パスワードはひ・み・つ―パソコン通信探偵団事件ノート―
〈電子捜査会議・オフでの問題〉
1 電子捜査会議
★電子事件簿★
問題ナンバー 1
『ホームズとワトソンが、ある場所でキャンプをした。ふたりはさっそく探検にでかけ、まずテントから南へ二キロ歩いた。
「待ってくれたまえ、ホームズ。」
おくれぎみのワトソンが真っ白い息をはいてホームズに追いすがる。ふたりは東に方向をかえ、二キロ進んだ。すると、そこに使い捨てカイロが落ちていた。
「見たまえ、ワトソン。モリアティー教授の魔の手が、ここまでせまっているようだぞ。」
ふたりは大いそぎで、こんどは北へ二キロ歩き、テントにもどった。ところがテントのまわりにはクマの足あとがいくつもあり、食糧はすっかり食いあらされていた。それをじっとながめてから、ホームズがいった。
「ところでワトソン、きみは、このクマの色は何色かわかるかね?」
さあ、諸君、ワトソンにかわって推理し、ホームズの質問に答えてくれたまえ。』
マコト「ヒントはワトソンの白い息と、落ちてた使い捨てカイロさ。」 答え
2 入団資格テスト
★入団資格テスト★
問題ナンバー 2・3・4
『世界初のミステリーといわれる小説の題名とその作者は?』
『シャーロック=ホームズがかぶっている帽子の名前は?』
『かしこい人間は、1枚の木の葉をどこにかくす?』 答え
3 星占い師殺人事件
★電子事件簿★
問題ナンバー 5
『ある星占い師がナイフで背中をひとつきされて殺された。死体の右手には万年筆がにぎられていて、左のてのひらに次のような文字が書いてあった。
〈牡羊 A 乙女B〉
その後の調べで、この星占い師にうらみをもつ三人の人物がうかびあがった。ひとりは作家、ひとりは弁護士、もうひとりは医者だ。三人の星座と血液型はつぎのとおりである。
作家……牡羊座・AB型
弁護士……牡牛座・B型
医者……乙女座・B型
犯人はまちがいなくこの三人のなかにいる。それはだれか、ズバリ指摘してくれたまえ』 答え
4 221B
★初めてのオフ・地図問題★
問題ナンバー 6
「名探偵諸君。オフの日どりと場所が決定した。6月27日(日)午後1時、風浜駅徒歩2分、『221B』に集合してくれたまえ。『221B』の位置は、駅の案内板で調べること。もしやと思うが、どうしてもつきとめられないばあいは、326−××××までTELすべし。ネロ」 答え
5 三つの箱と三つの線
★電子事件簿★
問題ナンバー 7
『風浜駅の伝言板に、ある日、こんなメッセージが書かれていた。
〈SDGI GKB0 J−4K FBIE ;WNU VXD9L〉
さて、いったいなんと書かれているのか、みごと解読してくれたまえ』 答え
★飛鳥・普段あった意味不明な事件★
問題ナンバー 8
『風浜港のすぐ近くに住んでいるマコトとはちがって、飛鳥の家は、おなじ風浜市でも海からずっとおく、田園地帯の青葉区にある。飛鳥は毎朝、まず私鉄の当麻線で風浜駅にでて、そこからJR浜岸線に乗りかえ、学校に通っている。
おとといの夕方のことだった。家に帰るとちゅう、風浜駅の構内で、飛鳥は一人の外国人によびとめられた。
「たぶんイラン人じゃなかったかと思うんだけどね。」
そのイラン人だかに、飛鳥はこうきかれたのだという。
『スリーボックス、スリーライン、ドコデスカ?』
「さあ、これって、なんのことだ?ぼくにはさっぱりわかんなくって。だれかわかる人いる?」』
答え
6 一ダースのシュークリーム・その1&7・その2
★マコト・普段会ったおかしな事件★〜長いので、時間がある時の方がいいかな〜っと〜
問題ナンバー 9
『ある日、マコトの家で経営している、「ラ=メール洋菓子店」に不思議な男がやってきた。その男は最初に来た時、(マコトのその何日間かをうってあります。)
ケースの中のケーキより、ケースの内側、つまりマコトがたっているレジのほうが気になるようだった。背伸びをしては、ケースごしにちらちらとのぞきこんでくるのだ。ひょっとして、強盗?いっしゅん、マコトはそんなことまで考えた。レジの中には、一日分の売りあげ金がたっぷりはいっている。それに近ごろ、風浜市でもコンビニ強盗が多発していた。さあ、こんなとき、名探偵ならどうするか?
「あの、なにをさしあげますかあ?」
男の顔をまっすぐ見て、マコトはいった。名探偵心得その一、先手必勝というやつだ。
「え、えっとー。」
マコトのことばで、男はあわてて、ケーキの値ぶみをはじめた。
名探偵心得その二。心のなかでつぶやいて、マコトは、じっくり観察をはじめた。年は二十代前半というとかろか。長髪で、Tシャツ、ジーパンの服装を見れば、大学生か、それとも、はやりのフリーターかもしれない。これがシャーロック=ホームズなら、ジーパンのしみなどを見て、ぴたりと職業をいいあててしまうのだろうが、マコトにはそのくらいしかわからなかった。
「そのシュークリームを、えーと、十六個。」
ケースのなかを指さして、男はいった。十六個とははんぱな数字だが、お客の注文はぜったいだ。
ただ、ひとつだけ問題があった。ラ=メール洋菓子店のシュークリームは、一個二百五十円。値段がやや高いぶん、クリームはぎっしりつまっていて、大きさもふつうのシュークリームよりはひとまわり大きかった。いちばん大きな箱を使っても、いっぺんに十六個ははいりきらなかったのだ。
「あの、十六個だと二箱になっちゃいますけど、いいですかあ?」
「あっ、そうなんですか。」
男は思案顔になった。
「二箱っていうのは?」
箱のサイズは、L・M・Sの三種類があった。このばあいは、LとSにわけるか、半々ぐらいにしてMを二つ使うか、そのどちらかだ。マコトがそう説明すると、男はしばらく考えて、いった。
「じゃあ、十二個だったら?」
「それなら一箱ではいりますけど。」
「Lの箱だよね?」
「ええ。」
「じゃ、十二個でいいです。」
マコトは一ダースのシュークリームを箱につめ、きれいに包装しはじめた。そのあいだじゅう、男の熱心な視線を背中にあびているような気がして、マコトはなんとなくおちつかなかった。
「はい、お待たせしましたあ。」
包み終えた箱をじっと見つめながら、男はジーパンのポケットから封筒をひっぱりだし、なかから三千円ぬきとって、マコトにさしだした。おかしな客だったけれど、ちゃんとお金をはらってもらえれば、文句はない。
「ありがとうございましたあ。」
男は包みをうけとって、店をでていった。それが、七月二十六日の月曜日のことだった。
これだけなら、「ふしぎなできごと」でもなんでもなかった。つぎの日、男はまたおなじ時間、六時ちょっとまえに店にやってきて、こう注文した。
「シュークリーム、一ダース。」
そのつぎの日も、だった。シュークリーム男はまたまたすがたをあらわして、こんどは一ダースずつ、二箱を注文したのだ。いつものように、男はジーパンから封筒をだし、二箱ぶん、六千円をはらった。そのとき、マコトの目に、封筒に印刷されている文字がうつった。「山手書店」となっていた。
両手に箱をさげ、男は店をでていった。そのうしろすがたを、マコトは信じられない気持ちで見送った。三日続けてシュークリームを、合計四ダースも買っていくなんて。パパ特製のシュークリームがおいしいことは、マコトもみとめていた。だからといって、毎日毎日、食べる気になるものだろうか?
まあ、世の中には、異常なシュークリーム=マニアがいてもふしぎではない。それに、とマコトは思った。なにもひとりで食べるときまったわけじゃない。あんまりきいたことはないけど、シュークリーム=パーティーでも開くのかもしれないじゃないか。そう考えて、マコトはひとまず納得したのだが。
ところが、話はそれで終わりではなかったのだ。十分ほどして、店のドアがいきおいよく開いた。
「いらっしゃいま……なんだ、ママかあ。」
夕食の買い物にでかけたママがもどってきたのだ。ママは顔じゅうに、ニコニコわらいをうかべている。魚屋の閉店まぎわに、一さらいくらの刺身がおなじ値段で二さら買えたとか、きっとそんなことだろう。
「ごきげんじゃん、ママ。今夜のおかず、なに?」
「おかず?カレーよ。そんなことよりね、マコト。ママ、まえから、スナック菓子なんてぜったい、子どもにはよくないって思ってたのよ。みんな、やっとそのことに気づいてくれたらしいわね。」
「へっ?」
いきなりずばっと結論をいうママの話に、マコトはときどきついていけなくなることがある。いまもそうだった。
「なんの話をしてるの、ママ?」
つづくママのことばに、マコトはどぎもをぬかれてしまった。
「マコト、きょうはシュークリームがよく売れたでしょ?」
「どうして知ってるの?それよか、スナック菓子の話と、どう関係あるのさ?」
「ほら、すぐそこにミネルバ学院っていう学習塾があるじゃない。このぐらいの時間って、ちょうど休み時間らしくて、いつもだと入り口のところで子どもたちが、コンビニで買ったスナック菓子を食べてるのよ。それが、さっき、帰りがけにまえを通りかかったらね、きょうはみーんな、うちのシュークリームをパクついてるじゃない。ママ、うれしくなっちゃった。」
「ええっ?」
おかしいな。マコトは首をひねった。シュークリームを買いにきた子どもなんて、ひとりもいなかったはずだ。待てよ、それって、もしかして……。考えられることが、ひとつだけあった。マコトはママにたしかめる。
「うちのにまちがいないの?」
「パパがつくったのを、ママが見まちがえっこないわよ。」
「みんなって、何人ぐらい?」
「かぞえなかったけど、二十人はいたんじゃないかしら。」
もうまちがいなかった。あのシュークリーム男だ。」そんなに大量に買っていったのは。あの男しかいなかった。
すると、あの男は塾の先生で、生徒のおやつのためにシュークリームを買ったのか?それなら、いちおうつじつまはあう。しかし、なにかひとつ、マコトはすっきりしなかった。よし、ここは名探偵心得その三ききこみの一手だ。
「ママ、ちょっと、お店見てて。」
マコトは店を飛びだした。ミネルバ学院までは、走って二分の距離だ。まだ授業ははじまっていないらしく、入り口に何人かの生徒がたむろしていた。さすがにシュークリームは、もう食べ終えてしまったようだ。そのうちのひとりの顔に、マコトはみおぼえがあった。クラスメートの吉田ケンだ。
「おーい、吉田ぁ。この塾に通ってたんだ。」
いいながら、マコトは近づいていった。
「あれっ、小海じゃんか。なにしてんだよ、こんなとこで。」
「うん、うちがすぐそこなんだよ。ね、吉田、さっきシュークリーム食べてたって、ほんとか?」
「ああ、食ってたよ。」
吉田は、けげんそうにマコトを見た。
「それがどうしたのか?」
「いや、じつはそのシュークリーム、ぼくんちのやつなんだよ。」
「へえっ。あ、そういや、おまえんて、ケーキ屋だったんだよな。」
吉田は納得した顔つきになった。
「けっこう、うまかったよ。クリームがいっぱいでさ。」
「サンキュー。で、そのシュークリームだけどさ、ひょっとして、長髪でジーパンはいてる先生からもらったのか?」
「ふーん、さすがはミステリー少年。なんでもお見通しなんだな。」
といって、吉田はにやりとした。
「でも、ひとつだけはずれたな。そいつ、先生なんかじゃないぜ。」
「先生じゃない?じゃあ、だれなんだよ?」
「知らないよ。」
「知らないって……。」
マコトはことばをなくしてしまった。吉田がつづける。
「超ラッキーだったんだ。休み時間になって、おれたちが外にでてきたとき、ちょうどそいつが通りかかったんだ。そしたらそいつ、こっちによってきて、手にもってた包みを二つともほどいて、いうんだよ。ちょうどよかった。重くてしかたないから、よかったらこれ、みんなで食べてくれないかって。どうしようかと思ったんだけど、うまそうだったし、まさか、毒入りシュークリームなんてことはないだろ。で、みんなでいただいちゃったってわけさ。」
マコトの頭が混乱してきた。重くてしかたないからって?だったら、どうしてそんなに買うんだ?そのときベルが鳴った。
「あ、授業がはじまるから、またな。」
ビルの入り口にむかう吉田を、マコトはよびとめた。
「そいつ、それからどうした?」
「え?ああ、箱がからっぽになったら、さっさといっちまったよ。」
ミステリーだった。マコトはぼうぜんとする。その夜の電子捜査会議でも、まだ話を持ちだす気にはなれなかった。なにがなんだかわからなくて、頭の整理がつかなかったからだ。
つぎの日の木曜日、マコトは店番をしながら、一日じゅう、シュークリーム男のなぞの行動について推理をめぐらせていた。
推理その一・はじめから塾の生徒たちにあげるつもりだった……でも吉田の話では、男が通りかかったのはたまたまみたいだったし、そもそも塾と関係ない人間が、そんなことするはずがない。
推理そのニ・買ってはみたものの、きゅうに食べる気をなくして、たまたまそこにいあわせた生徒たちにくばってしまった……まさか。いくらなんでも、そんなにきゅうに気がかわるはずはない。
推理その三・あの男は、シュークリームを買うのが趣味で、シュークリームそのものはいらなかった……そんなばかな。
などと、あれこれ考えているうちに、時間はどんどんすぎていき、いつもよりずっと早く夕方がきたような気がした。と。
「あっ。」
マコトは思わず声をあげていた。いつもとおなじ時間に見せのとびらが開き、あのシュークリーム男がまたまたあらわれたのだ。
「シュークリーム、一ダース。」
注文の声をききながら、マコトはぽかんとして、男の顔をみつめるばかりだった。男は「?」という表情になって、
「あの、なにか?」
「あ、い、いえ、べつに。」
シュークリームを箱につめながら、マコトの頭は、昨日以上に混乱してきた。こんな話って、あるだろうか?「重いから」と、人にあげてしまったシュークリームを、また買いにくるとは……。
「あの、まだですかあ?」
男の声で、マコトははっとわれにかえった。ぼんやりしていて、包むのをすっかりわすれていた。マコトはあわてて、包装紙を箱にかぶせぎゅっとひもでしばった。
「ありがとうございましたあ。」
三千円とひきかえに、包みをわたす。なにごともないように受けとって、男は店をでていった。
それっきりだった。つぎの日も、マコトは期待半分でまちうけていたが、シュークリーム男は二度とすがたをあらわすことはなかった。
さあ、この謎の行動を推理してくれたまえ! 答え
8 魔法の帽子
★ダイ・普段あった意味不明な事件★問題ナンバー 10
『「あつまったのは、四人のシードをいれて、ぜんぶで十二人。つまりシードされれば三回、ぼくみたいなノーシードは四回勝ちすすめば優勝ってわけさ。」
十二人のうち、六年生が七人、五年生が四人。のこりのひとりは四年生だった。四年生じゃあ、まあ、一回戦で負けだろうな。ダイはそう思ったのだが、予想外の展開になった。この四年生が、おどろくほど強かったのだ。
「なにしろ、一回戦は十分ちょっとで楽勝。で、二回戦じゃ、シード選手で優勝候補ナンバーワンの去年の名人まで、かるがるやっつけちゃったんだもの。番くるわせだよ。とんでもないやつがあらわれたって、そりゃ、みんなびっくりしたさ。ただ、その四年さあ。なにからたら態度がでかいんだ。さいしょの自己紹介のとき、にやにやしながらぼくたちを見まわして『ぜったい、負けません。』なんていうんだぜ。みんな、むっとしちゃったよ。それだけじゃないんだ。野球のヘルメットみたいな耳あてつきの帽子をかぶっててさ、対局がはじまってもむごうとしない。態度わるいったらありゃしないよ。」
会場には百人ぐらいの観衆がつめかけ、一回戦から熱心に将棋盤を見つめていた。なかにはわざわざうしろのほうから双眼鏡でのぞきこんでいる人もいて、さすがのダイも緊張してしまった。が、そのなまいきな四年生は、プレッシャーなどまるでないように着々と勝ちすすみ、とうとう、決勝戦でダイとぶつかることになった。
「こりゃだめだって思ったよ。ぼくも調子はわるくなかった。だから決勝まで進めたんだけどね。でも、休憩時間にちょっとそいつの指し手をチェックしてみたら、これがすごいんだ。はっきりいって、ぼくたちのレベルをはるかにこえているんだ。プロ級に近いっていってもいいんじゃないかなあ。これじゃ勝てっこないって、ふるえちゃったよ。おかしなことがおきたのは優勝決定戦での事なんだけど……。」
ダイが語ったのは、こんな話だった。
将棋盤をはさんで、ふたりは向かい合った。少年はあいかわらず帽子をかぶったまま、ダイの顔を見て、にやにやわらっている。ほんとに失礼なやつだな、とダイは思った。
そのとき、会場からわーっという声とはくしゅがおこった。プロの神長名人がすがたをみせたからだ。この決勝戦だけは、名人が立会人をつとめることになっていたのだ。将棋盤のまえのふたりににっこりわらいかけた名人の顔が、きゅうにこわばった。
「きみ、帽子をぬぎなさい。」
神長名人が低い声で、少年にむかっていった。「え?」という表情で、少年は名人を見た。
「その帽子をとりなさい、といってるんです。」
少年の顔がわずかにゆがんだのが、ダイにはわかった。
「あの……ぬがないといけないんですか。」
「あたりまえです。」
名人がたしなめる。
「きみも、将棋をさす人間ならわかるでしょう。そんなかっこうは、相手には失礼ですよ。」
少年はしぶしぶ帽子をぬいだ。さっきまでのにやにやわらいはかげをひそめ、態度も、そわそわとおちつかなくなった。いったいどうしたんだ?ダイはいぶかしげに少年をながめた。もしかしってあの帽子、こいつのお守りみたいなものだったのかな。
「では、対局をはじめます。」
神長名人のことばで将棋がはじまった。一手、二手、三手。手が進むにつれて、ダイは自分の目をうたがった。
なにやってるんだ、こいつ?
準決勝までの少年とは別人のようだった
あんなにもものすごい将棋で、優勝候補さえやぶった少年が、初心者のようなひどい手ばかりさしてくるのだ。コマをもつ手はふるえ、顔色はまっ青になっている。神長名人も、百人の観衆も、あっけにとられた顔つきで盤面を見つめているばかりだ。
ほんの数分、それこそあっというまに勝負はきまった。
「負けです。」
というと、少年はいきなり立ちあがり、帽子をひっつかんで会場から走りさっていったのだった……。ちょっとまえまで、メチャ強かったやつがなぜ急にメチャ弱なったのだろう……。
答え
9 鉄壁のアリバイ
★飛鳥からの出題★
問題ナンバー 11
『「いま、何時だい?」
飛鳥がいった。壁の掛け時計を見て、マコトは答えた。
「7時20分だけど……」
「7時20分だね。それじゃ、はじまりだ。マコト、ダイ、7時20分にぼくがワープロを打っているということは、きみたちが証人になってくれるね。」
「あたりまえじゃないかあ。それで?」
ダイが先をうながす。どうもみょうだな、とマコトは思った。わざわざあんなことをいうからには、なにかウラがありそうだ。
「よし。つまりぼくには、7時20分には鉄壁のアリバイがあるってことになる。」
ん?アリバイと来たな。マコトは思わず気合がはいった。ついさっきまで、アリバイくずしの代表作にとりくんでいたマコトに、その問題で挑戦しようとは、身のほど知らずもいいところではないか?
「ところがだね、よくきいてよ、おなじ7時20分にぼくは、あるスーパーマーケットでガムを買っているんだ。ちゃんと証人もいる。ねだんがよくわからなくて、お金をはらうときまごまごしたから、レジの人はたぶん、ぼくの顔をおぼえてるはずさ。さて、諸君、こんなことがありうると思うかね?」
「ガムを買ったのは、飛鳥にまちがいないんだね?」
すぐさまひらめいたことがあったが、念のため、マコトは飛鳥にたしかめた。
「ぜったいにまちがいない。それだけはちかってもいいよ。」
「だったら答えはきまってるじゃないか。そのぎゃくだよ。」
「ぎゃくっていうのは?」
「つまり、いまワープロを打ってるのが、にせものの飛鳥だっていうこと。ぼくにしろダイにしろ、ワープロのむこうは見えないんだからさ。いま、こうやって話してるあるかがほんものかにせものか、たしかめようがないだろ。」
われながらするどい推理だ、とマコトは思ったのだったが、飛鳥本人は計算外だったようだ。
「あ……それはぜんぜん考えてなかったなあ。じゃあ、こうしよう。これがパソコン通信じゃなくて、電話だったとするんだ。だったらマコトもダイも、たしかにぼくの声だってわかるはずだよね。もちろん、あらかじめ録音しておいた声なんていうんじゃないよ。どうだい、これならぼくの7時20分のアリバイは成立するだろ?いいわすれてたけど、レジスターにはデジタル時計がついてたんだ。だから、まちがえないよ。もちろん、その時計が遅れてたり早かったりすることもない。」
さあ、分かるかな? 答え