世界のピアノから: 世界遺産の街・タリンから

世界遺産の街・タリンから

2005年の9月下旬,エストニアの首都タリンに行ってきました.

タリンの街並み1997年にユネスコ世界遺産に登録された旧市街は中世の町並みがそのまま残り,歴史的な建物の中にいると現代にいることをふと忘れてしまう,そんな街でした.

博物館の看板この旧市街の南の端に,演劇と音楽史の博物館(Teatri-ja Muusikamuuseum)があります.注意していないと見落としてしまいそうなほど小さな博物館で,観光客はほとんどいません.私が訪れた時も,開館時間を少し過ぎたところでしたが,まだ見学者はおらず,係の女性がのんびりと新聞を読んでいて,私に気づくと展示室の照明をつけてくれました.

竪琴を模したもの展示物はエストニアの民族楽器や古い時代の西洋楽器,年代物のオルゴールや自動ピアノですが,これらの中に「Estonia」というピアノがありました.エストニアには自国の名前のついたピアノがある,という話はピアノ工房アムズさんから聞いていたのですが,実際に目にすることができるとは思っていませんでした.

Estoniaピアノ・鍵盤ここに置いてあったのは1983年製もので,博物館でのコンサートに用いられているということでした.せっかくなので係の方に「もしご迷惑でなければぜひ弾いてみたいのですが」とお願いしたところ快諾くださり,少しだけ弾かせていただきました.

Estoniaピアノ・本体 鍵盤を押した瞬間に広がったのは甘く優しい響き―「ホァ〜ン」という形容がもっとも適切でしょうか.ロマン派の作品がとても似合いそうな,ロマンティックな音色がゆっくりと空気に乗って流れていく感じでした.この音色を一人静かに聞いていたら,その心地よさに時の経つのも忘れるだろう―そんな気持ちにさせるピアノでした.

博物館のその他の展示物について少し補足しておくと,オルゴールと民族楽器は実際に試すことができます.私が行った時は他に見学者がいなかったので,係の方が一緒に回ってくれ,英語で一つ一つ丁寧に説明してくれました.その他の展示物にはエストニア語の説明が横についていますが,外国人には英語の説明カードを貸してくれます.また,展示室は建物の最上階にあり,階下は研究所になっています.

さらに詳しい情報はこちら
エストニア 演劇と音楽史の博物館
エストニアピアノ

余談ですが,この日は展示室で古楽のコンサートが予定されていたらしく,見学を終わった頃にちょうど始まったリハーサルを聞かせていただくことができました.のんびりした街の中にある人気のない博物館で聞いた古楽器の音色は旅の疲れを癒してくれる優しい響きでした.やっぱり音楽っていいですね.

 
(2006年10月21日) 目次C. Bechstein B →
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