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北野武
その男、凶暴につき そのおとこきょうぼうにつき
監督 北野武
公開年 1989年
評点[B]
感想
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その男、凶暴につき
その男、凶暴につき

 今日は、北野武監督の『その男、凶暴につき』を観た。平成元年(1989)の作品。

 ホームレスを襲った少年の家に乗り込んで殴りつけたり、逃亡する犯人を自動車で轢(ひ)いたりする凶暴な刑事、我妻(北野武)。汚職の噂のあった親しい先輩刑事が死んだと知ったとき、彼のとった行動は。

 まさに記念すべき、北野武作品の第一作。突然の暴力と乾いた描写、そして極めて限られた台詞の、北野ワールドが既に確立。冒頭から“痛い”描写が連発される。後味が良くないので、私の好みではないけれども、やっぱり凄いと思う。
 ラスト近く、人があっさり死に過ぎてギャグに近くなってるかも。それを狙ったのかもしれないが。我妻の妹(川上麻衣子)のエピソードは特に必要なかったんぢゃないかなぁ。あと、ラストの1シークエンスが余分だったかとも思う。(2000/11/14)

3-4x10月 さんたいよんえっくすじゅうがつ
監督 北野武
公開年 1990年
評点[A’]
感想
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3-4×10月
3-4×10月

 今日は、北野武監督の『3-4x10月』を観た。平成二年(1990)の作品。

 草野球チームに入っている、さえないガソリンスタンドの店員・雅樹(小野昌彦=柳ユーレイ)。彼と暴力団との奇妙な対決を描く。
 北野作品の第2弾で、北野監督のオリジナル脚本第1作。前作の『その男、凶暴につき』でも元の脚本をかなり改変しているそうだが。暴力シーンは相変わらずだが、この作品ではハッキリと暴力はギャグに近いものとしてとらえられている。観ている側も笑うっきゃない、といった場面が連発。素直に面白い部分もいくつかはあった。特に、雅樹の相棒役の飯塚実(=ダンカン)と北野武のカラミは最高。
 終盤の構成は、まだ未消化な部分があったように見えた。それに、あのラストシーンは…。主人公の小野昌彦と飯塚実や、チームの監督役の井口薫仁(=ガダルカナルタカ)は、意外と好演。

 しかし、この作品は日本映画史に残る珍題名だなぁ。匹敵するのは『馬鹿が戦車でやって来る』(山田洋次監督)と『エロス+虐殺』(吉田喜重監督)くらいだろうか。(2000/11/15)

あの夏、いちばん静かな海。 あのなついちばんしずかなうみ
監督 北野武
公開年 1991年
評点[A]
感想
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あの夏、いちばん静かな海。
あの夏、
いちばん静かな海。

 今日は、北野武監督の『あの夏、いちばん静かな海。』を観た。平成三年(1991)の作品。

 廃棄物回収業者で働いている耳の聞こえない青年(真木蔵人)が、ゴミ集積場で壊れたサーフボードを見つけ、サーフィンを始める。海に行くときは同じく耳の不自由な少女(大島弘子)が、いつも一緒だった。

 主人公たちには台詞が皆無で、徹底して映像で語った作品。長編の映像詩とも言える。これは素晴らしい。淀川長治先生が激賞したのもうなづける。やはり北野武監督は絵心というか、映像のセンスがある。奇をてらった絵作りをしていないが、映像の切り取り方が巧みだ。
 話自体も、お涙ちょうだい的ではないのに、聴覚障害者の孤独を表現しきっている。障害者ネタのテレビドラマとは雲泥の差。ただ、最後のまとめ方はチョット疑問にも思った。しかし、エンディング間際の映像と音楽には妙に感動させられてしまった。

 やたら長台詞やモノローグを濫用したり、前衛的な映像表現ばかり使いたがるアニメ出身の監督たちは、北野作品をよく観て勉強すること(笑)。(2000/11/09)

ソナチネ そなちね
監督 北野武
公開年 1993年
評点[A’]
感想
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ソナチネ
ソナチネ

 今日は、北野武監督のソナネチ!……もとい、『ソナチネ』を観た。平成五年(1993)の作品。

 暴力団幹部の村川(北野武)は、ある日突然、友誼関係にある沖縄の組への助っ人として子分たちと共に沖縄行きを命ぜられるが、向こうではかえって厄介者あつかいされ、海岸近くの廃屋に身を隠す。しかし、それには裏があった。

 この作品では、かなり“キタノ・ブルー”の色調が意識的に用いられ、沖縄がトロピカルな南国ムードではなく、非常に乾いた冷ややかなところとしてとらえられている。廃屋での紙相撲や、海岸で相撲をして遊ぶシーンなども有名で、ここは映像的にも非常に面白かった。もちろん暴力描写も健在。
 巷間では、これを北野作品のベストとする人が多いようだ。確かに、映像美は素晴らしい。ただ、あまりにも登場人物の行動が淡々としており、イメージ・ショットも少々多すぎるように見え、私にはちょっと難しかったかも。

 この作品が公開時には不入りだったのは、題名が「コマネチ!」を連想させたのが大きな原因だろう(爆)。あと、魚が串刺しになっている妙なポスターも、まずかったのかもしれない(笑)。(2000/11/20)

みんな〜やってるか! みんなやってるか
監督 ビートたけし
公開年 1995年
評点[B]
感想
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みんな〜やってるか!
みんな〜やってるか!

 今日は、北野武…もとい、ビートたけし監督の『みんな〜やってるか!』を観た。平成七年(1995)の作品。

 朝男(ダンカン)は、女とヤることばかりを考えている。もてるために自動車を買ったり役者になろうとするが、ことごとく失敗。金を稼ぐため色々やっているうちに、思いもよらない方向に……。

 北野武作品としては5作目だが、ビートたけし名義の第1作ということになっている。いやぁ〜、こりゃ別の意味で凄いや。下ネタとベタなネタばかりで。淀川長治は、ちょっと誉めすぎぢゃないかな(笑)。ヨドチョー先生も言っているように、もっと短くした方が良かったと思う。これで110分は少々長く、テンポがイマイチな感じ。でもまぁ、あまり真面目に語る作品でもないでしょう(笑)。
 しかし、北野作品の常連である白竜や大杉漣、寺島進まで顔を出しているのが面白い。城南電器の故・宮路社長や岡田真澄が特別出演。たけし自身も顔を出していて、「オーマイ親鸞!」などのギャグを飛ばす。(2000/11/22)

キッズ・リターン(Kids Return) きっずりたあん
監督 北野武
公開年 1996年
評点[A]
感想
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キッズ・リターン
キッズ・リターン

 今日は、北野武監督の『キッズ・リターン』を観たっす。平成八年(1996)の作品。

 高校生のマーちゃんことマサル(金子賢)とシンジ(安藤正信)は、いつもつるんで悪さばかりしている。ふとしたことから2人はボクシングを始めるが、すぐマサルは挫折し、別々の道を歩んでいく。そして、それぞれの進路を選んだ彼らの同級生たち。

 これは、北野監督のオートバイ事故からの復帰第一作だったはずだ。他の作品よりもかなりストーリー性が強く、正統派的なドラマ仕立ての青春ストーリーになっている。こういう直球も放れるんだ。感心したっす。確かに、北野作品として最初にヒットしたというのもわかる。同級生たちの描き方も面白かった。(2000/11/11)

HANA-BI はなび
監督 北野武
公開年 1998年
評点[A’]
感想
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HANA-BI
HANA-BI

 今日、テレビ東京で午後に放映された北野武監督の『HANA-BI』を観た。実を言うと北野作品をちゃんと通しで観るのは初めて。以前衛星放送で放映された『その男凶暴につき』をチョット観たら、暴力描写に辟易して途中で観るのをやめてしまい、それ以来、北野武監督作品は敬遠していたのだ(笑)。
 『HANA-BI』も好きかと問われれば首をかしげてしまうが、凄い作品だとは思った。やはり天才なんだろうか。脚本もほとんど即興に近いというから、これは勝新太郎と同じやり方だな。あと、作中頻繁に出てくる絵も真似できないと思った。あれがしつこい、という意見もあるようだが。音楽は最初『ナウシカ』入ってるな〜と思ったら、やっぱり久石譲だった(笑)。これも賛否両論あるようだ。

 ベネチア映画祭金獅子賞(グランプリ)か…。邦画でこれを受けたのは『羅生門』(黒澤明)と『無法松の一生』(稲垣浩)ってところだろうか。他にあったっけ。
 溝口健二の『雨月物語』ですら銀獅子賞だからなぁ。その年は金獅子賞該当作が無くて実質的な最高賞だったし、溝口はその前に『西鶴一代女』で演出賞(監督賞)、『雨月』の翌年にも『山椒大夫』で銀獅子賞を受けて3年連続受賞という記録があるけれども。(2000/03/20)

菊次郎の夏 きくじろうのなつ
監督 北野武
公開年 1999年
評点[A’]
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菊次郎の夏
菊次郎の夏

 今日は、北野武監督の『菊次郎の夏』を観た。平成十一年(1999)の作品。

 小学生の正男(関口雄介)は祖母(吉行和子)と二人暮らしで、夏休みになっても遊びに連れていってくれる人がいない。そこで、遠くにいると聞かされていた母(大家由祐子)に一人で会いに行こうとする。以前近所に住んでいた女性(岸本加世子)に偶然見つけられ、ヒモのような夫の菊次郎(ビートたけし)が成りゆきで連れていくことになる。いい加減な中年男の菊次郎と正男の珍道中。そして、旅先での様々な出会い。

 『あの夏、いちばん静かな海。』や『キッズ・リターン』の流れをくむ、抒情豊かな作品。冒頭から、友人たちは家族と遊びに行き、祖母も働きに出て一人取り残される少年の姿に胸打たれてしまった。子供の感じる孤独がよく表現されている。また、子供が世界に感じる理由のない恐怖も、夢やイメージの形で表されている。
 中年男が他人の子供を世話したり親元に送り届けるというストーリーは『座頭市』などによくあったようだが、その淵源は遠く『無法松の一生』や、勘太郎を連れて放浪する『国定忠治』あたりにまで遡るだろうか。
 映像も非常に美しいが、ブルーのフィルタが強くて人の肌がくすんでいるように見えた。これは鑑賞する環境によって異なるけれども。
 バイオレンスは直接的に描写されることが全く無く、コメディアンとしてのビートたけし流のギャグが多い。この辺、好みが別れるところだろう。また、実験的なイメージ・ショットが多く、全体的に感傷的で甘すぎるとする意見も多いかもしれない。しかし、個人的には好きな作品だ。北野武作品は、感性で観るべきタイプの映画だと思う。
 たけし軍団のグレート義太夫や井手らっきょ等が出演し、特に井手が怪演している。(2000/12/01)

BROTHER ぶらざあ
監督 北野武
公開年 2001年
評点[B]
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BROTHER
BROTHER

 今日は北野武監督の『BROTHER』を観た。平成十三年(2001)の作品。

 自分の組を失ったヤクザの山本(北野武)が弟のケン(真木蔵人)を頼って渡米する。堅気だと思っていたケンが麻薬の売人をやっていることを知った山本は、弟の仲間のダニー(オマー・エプス)たちを舎弟にして組織を作り、既存のマフィアと対立する。

 北野監督が、かつて出演した『戦場のメリークリスマス』のプロデューサーだったジェレミー・トーマスと組んで、初めて海外で撮影した作品。
 海外向けも意識した作品のためか、よく言われているように、これまでの北野映画の集大成的な感じもある。銃撃戦などはスケールアップされていたが、いつものヤクザ物、という感もあったことは事実。酷評されているほどには悪い作品だとは思わなかったが……。“アニキ”という言葉がキーワードになっているように、これまでのヤクザを主人公にした作品群には無かったウェットな面も加味されていたのが、目新しいところかも。
 テレビ(地上波)でのノーカット放映だということだったが、最後のエンドロール部分がカットされていたのは、余韻が無くなって損したかもしれない。(2001/11/04)

座頭市 ざとういち
監督 北野武
公開年 2003年
評点[B]
感想
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座頭市 (北野武)
座頭市 (北野武)

 今日は、北野武監督・主演の『座頭市』を観た。平成十五年(2003)の作品。

 たまたま農婦おうめ(大楠道代)の家に世話になっていた座頭市(北野武)は、すぐ近くの宿場町の賭場に出かける。その頃、浪人の服部(浅野忠信)と妻(夏川結衣)、旅の芸者姉妹(大家由祐子・橘大五郎)が町にやってきたが、二組ともわけあり風だった。服部はすぐさま、やくざの銀蔵(岸部一徳)に用心棒として売り込んだ。

 たけしが『座頭市』の監督・主演を務めることで製作発表の時から注目され、ベネチア映画祭の銀獅子賞(=監督賞という報道もある)を得てさらに話題になった作品。
 まず、座頭市がなぜか金髪で朱塗りの仕込杖を持つというビジュアル面が目を惹くが、元祖の勝新座頭市とは別物ということをまず強烈に印象付けるためだったのだろうか。ただし、この作品はカラーが押さえ気味の画面なので、白髪あるいは銀髪に近いように見えて意外と違和感は少ない。
 北野映画としては複雑なプロットを持つストーリーで、随所にタップダンスや小ネタ的ギャグが見られ、最も娯楽性に富んだ作品だろう。殺陣も、座頭市シリーズのリアル傾向の殺陣を引き継いで、さらに血の噴出やCGなどで演出が加えられたものになっている。
 ただし、ハイスピード撮影が多用されているので、殺陣のスピード不足をスローモーションでごまかしているように見えた。外国人には受けるかもしれないが、昔の時代劇慣れした目で見るとかえって迫力不足に感じてしまった。段取りを決めておこなう従来の殺陣を諷刺したようなギャグはちょっと面白かったけど。
 さすがに市を演じたこの作品では見せないが、自らタップダンスを踊る力量を持つ北野監督はリズム感が良いのか、非常にテンポ良く進み退屈させない。下手な日本製ミュージカル映画よりもよほど“音楽的”な映画。しかし、サービス精神過剰というか、浪人の妻のエピソードは余計だし、全体にギャグやダンスの部分を刈り込んで上映時間を短くしても良かっただろう。
 また、座頭市の北野武も浪人の浅野忠信も非常にアッサリした雰囲気で、影や暗さのようなものが感じられない。ちょっとキャラクターが薄っぺらなような気がする。また、作品全体にもあまり哀愁や重みは感じられなかった。それだからこそ海外や今の日本で受けたのかもしれないが。
 映像は色が独特で印象的だけれども、夜間撮影にもう一工夫欲しかった気がする(撮影:柳島克己 )。(2004/08/10)

北野武
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