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黒澤明(黒沢明)

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わが青春に悔なし わがせいしゅんにくいなし
監督 黒澤明
公開年 1946年
評点[B]
感想
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わが青春に悔なし
わが青春に悔なし
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 2

 今日も黒澤明監督の『わが青春に悔なし』を観た。昭和二十一年(1946)の作品。

 京大法学部の八木原教授(大河内傳次郎)の娘・幸枝(原節子)は学生たちと仲がよく、特に野毛(藤田進)と糸川(河野秋武)と親しかった。昭和八年の思想弾圧で八木原は大学を辞し、野毛は左翼運動に身を投じて投獄され、糸川は学生運動から脱落して検事への道を進み、幸枝は野毛の後を追って苦難の道を歩む。

 京大の“滝川事件”と“ゾルゲ事件”を基にした作品(脚本:久板栄二郎)で、終戦直後の作品らしく、自由と民主主義と女性の自立を謳った作品。
 登場人物の描き方は、“転向”した糸川が、いかにもな悪役になってしまい、幸枝が理想化されすぎた感じで、やはり戦後映画だな、という印象が残る。作品のテーマ的なところよりも、むしろ幸枝が野毛に激しく愛情の告白をするようなシーンに原節子の魅力が出ているように感じた。あと、終盤に原節子が泥の中で田植えをするシーンには、のちの『七人の侍』を彷彿とさせる黒澤作品らしい力強さがあった。(2002/09/02)

酔いどれ天使 よいどれてんし
監督 黒澤明
公開年 1948年
評点[B]
感想
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酔いどれ天使
酔いどれ天使
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 2

 今日は、黒澤明監督の『酔いどれ天使』を観た。昭和二十三年(1948)の作品。

 終戦直後、闇市の近くにある汚い沼地のそばで開業している医師・真田(志村喬)は酒好きでいつも飲んだくれているが、医療にかける熱意では評判の医者だった。
 彼のもとに、闇市の若い顔役・松永(三船敏郎)がケガの治療にやってくると、すぐさま真田は松永が肺結核に冒されていることを見抜いた。病気による衰えと兄貴分の岡田(山本礼三郎)が出所してきたこともあって、松永は窮地に立たされる。松永を救おうとする真田。

 三船敏郎が黒澤映画に初登場した作品。虚勢を張っているが実は気弱なヤクザを好演している。ただ、終盤のメイクはちょっと濃すぎると思う。志村喬は爺役というイメージが強いが、この作品では意外と若い印象だった。実際まだ四十代だし。
 内容は、今から観ると黒澤流ヒューマニズムがストレートすぎるような気もするが、さほど押し付けがましくはないので抵抗感は無い。映像的には、それよりあとの映画・マンガに影響を与えたと思われるショットが多い。特に、終盤のペンキの中でのカッコ悪いがゆえにリアルな立ち回りは、今観ても迫力がある。(2001/09/08)

静かなる決闘 しずかなるけっとう
監督 黒澤明
公開年 1949年
評点[A’]
感想
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静かなる決闘 ― デラックス版
静かなる決闘
デラックス版
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黒澤明
黒澤明:大映BOX
『羅生門』
『静かなる決闘』
『まあだだよ』

 今日は、黒澤明監督の『静かなる決闘』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 戦地から帰還した青年医師・藤崎恭二(三船敏郎)は、戦前からの許婚・松本美佐緒(三條美紀)に冷たい態度をとり、婚約を破棄しようとする。実は、戦時中に野戦病院での手術中、梅毒に感染してしまっていたからだ。それを打ち明けられず、苦悩する藤崎。

 『酔いどれ天使』・『赤ひげ』と並ぶ医師主演の黒澤作品。『酔いどれ天使』で志村喬と共演して主役を食ってしまった三船敏郎が、この作品では主役の医師を演じている(志村喬は三船の父役)。
 中盤まではお説教臭さがあり主人公も理想的過ぎると思ったが、終盤に主人公が苦悩を語りだすと、ぐいぐい力技で押してきて感動させられる。黒澤作品では女性の描き方がイマイチというのが通説で、この作品の主人公の許婚や主人公のところに住み込んでいる元ダンサーの女(千石規子)も不自然に見えることもあるが、特に後者は黒澤作品にしては生き生きした女性として描かれていると思った。(2002/02/03)

野良犬 のらいぬ
監督 黒澤明
公開年 1949年
評点[A’]
感想
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野良犬
野良犬
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 2

 今日は、黒澤明監督の『野良犬』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 若い村上刑事(三船敏郎)が満員のバスの中で拳銃をすられた。さっそくその拳銃を使った事件が発生し、村上は一人で解決しようとあせるが上手くいかない。ベテランの佐藤刑事(志村喬)の助けによって遊佐(木村功)という男が浮かび上がり、二人は彼を追う。

 黒澤監督の前作『酔いどれ天使』の主演者が再び共演。前作で黒澤作品初出演の三船敏郎の人気が高かったので、主役と共演者の位置が逆転している。オープニングの、題名そのまんまの犬の顔のアップからして、日本の夏の暑苦しさを十二分に表現した作品。夏を舞台にした映画は多いけれども、特にこの作品の中の暑さは傑出していると思う。
 登場人物は黒澤お得意の類型的なキャラクター造りだが、ストーリーと俳優のイメージ双方に合っていて、違和感は無い。黒澤流のわかりやすい絵作りも、サスペンス的な緊迫感を盛り上げている。電話越しに向こう側で起こった事件を知る演出は、編集が秀逸だと思った。もうろく爺ィを演じさせたら、高堂国典の右に出るものなし。
 ただ、遊佐の情婦(淡路恵子)がドレスを着て「楽しいわ! 楽しいわ!」とグルグル回って踊るシーンは、唖然というか爆笑ものというか……。(2002/09/04)

羅生門 らしょうもん
監督 黒澤明
公開年 1950年
評点[A]
感想
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羅生門 デラックス版
羅生門
デラックス版
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黒澤明
黒澤明:大映BOX
『羅生門』
『静かなる決闘』
『まあだだよ』

 今日は、黒澤明監督の『羅生門』を観た。昭和二十五年(1950)の作品。

 平安時代末期の雨の日、羅生門の下で雨宿りする男に、杣(そま)売り(志村喬)と旅法師(千秋実)が奇怪な事件を語る。ある日、侍(森雅之)が殺され犯人の盗賊・多襄丸(三船敏郎)が捕らえられたが、犯人と侍の妻(京マチ子)、そして巫女の口を借りて語った侍、3人の証言が全て食い違うという。

 ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、日本映画黄金時代の先駆けとなった作品(日本の劇映画で初めて海外受賞した作品だと言われることもあるが、戦前に田坂具隆監督の『五人の斥候兵』が同じくヴェネチア映画祭の民衆大臣賞を得ている)。原作は芥川龍之介の『藪の中』。最初と最後に少し『羅生門』が入ってる。
 有名な木の葉越しの太陽をとらえた宮川一夫のカメラが絶品。冒頭、降りしきる雨を描写したのは黒澤監督の美的センスだろうか。雨をああまで美しくとらえたのは、確かに外国映画には無いかも。
 ストーリーは、大映社長の永田雅一が「さっぱりわからん」と言ったように(笑)、人間の主観の不確かさを描いた不条理劇のような感じ。登場人物が正面切ってカメラを向いて長台詞を言うので舞台演劇のような部分もあり、話の構成にもう一工夫欲しかった部分もあるが、後半のサスペンス感は素晴らしい。俳優では、哄笑する京マチ子は恐ろしいくらいの迫力があった。
 ラストシーンは甘いと感じる人もいるかもしれないが、個人的には結構いいと思った。戦後の世相を反映したものだろうか。(2000/11/26)

虎の尾を踏む男たち とらのおをふむおとこたち
監督 黒澤明
公開年 1952年
評点[A’]
感想
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虎の尾を踏む男達
虎の尾を踏む男達
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 3

 今日は、黒澤明監督の『虎の尾を踏む男たち』を観た。昭和二十七年(1952)の公開だが、製作は昭和二十年(1945)。

 平家を滅ぼした源義経(仁科周芳)は梶原景時の讒言を信じた源頼朝によって、全国で追われる身となった。義経主従は山伏に姿を変えたが、義経を捕らえるための安宅の関所にさしかかると、土地の
地頭・富樫(藤田進)に見破られる。しかし、弁慶(大河内伝次郎)は機略で切り抜けようとする。

 能の『安宅』と歌舞伎の『勧進帳』を基にした作品。終戦直後の作品なので、上映時間は一時間ちょうど、撮影も簡単なセットのみの商品だが、黒澤明自らによる脚本は古典を巧みに翻案し、オリジナルキャラである強力(榎本健一)を登場させたことによって、観客を飽きさせない作品になっていると思う。
 エノケンはよく動きよくしゃべり面白いが、今から観ると表情の演技がサイレント的というか少々過剰に見えるところもあった。大河内傳次郎も弁慶にしては小柄だが威厳があり、ラストの酔う演技が上手い。ただ、滑舌が悪くて何を言っているのかわからないところも多かった。(2002/08/30)

七人の侍 しちにんのさむらい
監督 黒澤明
公開年 1954年
評点[超A]
感想
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七人の侍
七人の侍
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 1

 今日は、黒澤明監督の『七人の侍』を観た。昭和二十九年(1954)年の作品。

 戦国時代、ある寒村が野武士の襲撃に悩まされていた。百姓たちは、用心棒として侍を雇おうとする。米の飯だけの報酬に応えて、勘兵衛(志村喬)・菊千代(三船敏郎)・七郎次(加東大介)・勝四郎(木村功)・平八(千秋実)・久蔵(宮口精二)・五郎兵衛(稲葉義男)の“七人の侍”が集まり、野武士との死闘が始まる。

 国内外を問わず、日本映画の代表作とされている作品。その名に違わず、勘兵衛が侍たちを集めようとする冒頭から野武士との戦闘ののちのラストシーンに至るまで、映画的面白さが横溢している。七人の侍や主な百姓たちも、キャラ立ちまくり。
 これを観て「思ったより凄くなかった」という意味のことを言う人がいるようだが、『七人の侍』は映画やマンガ(劇画)はもちろんゲームの類(RPG等)も含めた多くの創作作品に影響を与えているので既に似た表現に触れてしまっていた、ということだろう。この作品の本質的な良さは揺らがないと思う。今まで邦画を敬遠していた人々にもお勧めできる作品。(2001/03/31)

蜘蛛巣城 くものすじょう
監督 黒澤明
公開年 1957年
評点[B]
感想
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蜘蛛巣城
蜘蛛巣城
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 1

 今日は、黒澤明の『蜘蛛巣城』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 戦国時代、蜘蛛巣城主・都築国春(佐々木孝丸)の重臣・鷲津武時(三船敏郎)は、森で出会った物の怪(浪花千栄子 )の予言を盲信し、自らの運命を狂わせていく。

 西洋の古典好き(?)の黒澤監督がシェークスピアの『マクベス』を大胆に翻案した作品(脚本:小国英雄・橋本忍・菊島隆三・黒澤明)。世界で最良のシェークスピア映画とも言われているらしい。
 古典の映画化のためか、三十年代頃までの黒澤作品にしては熱を感じず、様式美が勝っているように見えた。シェークスピア作品の膨大な台詞を巧みに刈り込んで日本映画として成り立たせているのは見事だが、世評が高いだけに、もう少し傑出したものがあることを期待してしまった。私には少々高尚すぎるのかもしれない。ただ、妄執の権化のような鷲津の妻・浅茅を演じた山田五十鈴の狂気の演技と、矢で射すくめられる鷲津の最期のシーンの三船敏郎の演技は凄い。(2002/08/29)

隠し砦の三悪人 かくしとりでのさんあくにん
監督 黒澤明
公開年 1958年
評点[A]
感想
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隠し砦の三悪人
隠し砦の三悪人
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 3

 今日は、黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 百姓の太平(千秋実)と又七(藤原釜足)は一旗揚げようと雑兵になったが、負け戦でさんざんな目にあって逃げ出した。隣国の山名家に滅ぼされた秋月家の侍大将・真壁六郎太(三船敏郎)は強欲な二人を利用して、密かに秋月家再興のための金を持ち出し跡継ぎの雪姫(上原美佐)を逃がそうとする。

 『スターウォーズ』にヒントを与えたことでも知られる作品。そういえば、テーマ曲も『スターウォーズ』のメインテーマに似ているような気もする。
 千秋実と藤原釜足のコミカルなやりとり、三船敏郎のアクション、上原美佐の美しさ、全てキャラが立っていて面白い。特に、三船が馬を駆って騎馬武者を追いかけて切り捨てるシーンの迫力 が凄い。
 上原美佐は素人だったそうだ。台詞回しが凄い(別の意味で)ので、脱出行の最中は口のきけない娘ということにされていたのは、ちょうど良かったかも(笑)。話せないことを意味する俗語が連発されているため、地上波放映は絶対に無理だろう。(2001/04/23)

用心棒 ようじんぼう
監督 黒澤明
公開年 1961年
評点[A’]
感想
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用心棒
用心棒
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 2

 今日は、黒澤明監督の『用心棒』を観た。昭和三十六年(1961)年の作品。
 ある宿場町に、ふらりと浪人(三船敏郎)が現れる。飯屋の権爺(東野英治郎)から、そこでは清兵衛(河津清次郎)と丑寅(山茶花究)という二人の親分が争いを続け、ゆえに町が荒れ果てていることを聞くと、浪人は桑畑三十郎と名乗って自らを双方に売り込み、共倒れさせようとする。

 これも有名な黒澤作品。誰もが面白いって言うね。なるほど確かに面白い(笑)。
実は、盗作のイタリア製西部劇『荒野の用心棒』の方を先にテレビで観たことがあるのだが、本当にそのまんま!イーストウッドよりミフネの方が役者としての魅力は上だな。
 キャラは類型的でマンガのようだが、全員そうなので違和感は無い。むしろ、昔の時代劇劇画の類の方が、黒澤時代劇の影響を受けているのだろう。哀感あるいは余韻のようなものは皆無なので、多少はあっても良いような気がするけれども、意図的に排除しているのだろう。(2001/05/05)

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黒澤明(黒沢明)
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