notes of cinema 05.
NUOVO CINEMA PARADISO/ニュー・シネマ・パラダイス  
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学生の頃、アルバイトで過ごしたことのある劇場の映写室。
当時の気分を思い返すと、それ程特別に心躍るような記憶ではなかった。
上映終了後の古びたシートや床に残るゴミを集め、場末を感じていた。
でも、そうした気分は記憶の中で勝手に熟成し、都合よく改変されていく自分に気づく。
結局、自らが留めておきたい物事と結びつき、連想は現在の思考の中で新しく反芻させられてゆく。

その小さな覗き窓から目にする風景を懐かしく思い出させる、映画と、映画館を愛する作品。
こっそり集めたフィルムをつなぎ合わせた「アルフレードの作品」、
その映像にエンニオ・モリコーネの旋律が重なり、台詞=言葉では表現できない切なさが溢れる・・・。
弱冠33歳トルナトーレ監督2本目の長編映画は、その最初の公開から不朽の作品であるかのようだった。
notes 01.ジュゼッペ・トルナトーレ監督の言葉:パンフレットより

わたしが表現したのは、わたし自身の子供時代を思い出させるひとつの歴史だ。
主人公の少年トトと同じく、わたしはシチリアの村で育ち、映画に魅了された。
いつも映画の中に答を見つけていた。
すべてのことを教えてくれたのも映画だった……。
今はもうなくなってしまった「パラダイス座」という映画館は、
村人が他の世界を知るための通路のようなものだった。
この映画館の歴史は、より美しい世界に憧れて
毎日映画館に詰めかけてきた村人たちと、切っても切れない関係にある。
……トトは、映画のスクリーンの人物によって、人生を生きていた。
父親のいない彼は、父はきっとクラーク・ゲーブルのような人だと思い、
このアメリカ人スターの映画を見ては、父親の姿をあれこれと想像していた。
また年老いた映写技師アルフレードはトトにとって、時には父親の代わりであり、
また映画への愛を目覚めさせてくれた魔術師でもあった。

notes 02.評論:淀川長治氏:パンフレットより抜粋

それにしても映写技師を主役にした映画を私は見たおぼえがない。
70年以上映画を見つづけてきた私が一本もそのようなものを見ていない。
たとえひょっとして見たか、見逃したかにしても、
映写技師が主役の映画を見たことがない。
あのサイレントのころ、いやトーキーとなったいまも、あの劇場のうしろの一角、
あの中から光を発して映写する映写技師こそはマジックスター。
この映画はフィルムを燃え上がらせ、そのマジック・ボックスまで焼き落とし、
ついに技師の"目≠ワでうばってしまった。
その残酷に胸をつまらせたあと、この映画にあふれた映写技師への賛歌、
ひいては映画そのものへのきびしい愛が、いっそう胸を打つのであった。


−STAFF−
Written and Directed by: GIUSEPPE TORMATORE / 監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
Music by: ENNIO MORRICONE / 音楽:エンニオ・モリコーネ
-CAST-
Alfredo: PHILIPPE NOIRET / アルフレード:フィリップ・ノワレ
Salvatore: JACQUES PERRIN / サルヴァトーレ:ジャック・ペラン
Salvtore(as a child): SALVATORE CASCIO / サルヴァトーレ(少年時代):サルヴァトーレ・カシオ
Salvatore(adolescent): MARIO LEONARDI / サルヴァトーレ(青年時代):マリオ・レオナルディ
Elena: AGNESE NANO / エレナ:アニェーゼ・ナーノ
Anna: ISA DANIELI / アンナ:イザ・ダニエリ
Maria(old): PUPELLA MAGGIO / マリア(年老いた):プッペラ・マッジョ
Maria(young): ANTONELLA ATTILI / マリア(若き日の):アントネッラ・アッティーリ
Father Adelfio : LEOPOLDO TRIESTE / アデルフィオ神父:レオポルド・トリエステ