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楠葉宏三
MARCO 母をたずねて三千里 まるこははをたずねてさんぜんり
監督 楠葉宏三
公開年 1999年
評点[C]
感想
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MARCO 母をたずねて三千里
MARCO
母をたずねて三千里

 今日は、劇場用アニメ『MARCO 母をたずねて三千里』を観た。監督は楠葉宏三で、平成十一年(1999)の作品。

 19世紀末のイタリアの港町ジェノバに住む少年マルコ・ロッシ(声:樋口智恵子)は、アルゼンチンへ出稼ぎに行った母アンナ(声:榊原るみ)からの音信が途絶えたので、アルゼンチンへ一人会いに行くことを決意し旅立つ。

 昭和五十一年(1976)にテレビ放映された世界名作劇場『母をたずねて三千里』(監督:高畑勲/脚本:深沢一夫/キャラクターデザイン:小田部羊一)のリメイク版。
 あらすじは日本人におなじみの物語であり、キャラクターデザインの人も交代した(才田俊次)とはいえマルコの絵柄はなるべく似せて描かれており、脚本家も同じ深沢一夫であるにも関わらず、演出家が交代し二十余年の月日を経ると、こうまで違う作品になるものかと一驚せざるを得ない。
 まずテレビ版マルコのたくましさが消え、こんな子供が一人でアルゼンチンにたどり着けるとは思えなくなってしまっているのを初めとしてヒロイン的存在のフィオリーナ(声:松下恵)など多くのキャラクターが別人のようになっていたり、尺の関係でダイジェスト的になるのは仕方ないとはいえ肝心なところが省略されたり演出が変えられたりしていて釈然としない。
 特に、テレビ版では執拗なほど繰り返されていた生活観の描写がほとんど失せてしまっているのが目に付く。楠葉監督が演出した世界名作劇場の『ロミオの青い空』(1995年放映)も佳作ではあったが少々リアリティに欠けるところも気になったので、監督の責任かもしれない。
 また、劇場版では背景の描き込みが細かくなっているのだが、テレビ版の背景の方がリアリティを感じさせるのが不思議だ。テレビ版の美術監督の椋尾篁以下のスタッフによる背景は、額縁を眺めているのではなく自分がその中に入っていくような感覚を覚えるほど素晴らしいものだった。

 私の見方はテレビ版に思い入れが強すぎて点が辛すぎるかもしれないが、まだテレビ版『母をたずねて三千里』を観たことがない人に「こんなもんか」と思われるのは困るので、レンタルでも良いからテレビ版を観ることを強くお勧めしたい(DVDで全13巻もあるが観て後悔することはないと思う)。(2005/10/01)

楠葉宏三
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