酩酊







 宴会のあと、副船長はいつものように酔い潰れたシャンクスを彼の部屋まで連れていった。
 シャンクスは決して酒に弱い方ではなかったが、自分の限界を超えても平気で飲み続ける男だった。
 今夜も一人で立てなくなるほどに酒を煽った船長を、引き摺るようにして室内に押し込む。
「ほら、お頭。ちゃんとベッドで寝ろよ」
 床の上で寝転がってしまったシャンクスに声をかけるが、へらへらと笑うだけで話にならない。
 酔いのためか、ベッドの上で一運動した後のような瞳を向けてくる。
「冷たくて気持ちいい…」
 その声には、意識しているのかいないのか、どこか誘っているような響きがあった。
 しかし、たとえ確信犯でも簡単に乗せられてやる気はない。
 起き上がろうとしない船長を、無理矢理引っ張り上げベッドに放り投げる。
「まったく…うちの船長は手間がかかる」
 呆れ顔で言うものの、世話を焼くのが嫌なわけでない。
 そういう目の離せないところも気に入っていた。
 ただ、自分の目の届かないところで、こんな無防備なところを見せられては困るが――
「もっと丁重に扱えよ」
 文句を言うシャンクスを無視して、副船長は部屋を出ようと身を翻した。

 後ろを向いた瞬間―――
 突如腕を引っ張られベッドの上に倒れた。
 その上でシャンクスが楽しそうに笑っている。
「お頭、遊んでないでさっさと寝ろ」
 溜息と共に吐き出した言葉は、シャンクスを止めるには至らない。
「イヤだ。それよりベック。いつも俺ばっかり痛いってのは不公平だと思わねぇか?」
 何を考えているのか、不敵に微笑んでみせるシャンクスをじっと見上げる。
「で?」
 押し倒されても副船長はまったく慌てた様子も見せず、平然としていた。
 シャンクスの突飛な言動には、もう十分すぎるほど慣らされている。
 まして、酔っ払いをまともに相手する気もない。
「だから、今日は俺が犯る」
 そんなことを宣言されても、余裕を崩さない。
 服を脱がそうとするシャンクスに、抵抗するどころか逆に脱がせやすいように動いてやった。
 されるがままになっている副船長に、シャンクスは訝しむように眉を顰める。
「抵抗しなくてもいいのか?」
「あぁ。どうせあんたにはできないからな」
 うっすらと笑みまで浮かべて言われ、シャンクスは少しむっとする。
「どういう意味だ?」
「さぁな。試してみればわかるさ」

 シャンクスはそれ以上話すことをせず、副船長の唇を塞いだ。
 唇の割れ目から舌を侵入させ、積極的に絡めていく。
 十分甘いキスを堪能し、離れようとした時だった。
 副船長がシャンクスの頭を押さえ、更に深いキスを求める。
「んぅっ…」
 驚いて抵抗しようとするシャンクスの体を太い腕で拘束し、口腔を犯す。
 シャンクスの体からだんだん力が抜けていくのを確認すると、体を反転させて熱い躯を組み敷いた。
「んっ、ぁ……」
 思う存分堪能してからゆっくりと唇を離すと、シャンクスの口から不満そうな吐息が漏れる。
「もう寝ろ、シャンクス」
 耳元に唇を寄せて、幼い子供に言い聞かせるように囁く。
 さっきまでの勢いはどこへ行ったのか、シャンクスの目は今にも閉じてしまいそうだった。
「覚えてろよ……」
 それだけ言うと、シャンクスはあっという間に深い眠りに落ちた。


  「まったく、酔っ払いが」
 シャンクスが眠るベッドに腰掛け、副船長はその寝顔を見つめていた。
 どんな夢を見ているのか、とても幸せそうな顔をしている。
「キスだけであんなになっちまうのに、俺を抱こうってんだからな…」
 知り尽くした躯。
 たとえ相手が酔っ払いでなくても負けるはずがない。
 一人ニヤリと笑みを浮かべると赤い髪にキスを落し、今度こそ部屋を後にした―――


                       〜E N D〜


確かシャン副っぽいものをって言われて書いたんですよね。
うちの船長はどうあっても受けなので玉砕。
かなり苦し紛れだった記憶が。痛いなぁ。。。