notes of cinema 17.
リリイ・シュシュのすべて  
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14歳という存在の危機を描く日本映画がここ数年、明らかに多数製作されている。
岩井俊二監督がその作品で繰り返し描く日本人の光景には、この世代への記憶に根付く印象深いシーンが多く認められるし
また死者との日常的な境界を超えて存在する人々の姿がそこにあった。
2001年、インターネットにおいて展開された不思議な小説は、その実験的な成立ちから再構築され、
痛々しくも実に岩井俊二監督らしい世界観により意識の荒野を逞しく闊歩する映像へと昇華していた。
notes 01.荒木経惟氏のFAX/ 2001.9.1312:33   

葬列の夕焼け、
生への空。
青空のカイトの、
死への空。
あーゆー空を、
映画にした
岩井俊二に
泣いた。
   -A

notes 02.監督・脚本:岩井俊二  
:2001年8月2日号ぴあアンケートに答えて
Q 一番最近に観た日本映画は何ですか?
A 「リリイ・シュシュのすべて」(200回以上観た)
「今回、毎日毎日数えきれないほど観たわけですが、まだ観たりない気がします」

:ぴあ Long Interview vol.22 より
「今回はインターネットの言葉を、間にコラージュではめていくということもあって、あらゆる選択肢が想定されて。
かなり一個一個検証してた。
撮影したものを全部つなぐだけだったら、それほど差は出ないんですけど、そこにはめていく文字が変われば、また全然流れが変わっちゃう。
ある程度の言葉は台本上でピックアップしてたんですけど、最終的な吟味は仕上げでやろうと思ってたんで、それに膨大な時間がかかったって感じですかね」

「すべてにおいて100%というのはなかなか…確かに、やってる最中はそうとう見えない日々の連続というか、どういう映画にすりゃいいんだ、っていう感じがありましたね。
ある段階から急激に加速したっていうか、全部撮影が終わって、一週間ぐらいでとりあえず、アタマから最後までいったんつなぎ終わったんですけど、
最後のシーンつないでるあたりで、『あ、これで終わりだっけ?』っていう状態があって。
通しで見る前なんですけど、意外と、『あ、こんなもんか?』って感じだったんです。
なんか、物足りないな、っていうのがあって、『短いつきあいだったな、お前』っていうか(笑)。
わりとニュートラルな感じでやってたんで、それが災いしたのかな、なんて思ったりして。
その後に(パソコン上の)文字をのせていく作業があって、最終トリートメントに入るんですけど、ある瞬間からドップリはまってしまった。
後半の2ヶ月は、"脱け出せない感"があって、"脱け出したくたい"っていうか。
どんより、はまってましたね。気がつくと、一日ただ見てるだけで終わってたり。ダメだ、仕事しなきゃって感じ(笑)。
不思議な経験でしたね。いままで、そういうことはなかったから」

「あの映画が要求しているものは何なんだろうということを追撃していった結果、ああいうことになった。
ただ自分の中では、あれはすごいハッピー・エンドなんですけどね。
非常に悲惨なところではあったけれど、非常に貴重な時間を彼らは生きていたってことが最後、結晶化したって気がする」


-STAFF-
監督・脚本:岩井 俊二
撮影:篠田 昇
音楽:小林 武史
Featuring : CLAUDE DEBUSSY
-CAST-
市原 隼人
忍成 修吾

伊藤 歩
蒼井 優

松田 一沙
細山田 隆人
郭 智博
笠原 秀幸
勝地 涼

阿部 知代
市川 美和子
田中 要次
吉岡 麻由子
杉本 哲太
大沢 たかお
稲森 いずみ