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溝口健二

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雪夫人絵図 ゆきふじんえず
監督 溝口健二
公開年 1950年
評点[B]
感想
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雪夫人絵図/朝日は輝く(短縮版)
雪夫人絵図/
朝日は輝く(短縮版)

 今日は、溝口健二監督の『雪夫人絵図』を観た。昭和二十五年(1950)の作品。

 旧華族・信濃家の一人娘である雪(木暮実千代)は婿養子の直之(柳永二郎)を迎えていたが、彼は雪を欲望のはけ口のように扱う一方で京都に妾(浜田百合子)を持つなど放蕩の限りを尽くしていた。夫に悩まされている雪は、かつて信濃家の書生であった菊中方哉(上原謙)に想いを寄せているが……。

 舟橋聖一原作の映画化(脚本:依田義賢・舟橋和郎)。
 戦後、溝口がしばらく映画会社を転々とした時期の作品で、新東宝製作。雪夫人が理性では夫・直之を憎みながら肉体は離れらない矛盾に悩むことがテーマで、映画として表現するのはなかなか難しい主題だと思う。性的な描写はほとんど許されていなかった時期でもあるし。
 しかしながら、間接的な描写でそれをうかがわせることには成功していて、苦悩する雪夫人や彼女を見守る女中・浜子(久我美子)の存在感には溝口監督の女性描写の巧みさを見ることができると思う。
 ただし、華族を知らぬ現代人の目で見ると、雪夫人と菊中があまりにも無力で無為無策に見えて理解しづらいかもしれない。雪と菊中、特に後者がどういう人物であるか、もう少しわかりやすくしてほしかったような気がする。双方とも難役であるが。
 柳永二郎は役に対してちょっと老けすぎているような気もしたが、薄っぺらいお坊っちゃん的人物を表現できていたと思う。
 映像は溝口健二らしさ(長回し・クレーンの多用)はあまり感じさせないオーソドックスな美しさがある(撮影:小原譲治)。(2004/10/03))

お遊さま おゆうさま
監督 溝口健二
公開年 1951年
評点[B]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954
溝口健二
大映作品集Vol.1
『お遊さま』
『雨月物語』
『祇園囃子』
『山椒大夫』
『噂の女』

 今日は、溝口健二監督の『お遊さま』を観た。昭和二十六年(1951)の作品。

 谷崎潤一郎の『芦刈』が原作で、京都の商家の若主人の結婚相手の お静(乙羽信子)とその姉の お遊さま(田中絹代)との三角関係(?)みたいなお話。
 どこかで「若い方がいいに決まってるだろう!」という説を読んで、確かに若い頃の乙羽信子は可愛いけれども、お遊さまが、み、みみ未亡人(←なぜどもる)という設定なのが妙に気になる(爆)。
 初めて名カメラマンの宮川一夫が溝口と組んだ作品で、画面は美しいっす。(2000/04/23)

武蔵野夫人 むさしのふじん
監督 溝口健二
公開年 1951年
評点[A’]
感想
武蔵野夫人
武蔵野夫人

 溝口監督の『武蔵野夫人』を観た。昭和二十六年(1951)の作品。

 戦争を期に東京の郊外の武蔵野の実家・宮地家に帰った秋山道子(田中絹代)は、宮地家代々の家と土地を守っていこうと決意したが、夫の忠雄(森雅之)は軽薄で頼りにならない。そんな中、道子の年下のいとこで学徒出陣していた宮地勉(片山明彦)が戦地から帰還してくる。

 当時ベストセラーとなった大岡昇平の同題作品が原作で、“潤色”として福田恆存の名がある(脚本:依田義賢)。
 従来の評価ではいわゆる戦後のスランプ期の作品とされてきて、評価は高くない。実際、主人公の道子や忠雄は良いとしてもその他のキャラクターの描写がちょっと薄っぺらく、道子の運命の相手であるはずの勉の片山明彦はあまり魅力が感じられない。
 しかしながら、戦後の成瀬巳喜男の多くを担当した玉井正夫撮影監督による武蔵野の描写は大変に美しく、溝口監督特有の厳しい人物描写は健在だと思う。特に“臨終場”の感傷を排した突き放したような描き方は『残菊物語』を彷彿とさせる厳しさがある。やはり凄い。(2007/01/03)

西鶴一代女 さいかくいちだいおんな
監督 溝口健二
公開年 1952年
評点[超A]
感想
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西鶴一代女


西鶴一代女

 先日、amazon.comで通販申し込みをした『西鶴一代女』(The Life of Oharu)が届いたっす!イエ〜!!(ここでビルとテッドの如く“エアギター”のゼスチュア)2月22日の深夜(正確には23日の早朝)に申し込んだから、10日ほどで届いたのか。
 いや〜、田中絹代という名優に名監督、色んな意味で濃い映画だ。溝口健二作品の中でも濃さは一番かも(笑)。
 最初の方に三船敏郎が出てきて、これが多分生涯唯一の色男役で、ミフネなのに暴れない!(爆)彼はロバート・デ・ニーロと同じく何をやっても“ミフネ”になってしまうタイプなのに、この作品は三船敏郎らしく見えなかった。溝口健二の演出力はさすがだ。(2000/03/04)

雨月物語 うげつものがたり
監督 溝口健二
公開年 1953年
評点[超A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954
溝口健二
大映作品集Vol.1
『お遊さま』
『雨月物語』
『祇園囃子』
『山椒大夫』
『噂の女』

 今日は、溝口健二監督の『雨月物語』放映の日!この作品が産まれた昭和二十八年(1953)年には小津安二郎の『東京物語』も作られ、日本映画最良の年でありました。

 戦国時代に生きる、源十郎(森雅之)と宮木(田中絹代)・藤兵衛(小澤榮、のちの小沢栄太郎)と阿濱(水戸光子)たち二組の夫婦。陶器を焼いて金儲けを企む源十郎と侍になって出世することを夢見る藤兵衛。その二人と彼らの妻たちを待ち受ける運命。

 やはり見事としか言いようのない作品。森雅之と田中絹代は、さすが上手い。源十郎が家に帰ってくるシーンは最高だ。源十郎を惑わす魔性の美女・若狭を演じた京マチ子もハマリ役。
 ただ、個人的には最後のモノローグが少々くどいように思うのだが…。(2000/12/18改稿)

祇園囃子(祗園囃子) ぎおんばやし
監督 溝口健二
公開年 1953年
評点[A’]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954
溝口健二
大映作品集Vol.1
『お遊さま』
『雨月物語』
『祇園囃子』
『山椒大夫』
『噂の女』

 今日は溝口健二監督の『祇園囃子』を観た。溝口得意の花柳界もの。

 昭和二十八年(1953)作で、『雨月物語』と同年の作品ですな。溝口自身が「間に合わせの仕事です」と言っているけど、間に合わせでこれだけの作品を作られたら、後世の人はたまりません(笑)。確かに『雨月』には及ばないが、傑作とは行かずとも佳作とは言えるのでは。若い頃の若尾文子は可愛い。木暮実千代は大人の女性の魅力が。
 若尾文子を悪女にするつもりが会社側の意向で不可能になって、最後が『祇園の姉妹』とチョット似た感じになってしまったのが溝口としては不満だったのかな。

 小津作品のあとで観ると、ずいぶんと自由に撮っているように見えるから不思議だ。溝口は移動とかクレーンは大好きだったけれども、それほど派手に使っているわけでは無いのだが。
 画質がまぁまぁ良いので、白黒でも着物の美しさが伝わってきた。撮影が宮川一夫だし。舞妓の修行を撮す前半は、なんだか京都の観光案内映画みたいな感じもしたけど。だから英題はA Geishaで海外版ビデオの値段も高いんだな(笑)。(2000/04/11)

噂の女 うわさのおんな
監督 溝口健二
公開年 1954年
評点[A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954
溝口健二
大映作品集Vol.1
『お遊さま』
『雨月物語』
『祇園囃子』
『山椒大夫』
『噂の女』

 今日は、溝口健二監督の『噂の女』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 京都島原の遊郭の女主人(田中絹代)と、その商売に反発する娘(久我美子)の相克…って感じでしょうか。田中絹代が若い医者(大谷友右衛門のちの中村雀右衛門)を愛人にしていて、彼をめぐって母娘で争ったりして。
 なんつーか、久我美子は当時流行りのオードリー・ヘップバーン風のショートカットと黒いセーター。この流行を追ってしまう俗なところが溝口健二の可愛らしさといいますか…(笑)。
 これもあまり傑作とは言われていない。話がチト俗っぽいし、同年に『山椒大夫』と『近松物語』という超大傑作が作られちゃったんで、その谷間に埋もれた感もある。でも、田中絹代の演技に緩急があって“熱演”一辺倒ではない上手さを見せているし、島原遊郭の様子も生き生きと描写されていたと思う。溝口も遊んでたんだろう。(2000/04/26)

近松物語 ちかまつものがたり
監督 溝口健二
公開年 1954年
評点[超A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.2 1954-1956
溝口健二
大映作品集Vol.2
『近松物語』
『楊貴妃』
『新・平家物語』
『赤線地帯』
「時代を越える溝口健二」
(NHKドキュメンタリー長尺版)

 先週、超久しぶりにレンタルビデオ(全て溝口健二監督作品)を借りた中から、昨日は『元禄忠臣蔵』、今日は『近松物語』と『雨月物語』を鑑賞。
 『近松物語』は、マゲがよく見えて良かった。元禄時代のマゲを堪能(笑)。長谷川一夫はカッコ良かったけど、二枚目過ぎたのかな〜。溝口監督としては。(1999/12/06)

山椒大夫 さんしょうだゆう
監督 溝口健二
公開年 1954年
評点[A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954
溝口健二
大映作品集Vol.1
『お遊さま』
『雨月物語』
『祇園囃子』
『山椒大夫』
『噂の女』

 溝口健二監督の『山椒大夫』を観る。あらすじを知っていたので泣くまでは行かなかったけど、えぇ話や。山椒大夫といわれてピンとこなくても、安寿と厨子王の話だと言えば誰でも知ってると思う。(1999/12/23)

楊貴妃 ようきひ
監督 溝口健二
公開年 1955年
評点[B]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.2 1954-1956
溝口健二
大映作品集Vol.2
『近松物語』
『楊貴妃』
『新・平家物語』
『赤線地帯』
「時代を越える溝口健二」
(NHKドキュメンタリー長尺版)

 溝口健二監督の『楊貴妃』(1955年)を観る。確かに傑作とまでは行かない。しかし、言われているほど駄作にも見えないので、凡打ってところだろうか。和製中国映画としては、昔映画館で観た『敦煌』よりは上出来だと思う。役者が違うしね。でも、京マチ子の楊貴妃はイイとして、森雅之の玄宗皇帝が楽器を弾くと、まんま芸術家にしか見えない(笑)。
 これ、外国人から観ると傑作らしい。『雨月物語』と共に溝口健二の代表作に挙げられたりして。西洋人には日本と中国の区別なんてつかないか(笑)。我々にとってのハリウッド製ヨーロッパ史劇みたいなもんだろう。(2000/02/07)

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溝口健二
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