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仁科熊彦
右門捕物帖 六番手柄 仁念寺奇談 うもんとりものちょうろくばんてがらじんねんじきだん
監督 仁科熊彦
公開年 1930年
評点[A’]
感想  今日は、嵐寛寿郎主演の『右門捕物帖 六番手柄 仁念寺奇談』を観た。監督は仁科熊彦で、昭和五年(1930)の作品。

 将軍の日光参詣の道筋にあたる忍〔おし〕の城下で謎の辻斬り事件が続発しているため、江戸の同心むっつり右門こと近藤右門(嵐寛寿郎)はそこへ出張を命ぜられた。右門は“九の字”(鳴戸史郎)と称する首魁が浪人たちを率いて事件を起こしていることを嗅ぎつけたが、その裏にさらなる重大な陰謀が隠されていることを知る。

 佐々木味津三の推理時代小説の映画化。あの山中貞雄が脚本を担当している(補筆:重政順)。
 サイレント作だけあって、映像での語り方が見事。冒頭の“あば敬”ことあばたの敬四郎(尾上紋弥)の顔のグロテスクなアップで観客をつかみ、右門の文字通り黙ってむっつり考えているときと電光石火の殺陣の静と動の対比、右門の謎解きの過程、そして終盤の緊迫感あふれる“追っかけ”とゆっくり進む将軍の行列の切り返し等々。
 推理ものとしての謎解きのトリックは現代人が見れば途中ですぐわかってしまう程度のものだが、語り口の上手さと全体に漂うユーモアで魅せてくれる佳作。脚本の貢献もあるのかもしれないけれども、仁科熊彦はさすがに山中貞雄の師匠(の一人)というだけのことはあると思った。仁科監督の作品は何本くらい残されているのだろうか。
 右門とあば敬の他、右門の子分の岡っ引おしゃべり伝六は頭山桂之助、唯一の女性キャラでヒロインの櫛巻お由は原駒子。(2005/05/18)

剣聖 荒木又右衛門 けんせいあらきまたえもん
監督 仁科熊彦
公開年 1935年
評点[A’]
感想  仁科熊彦監督の『剣聖 荒木又右衛門』を観た。昭和十年(1935)の作品。

 浪人・荒木又右衛門(羅門光三郎)は柳生流の剣の腕を認められ、播州姫路の本多家へ仕官した。しかし、親しくしていた渡辺靱負(小島陽三)が河合又五郎(片岡左衛門)に斬られると、 靱負の子・数馬(静田二三夫)の助太刀として仇討ちの旅に出る。

 山中貞雄の師匠にあたる仁科監督の作品。極東甲陽というマイナー会社での製作で、昭和十年の段階でもサイレントだが、無声映画らしいテンポの良さを味わうことができる。
 序盤から中盤の荒木又右衛門の人間性を描くエピソードもちょっと面白いが、なんといってもメインは“鍵屋の辻”の決闘。終盤十数分を占めるチャンバラシーンは斬る方も斬られる方も走り回り、躍動感が素晴らしい。羅門光三郎は何度も跳躍するカットが挿入され、まさに“猛優”の名にふさわしい。現在の時代劇映画のスローモーションを多用する殺陣シーンにはない味わいがある。
 この時期のメジャー会社の阪妻などの大スターの主演作にはない荒々しい迫力のある作品になっていると思う。(2005/08/21)

仁科熊彦
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