武蔵野犬式ライナーノーツ

武蔵野犬式


                                  
1.蒼き旅烏
とっぱじめのサビのフレーズが最高に力づけられる。拳振り上げて気持ちよく叫べる。
このまんま突っ走るぜ!という気持ちにさせてくれる。
このメロディーにこの歌詞ありき、というマッチ具合。
自分は、よく自転車を漕ぎながら歌っている。
こないだ、授業で生徒に唄って聞かせた。
ちなみに、ミッシェル@幕張ラストライブ前にも、なぜか会場前で合唱した。
Bメロとっぱじめ、「母ちゃん」「父ちゃん」などと歌詞に思いっきりのせるのはかっこいい。
そんなの他に聴いたこと無いよ。
こんな感じで「女は」と作ってくれるアーティストはいないだろうか?
2.欠けたパーツの唄
とがっていた若かりし日のことを振り返っているのか。
自分はここまでとがってはいなかったが、周囲との温度差を感じながら生活し、
音楽を通じてカッチリとかみ合う仲間を見つけた感動がオーバーラップする。
かみ合う相手を見つけるには、自分もかみ合わせを見せなければならない訳で、
つまりそれは自己開示なのか、と思った。
たまたまパーツのあった相手が見つかった訳ではなく、
自らも傷口を見せたんだと思うな。「触るな、寄るな」は乗り越えて。
「今、最中で俺達」→「もなか」と読まないように。
3.クソッたれのテーマ
生きて、泣いて、笑って、唄って、走って、飛んで、とにかく能動的に行け!と。
クールにキメてなんかいないで、己に正直に行け!と。
感覚を研ぎ澄まし、抑圧すんなって。
現代の少年少女が聴いたらどう思うのだろう。
「え〜、かっこ悪ぅ〜」とか言ってるうちはまだまだ青い。(蒼じゃなくて青ね)
そんな人間なんてカッコイイもんじゃないって。
クソッたれだからさ。 「いつもオレの背中に」の泣きのボーカルが沁みる。
4.泪ヶ丘に立つ男
ちょっとセンチメンタルな自分探しの唄か。一見後ろ向きだが、
原点回帰して明日へ向かっていく覚悟を決めているんでしょうね。
兄ぃは昔、髪の長い娘と付き合っていたのか?と思わず勘ぐってしまった一曲。
また、「生活観」については、
怒髪天の皆さんはやりたいことをやって生きている人たちであるようでいて、
実は、そうでもない辛さ、現実を体験しているのだな、と感じさせられた。
そこから、暴れてはみ出しちゃってるような気もするが・・・。
5.NINKYOU-BEAT
珍しいrylic の書き方だ。
歌詞カード見てどうしたの?って思ったが、こういう表現もするんだなあと知った。
しかし、よくよく読むと、義理、人情、徒花、緋牡丹、鉄火場、などその筋の言葉ばっかり!
ピカレスクってなんだかスピッツのトロピコを思い出したよ。
出だしのギターのチャラリラ〜が、ストレイキャッツと時代劇音楽をMIXさせたような仕上がりで、
こりゃイイ!
王子のギターのセンスって実はすごい。
6.宿六小唄
ちょっとおどけた横ノリのメロディーと歌い方で、なんだか緊張が解ける曲である。
情けない現実をちょっとふざけて皮肉って歌っちゃうよ的な怒髪天のちょっと前までの実情に近い曲なんでしょうか。
シミさんの「チクショー!」という合いの手がとても好きで。
ライブで一緒に叫びたい。(ちなみに先日九産大で叫んでスッキリした)
“どうして明日が見えてこようか”の直後、王子の「チャーン」というギターの合いの手も
思わずシャドーギターを弾きたくなるタイミングである。
7.社会人ファイター
これは、昔から日ごろ思っていたことを見事代弁してくれた曲。
兄ぃたちは自分とほぼ同世代ということもあり、
何気ない表現ひとつひとつにリアリティを感じる。
アッチ側になったり、コッチ側になったりしながらも、この感覚には常につきまとわれていた。
どっちかといえば“能力ゼロの俺”がぬきんでている今日この頃なので、
とても身につまされる。兄ぃのぼやき台詞にちょっとドキドキしたりする(爆)。
声、イイね。
8.旅路
しばらくインパクトが感じられず、聴き流し曲になっていたが、
実は最近断然好きな曲になっている。
前二曲がちょっとふざけ路線なら、この曲はマジ路線。
とっとと死ぬ気で生きてるのか、このオッサンは、と思う(失礼!)。
「蒼き旅烏」ともつながる世界で、人生を旅に例えて、
この不安がどこまで続くのかということを言いたいのだろう。
己がバンドマンなんかになるからじゃ!
いや、バンドマンじゃなくたってこの先不安なのはみな同じ、普遍的テーマ。
大会社だって銀行だってだって潰れる世の中だもんな。
明日なんてわからん。
9.福音魂列車弐号
この曲の良さはまだ掴んでいない。
しいて言えば“愛の石炭 夢の水”というフレイズがいい。
あと、曲タイトルもいい。
しかしなぜだかあまりグッとこない曲なのである。
90年代の普通のパンクっぽい内容だからか?
ブルーハーツあたりがやっていそうな。(2003.秋)
2004.07.17
ところがどっこい!!最近ですね、脳内DJで勝手に廻るんです。
いい曲ってのは、効き目が出るまでに時間がかかることもあるものですよね。
それにしても、自然と頭の中で奏でられるってことは凄いことですよね。
そんな曲を作ってみろ!と言われたって出来ませんよ!
こればっかりは計算じゃなくて、感性だもんなあ。
10.吠-HOEROU-
「武蔵野犬式」はきっとこの曲から飛び出したアルバムタイトルなんだろう。
毛並みも血筋も頭も悪い、ってとこが妙に好き。
こんなみっともないこと歌詞にするのってさあ、かっこいいよね。
世界観的には「欠けたパーツ」と近いと感じた。
ただ「欠けた」より救いようが無い。
椎名林檎の「歌舞伎町」におけるフィクションに近いのだろうか。
11.207
侘しい。
振られて孤独な男ってこんな感じなんだろうか、と想像力を掻き立てられた。
女の失恋とはまったく質の違う寂しい感じ。
女は恨み節になったり、自己中になりがちなんだけど、
男は未練なんだなと改めて思った。
いつまでも夢をみているようでね。
最近ではストーカーになる男も多いけど、
これは物理的にはキッパリ決別されていて良い。
心理的には山崎まさよしの“いつでも探しているよ”と意外と近い状態なのかな?と思った。
顔も声も“忘れたんだ”と言いつつ、思いは残っているわけで。
もしかして、実体験?とまた邪推を・・・。
あたしが振った男もこんな気持ちになったのか、とちょっと勉強になった。
12.サスパズレ
ハイ!これは絶対になければならない曲。
サスパズレとは東北の猟師の言葉で“規格外れ”“外れもの”のような意味らしい。
みんなどこかにサスパズレ的な部分って持っていると思うので、是非知っておくと良い言葉、曲であると思う。
“モノサシを叩き折れ バリバリのオリジナル”のフレイズがまったく持ってイイね。
なにも叩き折らなくても、とは思うが、そのくらいの勢いが必要かも。
ただ、兄ぃの場合、バリバリのオリジナルすぎる格好をなさっていたことがあるので、いかがなものかとも思う(笑)。
ゆら帝の坂本さんの若い頃とたいして変わらないんじゃないかと思ったものである。
兄ぃは顔が男前で良かった。あっちは化け物だから(でも好き)。
“流行の唄は 知らなくていいから”もぜひとも心に留めていただきたいフレイズである。
流行の曲に中身があるかっていうと、消費するにはいいけど、一生大事にしたくなるような質は無いものが多いでしょ?
スガシカオの「ヒットチャートをかけぬけろ」ミスチルの「退屈なヒットチャートにドロップキック」をもっとぶっとばして、
だからヒットチャートが何?というサスパズレな節である。
まさに、数字勝負ではない、質的世界である。
王子のマシンガン・ギターがまた冴えていて、詩、メロともに怒髪天のよさが結実した一曲である。