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宮崎駿
ルパン三世 カリオストロの城 るぱんさんせいかりおすとろのしろ
監督 宮崎駿
公開年 1979年
評点[A’]
感想
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ルパン三世 - カリオストロの城
ルパン三世
カリオストロの城

 今日は、宮崎駿監督のアニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』を観た。昭和五十四年(1979)の作品。

 ある時、ルパン(声:山田康雄)と次元(声:小林清志)がカジノから盗んだ大金は、有名な偽札“ゴート札”だった。そのゴート札の製造元だというヨーロッパの小国・カリオストロ公国に潜入したルパンたちは、公女クラリス(声:島本須美)をむりやり自分の妻にして国の全てを手に入れようとするカリオストロ伯爵(声:石田太郎)の陰謀を知る。

 宮崎駿監督の、劇場用長編アニメの第1作。宮崎作品の特徴である追っかけアクションや飛行シーン、キャラクター同士の暖かい関係などが既に描かれており、後の作品に見られるメッセージ性や監督個人の趣味(飛行機やメカ)は、まだあまり濃くないので(クラリスが少女なのは監督の趣味かもしれないが)、純粋な娯楽性ではいまだにトップクラスかもしれない。途中で退屈することは全く無く、100分がすぐ過ぎる。
 ルパンとクラリスの会話、そして銭形警部(納谷悟郎)のあの有名な最後の言葉など、台詞が洒落ている。ちょっとキザにも聞こえるが。

 原作やテレビアニメ第1シリーズのハードボイルドな風味が消え、ルパン三世が完全に“宮崎ルパン”と化していることに対する批判もある。確かにそういう面もあるかもしれないけれども、私は世代的に子供の頃テレビアニメの第2シリーズを観ていたので、さほど気にはならなかった。(2002/03/23)

千と千尋の神隠し せんとちひろのかみかくし
監督 宮崎駿
公開年 2001年
評点[A]
感想
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千と千尋の神隠し (通常版)
千と千尋の神隠し
(通常版)

 今日は、宮崎駿監督のアニメ映画『千と千尋の神隠し』を観た。平成十三年(2001)の作品。

 家族で八百万の神々の世界に迷い込んだ千尋(声:柊瑠美)は、豚にされてしまった両親を助けるため、湯屋“油屋”を支配する湯婆婆(声:夏木マリ)の下で働き始める。そこでは釜たきの釜爺(声:菅原文太)や同僚のリン(声:玉井夕海)、美少年のハク(声:入野自由)らが千尋を助けてくれ、カオナシや巨大な赤ん坊“坊”(声:神木隆之介)などとの不思議な出会いもあった。

 2001年に公開された宮崎駿作品最大のヒット作にして、現在のところ日本で公開された映画として最大の観客動員数を誇る作品。アニメ技術の一つの到達点を示すような作品で、とにかく映像が凄い。3D CG的な絵もあるが、あまり違和感無く融和させることに成功していると思う。アニメは実写を模倣するよりも、やはりこの作品のようにアニメ独自の世界を作り出すことを目指すべきなのかもしれない。
 主要キャラや八百万の神々は神というより水木しげる的な妖怪っぽい。食い物屋の街並みなどの世界観は純和風ではなくかなり中国的でもあり、こういうのは西洋人にウケるかもしれない。海外公開されたので、それを狙っていたのだろう。

 内容的には、働かざるもの食うべからずというか、いわゆる3Kの仕事でも自分の任務はきちんと果たせというような、ちと説教っぽいものも臭ってきたり、いつもの自然保護的なメッセージもあるが、作品のテーマはそれにとどまらず、少女(人間)が成長するために必要なことを伝えようとしているようだ。また、空想の世界にとどまりつづけてはいけない、というアニメ作家としての観客(特に子供たち)への忠告もあるのかな? しかし、この作品は過去作と比べると表現が直接的ではなく、かなり象徴的な感じがする。それゆえ、難解という評もあるようだ。
 メッセージ性は強いような気がするけど、それはそれで置いといて絵や物の怪的なキャラクターを楽しんで観ても良いのかも。ただ、やはりかなり狙って作った作品だな、という気もする。日本映画史に残る作品であることは確かだが。(2003/01/24)

ハウルの動く城 はうるのうごくしろ
監督 宮崎駿
公開年 2004年
評点[A’]
感想
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ハウルの動く城
ハウルの動く城

 今日は、宮崎駿監督のアニメ映画『ハウルの動く城』を観てきた。平成十六年(2004)の作品。

 家業の帽子屋でコツコツ働いている少女ソフィー(声:倍賞千恵子)は、街で魔法使いの美青年ハウル(声:木村拓哉)に声をかけられ不思議な体験をするが、ハウルを追っている荒地の魔女(声:美輪明宏)にも目をつけられ、呪いをかけられて90歳の老婆にされてしまう。密かに家出して山野をさまようソフィーはハウルの住む“動く城”と出会い、そこに入りこむ。

 いつもながら前評判・観客動員数ともに高い宮崎監督の最新作。ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『魔法使いハウルと火の悪魔』の映画化(脚本:宮崎駿)。
 日本を舞台とした前作から一変して架空のヨーロッパ風の王国が舞台となっている。しかし、自分が本当にやりたいことを見つけられないでいる少女ソフィーと、一見なんでもできる魔法使いであっても実は臆病で精神的には自分の“城”の中に引きこもっている若者ハウルが主人公になっていて、物語のテーマは『千と千尋の神隠し』を彷彿とさせるものを感じた。老婆と化したソフィーがハウルの城に住むようになるのも、単なる居候ではなく“掃除婦”として入り込む点も似ている。
 さらに今作では、ここ数年の世界情勢に対して監督は思うところあるのか、強い反戦的メッセージもあるようだ。

 以上のようなテーマ性/メッセージ性の強さと、その割りに核となるストーリーがあっさりしていて物語性は薄めであること、加えて主役二人の声をアニメでの実績がほとんどない有名芸能人が担当して、やはりどうしても専門家の声優には及ばない点があることから、この作品には厳しい評価も与えられているようである。
 しかしながら、ハウルの城その他メカの造形のユニークさや、道化役キャラであるカルシファー(声:我修院達也)とカブのユーモア、そして魔法の描写の天衣無縫さなど、観客の目を惹きつけて離さないものは確かにあると思う。日本の妖怪変化的世界が舞台だった前作よりも開放感・躍動感がある。

 それにしても、ここのところの宮崎作品は、ますます観客を力でねじ伏せるような作風になっているように感じた。いわば、日本料理ではなく肉汁たっぷりのステーキと言おうか、あっさりタイプの作風とは対極に立つ、黒澤明的な流れに属する作風になったような気がする。
 言い換えれば、無駄なものを徹底的に削ってフォルムを絞り込んだ零式艦上戦闘機(ゼロ戦)と、パワーと重装甲にものを言わせて押しまくる超空の要塞B-29の違いとでも言えるだろうか。宮崎監督は自らが嫌悪するアメリカ的B-29タイプに属するのが皮肉だ。テーマやモチーフを描き尽くしたベテラン監督が、映像の方面に重点を置くようになるのは仕方ないところもあるが。

 私の個人的な好みはゼロ戦タイプだが、宮崎監督が現在の日本の映画監督(実写を含めて)の中ではいまだにトップクラスの“力”を持っていることは事実だろう。(2005/02/01)

宮崎駿
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