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池田宏
空飛ぶゆうれい船 そらとぶゆうれいせん
監督 池田宏
公開年 1969年
評点[C]
感想
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空飛ぶゆうれい船
空飛ぶゆうれい船

 今日は、劇場用アニメの『空飛ぶゆうれい船』を観た。監督(演出)は池田宏で、昭和四十四年(1969)の作品。

 その頃、世界の海には謎の幽霊船が出没して多くの船を沈めていた。平和に暮らしていた隼人少年(声:野沢雅子)も街を突然襲った巨大ロボットによって両親を殺され、それを操っているとされる幽霊船長(声:納谷悟郎)に対する復讐を誓うが、思わぬことから事件の真相と黒幕を知る。

 石森章太郎(石ノ森章太郎)原作『ゆうれい船』のアニメ化(脚本:辻真先・池田宏)。原画スタッフの一人として宮崎駿の名もある。
 あの『太陽の王子 ホルスの大冒険』の翌年の作品で、同じく強い思想性を持ったアニメ作品になっている。日本の大企業が“国防軍”と癒着して戦車から戦闘機に至るまでの軍需産業で儲けていたり、世界を支配しようとする組織が世界中で清涼飲料水を売りまくり、それを飲みすぎると体が溶けて消えてしまうという設定は、皆モデルを連想できる。コーラを飲むと骨が溶けるって、私が子供の頃もまだ言われていたな。
 『ホルスの大冒険』以上にメッセージ性が露骨で、とにかく大企業=悪である作品をよく作ることができたと思うが、当時の東映動画労働組合の力がそれだけ強かったのだろう。しかしながら、主人公とヒロインが悪の組織と戦う動機が両親の仇討ちだったりして私怨と公憤をごっちゃにしているところは、思想性というよりも労働条件が劣悪なアニメーターたちのドロドロしたルサンチマンを感じられないでもない(笑)。
 ジュースを飲んで人間の体が溶けたり幽霊船長がのんきに幽霊船の構造を主人公に説明しようとしたり時々脱力感を誘う笑いの場面があり、当時としては奇抜な巨大ロボ“ゴーレム”と幽霊船のメカニズムなど見どころもあり、メッセージ性の異常な強さも含めて今の大人が観るとある意味「面白い」作品ではあるが(子供はどう思うだろう?)、現在ではやはり名作というよりも珍品になってしまうように思う。

 ゴーレムが街を襲い、それを戦車が攻撃するモチーフはテレビ版『ルパン三世』(1978〜1980年放映版)の最後のエピソードにちょっと似ている。宮崎駿が関与してるし。(2004/12/02)

どうぶつ宝島 どうぶつたからじま
監督 池田宏
公開年 1971年
評点[A’]
感想
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どうぶつ宝島
どうぶつ宝島

 今日は、アニメ映画の『どうぶつ宝島』を観た。監督(演出)は池田宏で、昭和四十六年(1971)の作品。

 港町に住む少年ジム(声:松島みのり)のところに怪しげな片足の船乗りがやってきて、小箱を預けた。中には伝説的な海賊フリント船長の遺した宝島の地図が隠されていて、それをめぐってジムと海賊シルバー船長(声:小池朝雄)とフリントの孫娘キャシー(声:天地総子 )の三つ巴の奪い合いが始まる。

 スチーブンソンの冒険小説の古典『宝島』を、ジムとキャシー以外を動物に置き換えて翻案した作品。脚本は飯島敬と池田宏だが、“アイデア構成”として宮崎駿が名を連ねている(原画スタッフとしても参加)。
 かなり大胆に翻案されていて、設定を借りた創作と言ってもいいかもしれない。ジムと創作キャラのキャシーは『ラピュタ』のパズーとシータを彷彿とさせるが、キャシーはかなり強気で活発な性格の設定で、魅力的になっている。全ての登場人物がよく動き嫌味の無いキャラになっていて、教訓臭は無く、子供にもわかりやすい海洋冒険譚のエンターテインメントに徹している。『長靴をはいた猫』と『ホルスの大冒険』に比べるとあまり語られていないようが、これもまた傑作の一つだと思う。
 現在のリアル志向のアニメとは異なる切り絵調の背景が目になじむ。海面を緑にしている設定は、ちょっと驚いた。船上でのキャシーの歓迎会とラストの追いかけっこは音楽(山本直純)と動きがマッチして楽しい。(2003/03/15)

池田宏
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