Return to監督別邦画備忘録Top pageHOME PAGE
加藤泰
緋ざくら大名 ひざくらだいみょう
監督 加藤泰
公開年 1958年
評点[B]
感想  今日は、大川橋蔵主演の『緋ざくら大名』を観た。監督は加藤泰で、昭和三十三年(1958)の作品。

 大名の北条家の跡取りである鶴姫は、会ったこともない婿を迎えるのが嫌で、家出してしまう。一方、ある芝居小屋や長屋では“三(さぶ)さま”(大川橋蔵)と呼ばれる上品な若侍が楽しそうに遊んでいるが、その正体は……。

 原作は山手樹一郎の時代小説(脚本:斎木祝)。展開や“三さま”の正体は誰でもすぐ見当がついてしまうと思うが、お約束を楽しむ作品なのだろう。日本人がテレビを観るように毎週毎月映画館に通っていた時代の娯楽映画。まだ、加藤泰監督らしさが現れた作品ではないが、大川橋蔵の魅力は出ている。美男子というより、可愛いという感じ(笑)。(2002/10/09)

大江戸の侠児 おおえどのきょうじ
監督 加藤泰
公開年 1960年
評点[B]
感想  今日は、加藤泰監督の『大江戸の侠児』を観た。昭和三十五年(1960)の作品。

 博打好きの次郎吉(大川橋蔵)はある夜、悪友の権左(多々良純)に誘われて、いたずらで大名屋敷に忍びこんだ。御殿女中の部屋にいた御中老(香川京子)が故郷の許婚おたか(香川京子の二役)にそっくりなのを見た彼は田舎へ帰る。しかし、様々な不運に見舞われた次郎吉は大名屋敷専門の大泥棒となったのであった。

 脚本も加藤泰監督自身による(原作:山上伊太郎)。原作がそうなのだろうが、ストーリー的には偶然が作用する割合が大きすぎるというか、ちょっと無理がある展開。次郎吉が泥棒となるまで、ずいぶん時間がかかるような感もあった。ただし、その後の展開のテンポは良く、実験的な面白い映像もあって楽しめた。前衛的な部分以外でも、コントラストが強めのモノクロ画像が美しい(撮影:鷲尾元也)。
 橋蔵はかなりの熱演。歌舞伎出身のためか様々な面をもつ次郎吉像を演ずることに成功している。傘をさして若旦那に扮した姿は、さすが。香川京子も綺麗。(2002/12/28)

瞼の母 まぶたのはは
監督 加藤泰
公開年 1962年
評点[A’]
感想  今日は、加藤泰監督の『瞼の母』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。脚本も加藤泰で、原作は長谷川伸。

 股旅暮らしの渡世人、番場の忠太郎(中村錦之助、のちの萬屋錦之介)が幼い頃に離ればなれになった実の母を探し求める。サイレント時代から何度も映画化された有名な話っすね。

 加藤泰のシャープな映像が、関東の村や江戸の人々の暮らしを克明に映し出す。題材が題材だけに、演出はかなりウェットな感じ。しかし、浪花千栄子・夏川静江・沢村貞子・木暮実千代がそれぞれに演ずる母親像と、彼女たちに実の母親を求める忠太郎の姿が胸を打つ。ラスト、木暮実千代の「忠太郎!」の叫びが肺腑をえぐる。(2000/12/24)

真田風雲録 さなだふううんろく
監督 加藤泰
公開年 1963年
評点[B]
感想  今日は、加藤泰監督の『真田風雲録』を観た。昭和三十八年(1963)の作品。

 はなれ猿の佐助こと猿飛佐助(中村錦之助、のちの萬屋錦之介)や、お霧(渡辺美佐子)は戦場で育った孤児だった。彼らは戦国時代に幕が引かれようとしている大坂の陣のときに大阪城へ入って真田幸村(千秋実 )の部下になったが、様々な制約を課せられ、異能を持つ彼らも思うさま活躍できない。

 加藤泰監督の代表作の一つとされている作品。登場人物たちが洋服のようなものを着ていたり、現代風の音楽を奏でながら歌ったり踊ったりする時代劇ミュージカル的な面もある異色作。そのあたりは結構おもしろい。ただ、特殊効果を多用する部分は少々やりすぎと感じられる部分もあった。それと学生運動華やかなりし頃の作品のためか、反戦思想などメッセージ性が表に出すぎている感がある。その辺はもう少し婉曲に暗示して欲しかった。(2002/12/02)

沓掛時次郎 遊侠一匹 くつかけときじろうゆうきょういっぴき
監督 加藤泰
公開年 1966年
評点[A’]
感想  今日は、中村錦之助主演の『沓掛時次郎 遊侠一匹』を観た。監督は加藤泰で、昭和四十一年(1966)の作品。

 渡世人の時次郎(中村錦之助、のち萬屋錦之介)は、一宿一飯の恩義のために嫌々ながらも六ツ田の三蔵(東千代之介)を斬る。その男に妻子のことを頼まれたので待ち合わせ場所へ行くと、それは偶然にも旅の途中で言葉を交わしたことのある、おきぬ・太郎吉(池内淳子・中村信次郎)母子だった。母子の暮らしが立つ場所まで送り届けるため、時次郎は二人と共に旅する。

 長谷川伸原作の映画化作品(脚本:鈴木尚之・掛札昌裕)。錦之助は『瞼の母』『関の弥太っぺ』に続く長谷川伸原作作品の主演。
 この頃の錦之助は実に良い。どこか寂しさを覗かせる渡世人にピッタリ。おきぬは綺麗だが、もう少し薄幸そうな雰囲気があってもいいかも。それと、母子の描写がもう少しあったら、と思った。
 映像的には、冬の雰囲気がよく出ている。ただ、ローアングルにこだわる必然性はあまり感じなかったりして。(2003/04/05)

人生劇場 じんせいげきじょう
監督 加藤泰
公開年 1972年
評点[A’]
感想
Amazon
人生劇場
人生劇場

 今日は、加藤泰監督の『人生劇場』を観た。昭和四十七年(1972)の作品。

 故郷の三州吉良を出て東京で作家の道を志す青成瓢吉(竹脇無我)の父に恩を受け、瓢吉のために働くことに生涯を賭けた侠客・吉良常(田宮二郎)の半生と飛車角(高橋英樹)・宮川(渡哲也)らとの交流と、彼らをめぐる女性たち。

 尾崎士郎の大河小説『人生劇場』の「青春編」「愛欲編」「残侠編」を一気に映画化した作品。全てを2時間45分ほどにまとめたため「青春編」はかなり省略されていて、字幕で時間の経過を説明している部分もある。しかし、原作は未読だが、全体に上手くまとめた脚本だと思った(脚本:加藤泰・ 野村芳太郎・三村晴彦)。
 田宮二郎の吉良常は最初二枚目的で若すぎるように見えたが、壮年から初老の域までを自然に老けていき、時代に取り残されていった“残侠”の雰囲気を出していったのには感心した。高橋英樹と渡哲也も侠客は手に入った感じの好演。
 対して、瓢吉の竹脇無我は作家らしい雰囲気はあったが、最後の方はもう少し老成した感じになっても良かったと思う。吉良常に重点を置いた脚本のため仕方ないかもしれないが。それと、瓢吉と全ての女性キャラに共通することで、吉良常以外がほとんど老けないのはちょっと不自然。
 “愛欲”に注目したような描写が多い点は少々気になった。寂しい人々が触れ合いを求める、という風に解釈すれば良いのかもしれないが。ただし、“義理”のために生きる侠客の世界も充分に描かれていて、常に人のために生きた吉良常の生涯は感動的だった。田宮二郎の代表作の一つと言って良いだろう。(2004/08/14)

加藤泰
掲示板 Return to監督別邦画備忘録Top pageHOME PAGE