映画化作品が続いている。「ターン」や「笑う蛙」  にも共通して描かれる女性の生の逞しさは、この日常から大きく逸脱する物語りの中に   独特のユーモアを伴って覗える。それにしても原田美枝子、室井滋、倍賞美津子と錚々  たる顔ぶれが揃った中、西田尚美の飄々とした表情の軽やかさが実は何より逞しい。
  12. 1.(Sun) - tokyo.sora - シネセゾン渋谷   空の景色が切なくも儚いのは東京での都会の独り暮らしの野生のような厳しさが抽出   されているからなのかもしれない。20代、自己との対話にも慣れ、見知らぬ隣人と距離  を自然に保っている。今にもぽきんと折れそうな凛とした姿勢で日常と戦う姿はなんて  いじらしいんだろう。一切の説明を排してフィルムから彼女達が覗かせる表情のリアル  が痛い。この作品に出会えてよかった。 - 水の女 - シネマライズ   水の女:UAと火の男:浅野忠信という独特の色香を漂わせる二人の世界が銭湯を舞台  に危ういバランスで成立しているこの物語、それ自体が寓話的である。   偶然にも「tokyo.sora」も担当した音楽:菅野よう子さんのリリカルなスコア、また  ラジオから流れるちあきなおみ、更にUAの魂の唄。なんだか原初的な未開の地の彼方に  臨む富士が超然と在る極楽浄土の浴室の壁の画そのものである。 - JOHN Q. - シネプレックス10幕張   医療の現場が経済構造の中の制度としてどれほど矛盾しているのか。これは米国社会   だけが問題視されるものではなく、当然起こり得る論点である。ただし、市民が拳銃を  所持している可能性には大きな違いがあるが。   それにしてもデンゼル・ワシントン渾身の演技はこの一歩を踏み出してしまった父親  の姿に揺るぎない愛情と信念を説得力十分に体現し、見事である。
  12. 8.(Sun) - ラスト・プレゼント - 日比谷シャンテ・シネ   日本での公開は順序が逆になったが「春の日は過ぎゆく」と前後するイ・ヨンエ主演   の切ないドラマ。「イルマーレ」主演のイ・ジョンジェの誠実な表情と二人が並ぶ映像  は瑞々しさに溢れる。悲劇として脚本の展開は余りに王道であるが、過去のエピソード  をバランスよく配した演出に「お笑い王」決勝でイ・ヨンエが見せる魂のこもった表情  に泣いた。余韻が実に爽やかで、美しい。

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