notes of cinema 21.
壬生義士伝  
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「おもさげながんす」
この南部弁は、劇中何度も登場する。
言葉の響きの不思議。
「南に遠く早池峰山」
自分の郷里ではない南部、盛岡の情景に郷愁が宿る。
幕末の酷な時代にあっさりと散ってしまった男の儀。
志とは何なのだろう。
武士(もののふ)の姿とは。
語るべき資質を備えている原作者、監督、そして俳優の表現の結晶に、涙が止まらなかった。

notes 01.監督:滝田洋二郎 
 心地よく泣けたんです。まさに我々の話だと思いました。
小説や映画に描かれてきた新撰組の有名な人物たちとは違う男が、こんな生き方をしていた。
無名の男の生き方にちゃんと伝えることが出来るものがある、というのが素晴らしかったですね。
今まで学校や社会でこうした人を見てきたかもしれない。
あるいは家族に対して、社会的な組織に対して、吉村貫一郎のようにすべてに対しては出来なくても、誰しもどれかひとつは自分の中にも似た要素を持っているはずなんです。
照れくさいけれど、誰もが貫一郎のように生きられるかも知れない。
そこを描きたい、と思ったんです。
今の人が見ても人間のあり方としてはちっとも古くない。
たまたま新撰組という背景として面白い題材もありましたが、まずは貫一郎という人物を描きたい、と思ったわけです。

notes 02.中井貴一 
 脚本が先で、原作は後に読みました。
僕は役づくりをする時に、あまり原作にとらわれないようにしているんです。
原作と映像とはやはり違うものですし、原作を確実に映像化するのは難しいですから。
やるとしたら極端な話、10時間映画くらいやらないと(笑)。

 言葉って、すごく入り易い言葉と、入り難い言葉があるんですけど、盛岡弁は僕にはすごく入り易い言葉でしたね。
僕が思うに、この映画の主人公、貫一郎の人となりをあらわす部分として、盛岡弁が占める割合って大きいと思うんですね。
言葉のニュアンスというものが風土の人間を形づくっていく。
現在の日本はたぶん、どこに行っても標準語で通用するでしょ。
郷土の言葉って大事にしていきたいなあって、つくづく思います。

 決して貫一郎は自分のために行動を続けていない。
全て他人のために生きている。
それは多分、人間の生き方としたら損な生き方なんです。
だけど、僕はそういう生き方をしている人間の背中を見たら、「頑張れ」と声をかけたくなるでしょうね。
「ああ、人間って捨てたもんじゃない」
そう感じていただいて、若い人や海外の人にも観てもらいたいと思いますね。


-STAFF-
監督:滝田 洋二郎
原作:浅田 次郎(「壬生義士伝」文春文庫 刊)
脚本:中島 丈博
撮影:浜田 毅(J.S.C.)
照明:長田 達也
美術:部谷 京子
録音:小野寺 修
音楽:久石 譲
音楽プロデューサー:小野寺 重之
協力:岩手県盛岡市・壬生義士伝を支援する会
-CAST-
中井 貴一

三宅 裕司

夏川 結衣

塩見 三省
堺 雅人
野村 祐人
伊藤 淳史
藤間 宇宙
伊藤 英明

村田 雄浩

中谷 美紀

佐藤 浩市