notes of cinema 04.
DEAD POETS SOCIETY/いまを生きる  
リストへ戻る。 memo05へ。
森へ行ったのは 思慮深く生き
人生の真髄を吸収するためだ
生活でないものは拒み
死ぬ時に悔いのないように生きるため
ヘンリー・デビッド・ソロー 「ウェルデン−森の生活」

厳かに描かれる伝統と格式ある教育現場といった雰囲気にアイリッシュ系の音楽。
この作品の舞台がアメリカであることが俄かに信じ難い、
欧風の質感のある作品、という印象を強くもったのを覚えている。
青春の通過点と言い切るには余りに切なく、
重くもある原題:DEAD POETS SOCIETY の意味するテーマと
劇中の引用として「いまを生きる」=青春の謳歌と、
ある意味安直に感動作を結論付けたように思える邦題とのギャップが確かにあって、
天邪鬼に「素直に乗せられて感動なんぞするものか」などと
斜に構えて観始めたものの、
淡々と静かに訴えかけてくるメッセージを求めていた自分に気づくに至り、
映画館のスクリーンで出会えたことを嬉しく思えた。
今にして思い返せば、それこそが己の若気の至りである。
notes 01.監督:ピーター・ウィアーは語る・・・
:インタビュー/佐藤友紀

−物語の設定が'59年というのは、特別の理由があるのでしょうか。

P.W.「僕はあると考えてる。一つの年代の終わりには電気が走るような瞬間があるだろう?
'59年のアメリカは、アイゼンハワーの富と栄光の時代の終わりを指していると思う。
表面的な規律と繁栄の中に、偉大な変化と不安の種がまかれてこっそり忍び込むような、我々が後に知るように、
この後すぐアジアでは戦争が勃発し、黒人達の間には不満がくすぶり、
若者達が変化を求める新しい時代に突入していくんだから。
その視点から見ると、少年達と教師は来るべき変化を予知していると言えるし、
ラストの教室のシーンはそのデモンストレーションであるとも言えると思う。
そしてなおかつ、この作品は'60年代を表している、ともね。
あの時代の社会的変化、親子関係…etc、の魁として。
言ってみれば、学校は一つのミクロの国家だから。
僕は、変化というものは徐々に受け入れない限り、凄い勢いを持って押しかけてくるものではないか、と思っている。
撮影の終盤、あの6月4日の天安門事件が起こったんだけれど、とても平穏ではいられなかったよ。
恐ろしい事件と、それが起こる前の喜びと興奮、そして嵐の前の静けさが、あまりにもこの作品と重なっているから。
今、この作品を天安門広場で見せることができれば、あの時の学生はきっと『いまを生きる』が何を訴えているのかわかってくれるはずだ」

−どこかオペラ的な匂いを感じることもあるのですが…

P.W.「そう!実際、私もオペラ映画を撮ることを考えたんだけど、ま、それは立ち消えになったんだ。
ただ私の各作品はそれぞれがオペラ的だと自負している。
『刑事ジョン・ブック/目撃者』にしてもまさしく[蝶々婦人]で、報われない恋を描いているしね。
もっとも、今のところ映画以外−例えば舞台とか−は考えてないよ。
以前、シガさんという日本の陶芸家と出会って、'72年には彼の講義の一部なんかをドキュメンタリーにしたんだけど、
その彼を通してある哲学にぶつかったんだ。
西欧では、芸術家が何かを創造するとそれだけで一種の神のように持ち上げられるのだけれど、そうじゃない、と。
真のアーティストは、長年、鍛錬を繰り返し、業を積むことである点に到達して、
そこで神が初めて、その人物の作った物に手を触れることによって芸術品に作り上げられる、ってね。
僕はそれを信じている。
窯に入れて焼き上がった物が出て来る時は、マジックのように素晴らしい物もあれば、こわれてしまう物もある。
自分が出来ることはは神の手でそっと触れられるまでに、自分自身と対峙し、業を積むことでしかないと。
これは僕の映画監督としてのポリシーだよ。
ちょっと西欧人のコンセプトと違うけどね」


−STAFF−
Directed by: PETER WEIR / 監督:ピーター・ウィアー
Written by: TOM SCHULMAN / 脚本:トム・シュルマン
Music by: MAURICE JARRE / 音楽:モーリス・ジャール
-CAST-
John Keating: ROBIN WILLIAMS / ジョン・キーティング:ロビン・ウィリアムス
Neil Perry: ROBERT SEAN REONARD / ニール・ペリー:ロバート・ショーン・レナード
Todd Anderson: ETHAN HAWKE / トッド・アンダーソン:イーサン・ホーク
Knox Overstreet: JOSH CHARLES / ノックス・オーバーストリート:ジョッシュ・チャールズ
Charalie Dalton: GALE HANSEN / チャーリー・ダルトン:ゲイル・ハンセン
Richard Cameron: DYLAN KUSSMAN / リチャード・キャメロン:ディラン・クスマン
Steven Meeks: ALLELON RUGGIERO / スティーブン・ミークス:アレロン・ルッジェロ
Gerard Pitts: JAMES WATERSTON / ジェラルド・ピッツ:ジェームス・ウォーターストン
Mr. Nolan: NORMAN LLOYD / ノーラン校長:ノーマン・ロイド
Mr. Perry: KURTWOOD SMITH / ペリー氏:カートウッド・スミス
Chris: AKEXANDRA POWERS / クリス:アレクサンドラ・パワーズ