ブラームス        (1833-1897)
ピアノ協奏曲第二番
第一楽章 アレグロ・ノン・トロッポ
第二楽章 アレグロ・アパッショナート
第三楽章 アンダンテ
第四楽章 アレグレット・グラツイオーソ

アシュケナージ ピアノ
ウィーン・フィルハーモニック・オーケストラ
指揮: ハイティンク
チェロ: ロベルト・シャイヴァイン

国際政治の楽屋裏を発狂させた男《リヴィエラ》.

夥しい諜報戦士たちの血を吸い込んだコードネームは,一人の天才ピアニストに死を賭した東京公演を決意させる.
(1992)


高村薫の「リヴィエラを撃て」の象徴的な人物シンクレアの数奇な運命の最終楽章は、
東京のコンサート会場での、ブラームスのピアノ協奏曲第2番に集約された。
一楽章から四楽章まで、高村薫はシンクレアの辿った軌跡とピアノ協奏曲の展開とを重
ね合わせて、いかにもこれが書きたかったとでもいうように、延々と文章を繋げていっ
ている。(「小説」ー>「本のすこし」参照)

ブラームスの曲は交響曲に代表されるように、重厚な低音の鳴り響く中、暗い情熱が
音圧となってせまってくる。
ピアノ協奏曲第2番は高村薫の「リヴィエラを撃て」にひかれてアシュケナージのCDを買い求めた。
いわば、高村薫の記述のひとつひとつを確かめるような形で演奏を聴く事になったわけである。
この曲もまた、厚く、深く、太いといった言葉を想起させるが、ピアノは確かに衝撃的で、
超絶技巧といった風であった。 
シンクレアの「暗い情熱」が沈降し、蘇り、叫び、壮絶な音の嵐の中に崇高に立ち尽くすのである。

久しぶりに大芝居風の曲を聴く事になった。