ICO_283
 主な研究課題


page4_3 平野の微地形に関する研究:

 沖積平野を構成する扇状地・氾濫原・三角州や海岸平野にはわずかな起伏を示す微地形が存在する.このような微地形は土地利用の違いと関係するだけでなく,水害や地震時の揺れ・液状化などのさまざまな自然災害において被害の違いを引き起こす.海津はこれまで数多くの沖積低地(沖積平野と海岸平野の総称)において低地の形成や地形を構成する堆積物,自然災害と低地の微地形との関係などを検討してきた.とくに,低地のそれぞれの微地形はさまざまな特徴を持っており,その特徴や特性を解明することは低地の自然環境や自然災害との関係を考える上で極めて重要である.

 page10_5 平野の微地形についてひとこと

  page10_4 扇状地(沖積錐)について:

  土石流によって背後の山地を刻む谷から土砂が堆積して形成された扇状地状の地形が存在する.多量の土砂が河谷を流れ,比較的狭い堆積場に堆積した場 合には河道の移動が繰り返しおこらなくても半円錐形の堆積地形ができる.このようなものは沖積錐とよばれ,比較的小規模であり,地表面の勾配は大きい.堆積物は淘汰の悪い礫や土砂からなり,岩塊状の巨礫が含まれることもある.従来の地形分類の中にはこのようなものを含めて扇状地としている例も多いが,防災 の面からはこのような場所はとくに土石流災害の危険性が高いので,一般の扇状地とは区別して沖積錐,あるいはその用語がわかりにくければ土石流扇状地などとして区分した方が良いと考える.

  page10_4 自然堤防について:

 氾濫原を特徴付ける微高地としてはまず自然堤防をあげることができる.自然堤防は基本的には河川の氾濫に伴って河道沿いに土砂が堆積して形成された微高地であり,洪水時の自然の堆積作用で河岸に形成された微地形である.学生を連れて巡検に出かけ,現地で自然堤防を説明すると,人工の堤防を自然堤防であると誤解する者が希にいる.また,自然堤防=「自然の堤防」として認識している例もあり,洪水時に水流が溢れるのを防ぐように存在している丘陵や台地の一部などを自然堤防として誤解した例もある.自然堤防が河川の堆積作用によって作られた微地形であり,土木工事によって建設された堤防でもなく,単に堤防の役割を果たす自然地形(自然の堤防)ということでも無いことを知っておくことが望まれる.



ICO_262 
第四紀における地形環境変動史の解明:

 新生代第四紀,とくに後期更新世以降の環境変動史の解明と地形・人間活動との関わりについて検討.最終間氷期および後氷期における堆積物から環境変動を解読するとともに地形発達史を明らかにする.完新世における環境変化・地形変化に関してはボーリング調査などによって採取された沖積層の分析により,堆積環境・古地理・地形発達史を解明し,海水準変動や土砂供給量の変化,洪水の頻度などとの関わりについて検討.

Shoalhaven01 Shoalhaven02
オーストラリアShoalhaven低地の沖積層と堆積環境の変遷 (Umitsu et al. 2001)

ICO_262 
自然災害と地形環境に関する研究:

 古くから人々の生活は自然環境と密接な関係をもち,自然環境に大きく依存してきた.とくに,日本をはじめとする東アジア,東南アジアなどの地域では稲作が行われる沖積平野や海岸平野が生活の場となっていることも多く,これらの地域では同時に洪水をはじめとする様々な災害の影響も強く受けてきた.なかでも,東南アジアの沖積平野・海岸平野では今日においてもインフラの整備が十分に行われていないところも多く,自然災害に対してきわめて脆弱な環境となっている.このような地域において発生した自然災害に関して,災害の実態やそのメカニズムを明らかにするとともに,自然環境と人間活動との関わりについて検討し,災害の復旧・復興に資することはきわめて意義深い.
 これまで,海津はバングラデシュにおいて水害・サイクロン災害と低地の地形に関わる調査を行い,海津(1989, 1991),Umitsu(1993, 1997)などで報告するとともに,2004年12月26日にスマトラ沖で発生したマグニチュード9の巨大地震に伴う津波災害について,津波被災地域であるタイのアンダマン海沿岸平野とインドネシアのバンダアチェにおいて2005年1月以降数回にわたって現地調査をおこない,それらの成果をUmitsu et al.(2007),海津(2006, 2007),海津・高橋(2007)などで発表している.さらに,2011年3月11日には東北地方太平洋沖地震によって東日本大震災が発生したが,その津波災害についても海岸平野における津波の流動などに関しての検討を進めている(海津, 2011, 2012ほか).

2
QGISで表示した石巻市海岸部における東日本第震災時の津波遡上波の流動(海津, 2012)

Aceh01Aceh04
              インドネシア共和国Banda Acehにおける津波の被害

Nam Khem01Nam Khem02
           タイ王国Nam Khem平野における津波堆積物の分布と津波流動方向

ICO_262 環境変動と人間活動:
 
 人類はその出現以来,自然環境の中で生活し,自然環境に対してさまざまな働きかけをしてきた.とくに,沖積低地や三角州,海岸平野などの極めて地形的に不安定な地域では,人類はさまざまな制約の中で生活し,自然環境に対してさまざまな対応をしてきた.これらの地域における最終氷期以降の人間活動は急激な気候変化や海面上昇の影響を強く受け,さまざまな自然災害との戦いでもあった.近年注目されつつある地球温暖化にともなう海面上昇の影響などグローバルスケールからリージョナルスケールまで,三角州や海岸平野を中心に人間活動と自然環境との関わりについて多面的に検討する.

Vietnam1Hue
coast041
 メコンデルタにおける土地が流されつつある民家(左上) (1999.12 海津撮影)
 ベトナム中部Hue付近の海岸侵食で破壊された家屋(右上)(2000.3 海津撮影)
 チャオプラヤデルタ(タイ)の海岸侵食で残った電柱(左下)(1997.12 海津撮影)
 ベトナム中部Hue付近の海岸侵食で破壊された家屋(右上)(2000.3 海津撮影)
 メコンデルタの水面すれすれの土地(2000.12 海津撮影)

ICO_262 QGIS/GRASSを用いた地形環境の把握:

近畿SRTM1
SRTMデータを用いてGRASS
NVIZで表示した近畿地方の鳥瞰図

1
基盤地図情報データと5mDEMデータを用いてQGISで表示した近鉄大和西大寺駅周辺地域

HOME06 海津正倫のトップページへ戻る