1.1.(Sat)
- 銀のエンゼル Angel in the Box - 新宿シネマミラノ
北海道・斜里町のロケーションが美しいローソン店長のとある冬の出来事。小日向
文世氏が映画ではこれが初主演だと知って意外に思った。不器用に周囲の人と関わっ
て変わっていくきっかけは大きな出来事で無くていい。観終えた余韻が温かい。
- 理由 - 新宿武蔵野館
最初にWOWOWでドラマとして放映された映像だが、本来の形、劇場公開が実現。
大林宣彦監督の作品はTV放映以外ではこれが初めてスクリーンでの体験となったが
圧倒的な情報量が原作のドキュメンタリータッチの文体を丁寧に翻案した試行錯誤の
結果の到達点であることが勝手に抱いていた作風を見事に裏切ってくれた。凄い。
1.16.(Sun)
- Finding Neverland -
「チョコレート」のマーク・フォースター監督だしジョニー・デップ主演でもあり
期待して公開を心待ちにしていた。深い傷を負いながらもイノセントを失わない心の
交流、これが史実に基づいて書かれた脚本であることに驚いた。芝居=舞台は観客が
いかに大事な要素であるか。人にとって自由な空想が出来ることの素晴らしさ、仮に
厳しい現実であっても夢に生きる時間は無限だ。この作品に出会えてよかった。
- Bad Santa - シネプレックス幕張
いきなりタイトルバックで嘔吐してるサンタ姿。こんなに面白くて心温まる脚本の
展開は全く予想できなかった。無精髭が似合うビリー・ボブ・ソーントンのダメ振り
が実にかっこいい。ほんとに楽しかった。
1.23.(Sun)
- レイクサイド・マーダーケース -
本編鑑賞後パンフを読んで驚いたが青山真治監督の作品で「Wの悲劇」からの引用
が登場するなんて。配役が演技をきっちり見せることの出来るキャリアを積んだ俳優
で考えられているしそのアンサンブルで進行するまるで舞台劇のような緊張感が凄い。
特に柄本明氏が淡々と冷静に行動していくその間のとり方がたまらない。
なお、薬師丸ひろ子、鶴見辰吾、杉田かおる、それに青山真治監督は同学年である。
あと自分もだった。もちろん作品と無関係だがなんかちょっと嬉しかった。
- THE TERMINAL -
スピルバーグ監督と組むのは既に長編映画では三度目のトム・ハンクス。コミカル
な脚本で得意分野ともいえるキャラクター造形だし自在に空港内を遊び尽くす。
空港の凝ったセットが素晴らしく、ファンタジー的な要素も軽やかで明快。これが
スピルバーグ監督のエンターテイメントである。
- OCEAN'S TWELVE - シネプレックス幕張
プライベートでも仲の良い俳優どうしだからこそ出来るアンサンブル劇。監督まで
一緒になって楽しく撮ってる空気感。脚本もキャラクター描写も前作11の方が工夫が
あった気もする。スター共演を逆手に取ったジョークも「ディボース・ショウ」とか
に比べるとゆるいかも。
1.28.(Fri)
- 青い車 a Blue Automobile - 新宿シネマミラノ
くぐもったトーンの曽我部恵一氏の音楽がリアル。淡々と流れる日常の中、手首の
跡に現実との微妙な距離感を味わいながら決定的な喪失を新たに獲得しても正面から
受容できなかったリチオ=ARATAの微かな変化。他の人物に比べ際立って大写しになる
このみ=宮崎あおいの物憂げな瞳が印象深い。
1.29.(Sun)
- ハウルの動く城 -
原作の世界観を知らないが宮崎駿監督のオリジナルな着想そのもので描かれた冒険
活劇の集大成的な作品である。事前に表現が分かりにくいとの感想も聞いていたので
身構えてしまったが自由奔放なイマジネーションの舞台で一切説明は排除するとこう
なるんだろう。単純にもう楽しかった。
- The Phantom Of The Opera(オペラ座の怪人) - シネプレックス幕張
室内照明の自在で幻惑的な表現といえばやはりジョエル・シュマッカー監督は凄い。
本来が舞台ミュージカルなので、あえてその要素を表現の中で無理に翻案せず、映画
独自の描写は必要最小限でまとめた手法は「アマデウス」のよう。圧倒的に絢爛豪華
なセット、吹き替えなしで挑んだした主演ジェラルド・バトラー+エミー・ロッサム
の歌声も迫力十分。徹底してエンターテイメントである。
2.23.(Wed)
- トニー滝谷 -
この作品を撮影している情報はもう随分前から知っていて、公開が心待ちであった。
村上春樹氏の短編小説で独自の文体はそのまま、長編映画作品に翻案するアイデアは
やはり難しかったはず。この映画のため用意された挑戦的で突飛とも思える撮影方法
が不思議な浮遊感でその困難を乗り越えてしまった。
余りに淡々と過ぎる静謐なドラマを映し出すこの映画に出会えて本当に嬉しかった。
またこの感触をぜひスクリーンで堪能したいと思う。
- メイキング・ドキュメント「トニー滝谷」/晴れた家 - テアトル新宿
本編の余韻がひたひたと心に染み入る中、これも独特のトーンで撮影された舞台裏
の風景。映像としてはもちろん本編で登場しない高台に設置されたステージの姿。
革新的な作品での映像作りに参加している実感をスタッフも出演陣も肌で感じるが
故に生じる緊張感のある撮影現場の空気を距離感のある位置から記録するフィルムの
存在。こういった側面から改めて作品を感じること幸福感が贅沢だ。
2.2.(Wed)
- De-Lovely(五線譜のラブレター) - 津田沼PARCOシネパーク
作曲家コール・ポーターについては不勉強でそれほど詳しいプロフィールは知らず
この作品を鑑賞した。ミュージカル仕立ての部分が劇中でアーウィン・ウィンクラー
監督の分身ともいえる立場で登場のジョナサン・プライスによって導かれる構成上の
工夫が緩衝役になっていて純粋に音楽の豊かさが説得力を持っている。
2.3.(Thu)
- Ray - シネプレックス幕張
先日、オスカー受賞のジェイミー・フォックスはさすがレイ・チャールズそのもの。
企画段階から15年越しに公開を実現させたテイラー・ハックフォード監督以下、製作
スタッフの熱意も凄い。レイ本人が「真実を」と望んだ脚本は人物像を神格化したり
せず筋の通った深みのあるドラマになっていて見応えがあった。
3.6.(Sun)
- MAKOTO - シネプレックス幕張
君塚良一監督作品という期待。「踊る」脚本の面白さを自身が演出したらどうなる
んだろうと。原作の設定にあるファンタジーとしての要素を映像としてリアルに描写
するための試行錯誤や抑え目の色彩が人物像をきっちりと際立たせていて監督の狙い
は十分成功したようだ。
3.21.(Mon)
- Eternal Sunshine of Spotless Mind -
前作とは違い淡々と抑制の効いた語り口で失った記憶を彷徨い歩く物語で期待以上。
ミシェル・ゴンドリー監督+チャーリー・カウフマン脚本のコンビは今回何度も味わい
たくなる素敵な余韻の作品を届けてくれた。無防備な表情の寡黙なジム・キャリーは
ちょっとファンタジックなこの設定で痛々しいほどリアル。これはかなり好きな作品
に出会えた。
- いぬのえいが - シネプレックス幕張
全体的にはターゲットを低い年齢層に設定してあって差し障りのない短編が続くが
最後の「ねえ、マリモ」だけは別格。
自分も幼い頃、家にまっくろな毛のスコッチテリアが居て、ともに時間を過ごし、
このことは経験してきただけに…だからこそ、大切な記憶なのであるが。
4.16.(Sat)
- COFFEE AND CIGARETTES - シネセゾン渋谷
過去ジャームッシュ作品でパンフレットのフィルモグラフィに何度か見かけたこと
のあるタイトルであった。実際にはその時々、ショートフィルムとして発表もされて
おり改めてオムニバス形式の長編作品として、本当に見応えのある出演陣が配されて
11編の表現に深い味わいが加えられた。会話の呼吸、繰り返される話題、天井の視点、
モノクローム映像の距離感と温かみ。監督のリズムそのものが凝縮されている。
4.17.(Sat)
- THE MANCHURIAN CANDIDATE(クライシス・オブ・アメリカ) - シネプレックス幕張
自分にとっては「羊達の沈黙」以来久々になっていたジョナサン・デミ監督作品。
原作小説は東西冷戦下の情勢で書かれたらしいが今日的な視点に脳外科的な技術に
関しても明らかに行政への影響もないはずがない巨大資本企業の不気味な姿にして
もより一層リアルな説得力があると言える。場合によってはこの虚構世界より現実
は更に巧妙であればそれが事実とさえ気づかないはず。
これは原作小説同様カルト人気は得てもヒットしないだろう。
4.20.(Wed)
- SIDEWAYS - 津田沼PARCOシネパーク
アレクサンダー・ペイン監督は市川準監督のように市井の人々の何気ない暮らし
の中に見えるささやかなドラマを描くことに撮影の興味の中心があるように思う。
だから勝手にこれはアメリカ版「トニー滝谷」だ、と確信してしまう。ワインへの
造詣が自分には殆どないから深く理解できない会話も示唆に富んで含蓄が在りそう
で少し切ない雰囲気が「アバウト・シュミット」同様いい余韻を残してくれる。
4.27.(Wed)
- CONSTANTINE - シネプレックス幕張
かつて例のないキャラクターという訳ではないが、やさぐれキアヌ・リーヴスの
アンチ・ヒーロー像がつい“エヴァンゲリオン世界の濱マイク”と愉しい想像へと
向かってしまう。人物相関もそれぞれに多少誇張的なキャラクターも主張があって
なかなか面白かった。脚本の視点がキリスト教的主観から批評的距離をとって描写
しているような世界観が個人的に好きだが逆にそれがマトリックス的世界を説明し
てしまうパラドックスも。
5.3.(Tue)
- 真夜中の弥次さん喜多さん - シネプレックス幕張
豪快さんである。松尾スズキ氏「恋の門」同様、独自の作家性があって脚本構成
はきっちりと“リヤルでオリジナル”だし。それにしても見事にくど監的な配役が
贅沢で凄い。後半の一気に怖い感じになるのは「鈍獣」のイメージとも重なる。
5.7.(Sat)
- MAR ADENTRO(海を飛ぶ夢) - 日比谷シャンテ・シネ
首の骨折事故により齎された肢体不自由な生活、そして自らの存在理由を問うも
矛盾に溢れて正解の出ない思索の日々。ケルト民族の末裔であるらしいスペイン・
ガリシア地方で育ったラモンが部屋から見える窓の景色に海へと旅する尊厳のある
夢を馳せる、そこに自由を得るための苦い結論があったのだろう。だからこそ人生
に納得がいく、意味のある問いかけが残ったはず。美しい映像が心に残った。
5.8.(Sun)
- LEMONY SNICKET'S A SERIES OF UNFORTUNATE EVENTS (レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語) -
充実のジム・キャリー演じるオラフ伯爵が素晴らしい。演技が下手な俳優なのに
やたらと変装して登場するしつこさ。不幸続きの子供達のキャラクター造形も見事
だったし、先がある程度読めてしまってもこういった作品は全然問題無し。
- 交渉人・真下正義 - シネプレックス幕張
何といっても嬉しかったのがTVシリーズでも僅か一度の登場だった爆発物処理班長
で松重豊氏が本当に久々の復活になったこと。新たに加わった寺島進氏、そして渋い
キャラクターの國村隼氏とかつての「踊る」シリーズ枠からどんどんはみ出していく
顔ぶれが集結、ユースケ氏をまさにバックアップする。次回につながりを残すためか
着地点を濁したままだが地下鉄パニック作品として純粋に凝っていて愉しかった。
6.1.(Wed)
- female - 京成ローザ10イースト
JamFilms企画を久々に観賞。今回はテーマも明確だし、原作小説があり演出陣も
気になる顔ぶればかり。配役が何しろ絶妙だったが、なぜか共通してけだるそうな
まぶたの半ば閉じかけた感じが印象に残った。映像化されることが前提だったのに
意地悪く書かれたという篠原監督の「桃」の原作が特に読んでみたくなった。
6.26.(Sun)
- 戦国自衛隊1549 - シネプレックス幕張
実は1979年当時のオリジナル版映画は観ていないし原作も読んでいない。でもこの
作品は基本設定意外はほぼ無関係に製作されていて、歴史冒険娯楽大作として単純に
一気に見せられて楽しめた。何しろ戦国武将の細かい関係性云々一切抜きの荒唐無稽
で大胆な解釈が清々しい。江口洋介氏の誠実なキャラクターもよかった。
6.27.(Mon)
- BATMAN BEGINS - シネプレックス幕張
やはり、枯れた井戸に潜んでみること。壁を抜けるために必要な大事な行動である。
人物描写やお馴染みの設定のある種の種明かし的な要素で物語のピースを埋めていく
ディテール重視の語り口が個人的には面白かった。その積み重ねの上に後半は怒涛の
エンタテイメント性でアクションも充実。
役柄イメージでは意外なゲイリー・オールドマンの味のあるポジションがいい。
7.13.(Wed)
- 電車男 - 津田沼PARCOシネパーク
これが創作された脚本だったら全く異なる感想を抱くであろう、とても真っ直ぐな
心の交流がデジタルな世界と混在してストレートに届く。そして主演の二人の表情が
温かい余韻を残す、爽やかな演技がよかった。書き込み参加者の中で国仲涼子さんの
全部は語られないエピソードが物語をさりげなく後押ししている一つ大きな要素かも。
7.24.(Sun)
- LA MARCHE DE L'EMPEREUR(皇帝ペンギン)/日本語吹替版 -
最近、まるでシリーズ化されたように次々この類いのドキュメント作品が製作され
続けている印象。今回はペンギンの親子が語るという趣向で脚本が書かれ物語として
最初から枠を設定されていた。特に深い意図も無く吹き替え日本語版を観たが、この
作品の味わい自体は損なわれず楽しめたはず。音楽もよかった。
- STAR WARS episodeV:REVENGE OF THE SITH -
過去の全エピソードをスクリーンで観てきた立場としては素直にこの作品の完結を
喜びたい。視覚効果としては技術が格段に進歩し一部手直しはあるものの統一された
プロダクションデザインが世界観をずっと崩さず一貫しているのは凄い。
- 姑獲鳥の夏 -
堤真一氏の京極堂、なんて魅力的なんだろう。とはいえ原作も読んでいない自分が
見えているのはその世界観の僅かな一部分でしかないが。水木しげる役でご本人登場
だったのはエンドロールで知ったくらいだし。
- 星になった少年 Shining Boy & Little Randy - シネプレックス幕張
柳楽くんのスクリーンでの存在感がしっかり値踏みされるのがこの作品への評価の
中の大きな一要素。その難題は十分クリアしているようだ。常盤貴子さんの気丈な母
が終盤見せる激しい感情の揺れに、観ていてこちらも深く心を揺さぶられる。
8.1.(Mon)
- FLY,DADDY,FLY -
また堤真一氏の主演作、多分こちらの方が撮影が先だったはず。一転して肉体酷使
の情けない父役で、岡田准一君とのコンビがまた魅力的にはまっていた。勧善懲悪と
言ってしまえば意外でもない展開だが、ひと夏のファンタジーであり青春劇でもある
この爽やかな余韻は悪くない。母役=愛華みれさんもよかった。
- 亡国のイージス - シネプレックス幕張
福井晴敏氏の小説の映画化作品は「ローレライ」を見逃してしまった。今回は明確
に政治的な言及が中心に据えられ、息を呑む緊迫感のドラマがゆったりとした海上で
繰り広げられる。配役はまさに豪華共演。中井貴一氏の冷ややかで微妙な翳りのある
表情と存在感が特に凄い。そして真田広之氏は「清兵衛」以上に今回のキャラクター
の方が魅力的だ。
8.14.(Sun)
- リンダリンダリンダ - シネセゾン渋谷
ペ・ドゥナ演じるソンさんが素晴らしい。主演のバンドメンバーそれぞれが個性的
でキュートだが、とにかく表情豊かで清々しい。メインのブルーハーツはもちろん、
ユニコーンの「すばらしい日々」、はっぴぃえんどの「風来坊」まで聴けるとは思い
もしなかった。114分、ただ楽しかった。
8.27.(Sat)
- 容疑者 室井慎次 - シネプレックス幕張
室井慎次という人物はもちろんフィクションの中の存在だが今回描かれた彼の姿は
実際に息をして実在しているある武骨漢であるかのようだ。君塚監督渾身の脚本。
スピンオフ企画でありTVでの本編があってこそなのだが、これは映画で語るべき作品
である気がする。クライマックスでの“捜査本部”でのシーンの迫力が凄い。
8.28.(Sun)
- 運命じゃない人 -
とにかく脚本のアイデアが面白くて個性的。まずキャラクターがいちいち人間臭い
何とも愛らしい側面を垣間見せる細かい部分の描写が楽しくて違った視点から次第に
見えてくる結末のエピソードに大満足。「ミステリー・トレイン」みたいな時間軸の
構成の工夫は複雑なはずだが整理されていて一気に見せる演出力が凄い。
- サヨナラCOLOR - 渋谷ユーロスペース
先にサントラを買って予習していたので、ちょこっと流れる劇中の様々な音につい
反応してしまう。そしてラスト…歌に涙腺を刺激されてたまらなくなったのは「宝石」
以来。中島みゆきさん、凛々しくて素敵。
9.1.(Thu)
- 妖怪大戦争 - シネプレックス幕張
神木くん、もしや頭にすねこすり乗っけさせたらこの世で(いや、あの世で)一番
かもしれない。三池監督が描く冒険娯楽活劇大アクションとして信じられない強大な
敵=加藤保憲が余りにも脱力な結末を迎えるのもある意味真髄なのかもしれない。
9.10.(Sat)
- NANA - シネプレックス幕張
原作マンガのファンである訳じゃない。そこにまずひとつハードルがあるけど主演
二人のキャラクター対比のバランスは悪くない。ただナナのバンドの方がレンの方の
バンドより曲も存在感もしっかりしてるとさすがに説得力が失われてしまうので残念。
9.11.(Sun)
- Charlie and the CHOCOLATE FACTORY -
「ビッグ・フィッシュ」を撮り終えたからこそ、今回の原作に忠実なリメイク作品
もまるでオリジナルなプライベート・フィルムのごとくキテレツでめくるめく映像の
こういう意地悪いジョークが小気味いいスパイスになるのがバートン監督好調の証。
ウンパ・ルンパもジョーおじいちゃんも強烈に愛らしいキャラクターだけどウォンカ
が自然にハマるジョニー・デップも別格。
- SUMMER TIMEMACHINE BLUES - シネプレックス幕張
文字通り行ったり来たりを繰り返す脚本だから細かい伏線もばっちりな構成の妙に
単純に浸りながら、こうやって学生時代って無駄に過ごすんだよなぁと、つい感傷に
耽ってしまう。もっと病的に凝りまくって複雑でも良かったくらい。面白かった。
9.18.(Sun)
- メドン・ド・ヒミコ - シネプレックス幕張
ゲイのための老人ホームという設定に犬童監督らしさを勝手に感じてしまう。渡辺
あやさんの脚本は「ジョゼ」に続く監督とのコンビでもあり、更に細野さんの音楽。
繊細にただそこにある情感の微かな揺れが見えるかのような人物描写は時に残酷かも
しれないが体温が判る距離に居ることだけで十分だ。
10.16.(Sun)
- タッチ -
犬童監督がこの有名な漫画原作の題材で撮るとはかなり意外。長澤まさみ演じる南
は、その原作のイメージをあえてなぞらずにリアルなヒロイン像になっていて凄い。
斉藤兄弟も現代的にごく自然に達也・和也に見えたし正統派アイドル映画として成立
していればもう及第点以上のはず。脇を固めたキャラクターもよかったし。
- 蝉しぐれ -
原作の小説をきちんと読んでいないが「隠し剣・鬼の爪」を観たときに感じた清々
しく情感豊かな余韻がここにあって、日本という風土と歴史に気高さを感じた。武士
の世が跡形も亡くなってしまった現代であるからこそ、こうした丁寧な考証に基づく
作品表現が大事にされるべきだと思う。
- この胸いっぱいの愛を - シネプレックス幕張
スタッフとしては「黄泉がえり」なので、あとはストーリーテリングと配役で越え
られるか。その課題は十分クリアできたようだ。夢と交錯し境界が不明になるラスト
の描き方が独特の余韻。これはまた味わってみたい。
10.22.(Sat)
- 8月のクリスマス - シネプレックス幕張
韓国版、リメイク元の作品も既にビデオで鑑賞していたので、どうしても比較して
しまうか、まず観る前からちょっと気になっていた。作品全体の気配もロケーション
を日本に置き換えても違和感は全く無い、実に物静かでささやかな日常の風景がごく
当たり前の出来事としてしかし時間だけは残酷に思えるほど確実に過ぎる。残された
人は雪景色の中8月の景色にきっぱりと決別する。メッセージは控えめなまま。
11.1.(Tue)
- 私の頭の中の消しゴム -
元になった日本のTVドラマ「PureSoul」は見ていなかった。今回の映画化翻案脚本
のどこにオリジナルなアイデアがあるのか不明だが、フィールド・オブ・ドリームス
を思い起こさせるあの台詞はやはり感動的。主演二人の内面の複雑な葛藤と純粋さの
混在する抑えたリアルな感情表現に強く惹きこまれた。説明的な言葉を拝した演出も
素晴らしかった。
- カスタムメイド10・30 - シネプレックス幕張
広島市民球場での「ひとり股旅スペシャル」。これがまず中心に据えてある以上、
観ておかないわけにはいかない。木村カエラ主演でなんか「茶の味」テイストだなと
思ったら「FROG RIVER」の監督だった。この脱力の具合は賛否両論だろう。個人的に
は拍手喝采だったけど。
12.1.(Mon)
- in her SHOES -
カーティス・ハンソン監督の描く人物造形やメッセージはごくシンプル。身の丈に
うまく付き合える人生をあちこち傷を作りながら探し出してみようというもの。問題
のある私たちは映像の中にまるで自分のようなキャラクターの無様な姿を追いながら
悪くないかもと思える。マーク・アイシャムのスコアがいい。
- ALWAYS 三丁目の夕日 - シネプレックス幕張
昭和33年の帝都は、まだ夢に溢れ心が健康であった。改めて便利さの代償に喪失し
た何かを探りたくなる。誰だって、こんな切ない人との係わり合いがあるし完全では
ないはずだ。清潔なことが病的に思える平成の現在がやはり貧しく思える。
12.18.(Sun)
- カーテンコール -
昭和30年代を描いていても「三丁目の夕日」とはかなり色彩が違う在日韓国人への
差別も描写される問題提議なスタンス。でも「ホタル」を助監督していた佐々部監督
の脚本は「いつでも夢を」と音楽の中に希望を見据えながら味わい深く語る。地味で
ひっそりとしていながら余韻が心地いい作品に出会えた。
- 疾走 - シネスイッチ銀座
SABU監督が初めて原作のある題材に取り組んで描く世界はシリアスでどこにも逃げ
場なんてなくて、でも誰かわからないけど繋がっていたくてただ無性に駆け出したい
衝動に溢れる痛々しい風景であった。それでもこの町は「幸福の鐘」と地続きにある
と思える。そこで人々は正直に懸命に、ただ生き抜いているだけだ。
12.25.(Sun)
- 親切なクムジャさん - シネマスクエアとうきゅう
パク・チャヌク監督の映像表現は華麗で刺激的。ドラマチックな脚本の狙いの的確
さと凝った構成、主演イ・ヨンエが見せる過去のどの作品とも違う新しい表情の魅力
と作品としての到達点が直ぐに通過点になっていくかのような自在な描写力。凄い。 |