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押井守
うる星やつら オンリー・ユー うるせいやつらおんりいゆう
監督 押井守
公開年 1983年
評点[B]
感想
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劇場版うる星やつら オンリー・ユー(ノーカット版)
劇場版
うる星やつら
オンリー・ユー
(ノーカット版)

 今日は、押井守監督のアニメ映画『うる星やつら オンリー・ユー』を観た。昭和五十八年(1983)の作品。脚本は金春智子、脚色は押井守、キャラクターデザインは高田明美と高沢孫一。

 言うまでもなく、高橋留美子原作の劇場版アニメ。諸星あたる(声:古川登志夫)は、突然現れた宇宙人にエル星の女王エル(声:榊原良子)の婚約者だと言われて連れ去られる。彼を取り戻そうとするラム(声:平野文)とその仲間たち。

 劇場版第1作ということで、まだ押井カラーは濃くなく、いつも通りのメンバー(劇場版オリジナルのキャラを除いて)によるいつものドタバタ追いかけっこをスケールアップさせたという感じで、“るーみっく・わーるど”の線を崩していない。
 しかし、キャラがよく立っており基本のストーリーはオーソドックスでしっかりしているので、今観ても充分楽しめる。ラスト近く、多少ノスタルジックな雰囲気を匂わせるところに、押井ワールドの萌芽があるか。
 メカやモブシーン等で遊びはあるけれども、まだあまりマニアック過ぎないので、意外と広い範囲の人が楽しめるかも。多少は『うる星』に関する予備知識が要るし、“るーみっく・わーるど”に抵抗がある人もいるとは思うが。
 絵的には、アニメ絵というよりも“マンガ”という感じで、時代を感じさせられる。メカのデザインも、なつかしい雰囲気がする。ただし、動きは良い。透過光の多用や、のちの作品ほどではないものの、所々見うけられる実写的な表現が押井監督らしさだろうか。(2000/11/21)

うる星やつら2 ビューテイフル・ドリーマー うるせいやつらつうびゅうてぃふるどりいまあ
監督 押井守
公開年 1984年
評点[A]
感想
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
うる星やつら2
ビューティフル・
ドリーマー

 今日は、押井守監督のアニメ映画『うる星やつら2 ビューテイフル・ドリーマー』を観た。昭和五十九年(1984)の作品。脚本も押井守、キャラクターデザインは やまざきかずお。

 ラム(声:平野文)と諸星あたる(声:古川登志夫)が通う友引高校は、時おりしも学園祭前夜。しのぶ(声:島津冴子)や面堂終太郎(声:神谷明)、メガネ(声:千葉繁)たちクラスメートなどの生徒は準備に大騒ぎしている。しかし、温泉先生(声:池水通洋)とサクラさん(声:鷲尾真知子)は、いつまでも“学園祭前夜”が続いていることに気づいた。あたるたちも、彼らだけが時間と空間が歪んだ世界に取り残されたことを知る。

 『うる星』のキャラクターを借りた押井守監督の事実上のオリジナル第1作にして、現時点での最高傑作。アニメによる実写的表現、長台詞とモノローグ、現実世界への懐疑、夢、近過去へのノスタルジー、学生運動(政治活動)等々…のちの作品にも現れる押井監督の全てのモチーフの萌芽が見え、この作品が一番破綻なく各要素を組み合わせることに成功し、過剰な難解さから逃れることができた。
 カメラの存在を仮定した実写的表現と哲学的なストーリーとが相まって、第1作の『オンリー・ユー』は文字通り“アニメ”という感じだったのに対し、『ビューティフル・ドリーマー』は“映画”を観た気分にさせられる。
 映像的には、前作から長足の進歩を遂げている。押井アニメの実写的表現の基本が既に完成している。面胴が操縦するハリアーから宙に浮かぶ友引町を見る場面は、全押井作品中で屈指のシーンだ。また、背景が素晴らしい。キャラクターも、前作より洗練されたアニメ絵風の絵柄になっている。80年代っぽい画風ではあるが。

 『うる星やつら』の劇場版中、『ビューティフル・ドリーマー』だけが2000年11月現在、DVD化されていない。この作品のみが東宝との提携で制作・配給され、ビデオ化権も東宝が所有しているのだが、東宝は自社作品のDVD化に積極的でなく、現時点では未定ということらしい。
 しかし、アメリカではDVDが発売され、通販で購入したという話もチラホラ目にする。リージョン・フリーで日本製DVDプレーヤーでも観られるという噂も聞いたが、私は持っていないので未確認。(補注:Web上の情報によると日本製DVDプレーヤーでも大丈夫らしい/補注2:2002年に待望の国内版DVDが発売された。スクイーズ収録で特典付き)
 確か、『ビューティフル・ドリーマー』は単品でLD化されるのも他の作品より遅かったと記憶している。ビデオとLDは廃盤になっていないのだろうか。(補注:一応、現時点でもビデオは東宝のサイト上のカタログからは消えていないようだ)(2000/11/23)

紅い眼鏡 あかいめがね
監督 押井守
公開年 1987年
評点[C]
感想
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押井守シネマ・トリロジー 初期実写作品集
押井守
シネマ・トリロジー
初期実写作品集
『紅い眼鏡』
『ケルベロス』
『Talking Head』

 今日は、押井守監督の『紅い眼鏡』を観た。昭和六十二年(1987)の作品。

 20世紀末、対凶悪犯罪特殊武装機動特捜班“ケルベロス”の隊員だった都々目紅一(千葉繁)・鷲尾みどり(鷲尾真知子)・烏部蒼一郎(田中秀幸)の三人は当局からの解隊命令を拒み、防弾装備のプロテクトギアと武器を持ったまま海外逃亡を図る。しかし、都々目紅一以外の二人は重傷を負い、彼は一人で旅立つ。そして三年後、都々目は街に帰って来た…。

 押井監督の実写第一作。政治っぽいのが好きな監督の全共闘趣味を前面に押し出して作られた作品。近作の『人狼』(押井守は脚本を担当)まで連なる“ケルベロスもの”の第一弾でもある。
 かなり久しぶりに再見したのだが…やっぱりねぇ…。古い邦画慣れした目で観ると…昔と今の作品を比べても詮無いことなのだが。なんと言うか、無茶苦茶(笑)。アングラ演劇みたいな演出が鼻につく。映像的にも目を見張るものがあるわけでもないし…。アニメでは鮮烈な印象の映像を作れても、実写となると簡単にはいかないのだろうか。まぁ、バカ映画(←ある種の誉め言葉)…と言って悪ければ、ドタバタアクション映画として観られる部分はあるかも。
 主演の三人は声優として有名で、その他のキャストも多くは声優。特に印象に残る演技は無いが、元々舞台畑の女優だった鷲尾真知子の演技が一番巧みだっただろうか。
 それと、これで116分というのは長すぎる。90分もあれば良かったのでは。“赤い少女”を演じた兵藤まこの美しさだけが妙に印象に残った。(2000/12/26)

機動警察パトレイバー きどうけいさつぱとれいばあ
監督 押井守
公開年 1989年
評点[B]
感想
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機動警察パトレイバー 劇場版
パトレイバー劇場版
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機動警察パトレイバー 劇場版 Limited Edition
パトレイバー劇場版
Limited Edition
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PATLABOR MOVIE ARCHIVES
PATLABOR
MOVIE
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 今日は、押井守監督のアニメ映画『機動警察パトレイバー』を観た。平成元年(1989)の作品。OVAとコミック(コミカライズ:ゆうきまさみ)で展開された『パトレイバー』の劇場版第1作。脚本は伊藤和典、キャラクターデザインは高田明美。

 1999年の東京では再開発と東京湾埋め立てを中心とした“バビロン・プロジェクト”が進行し、多数の汎用人間型作業機械すなわちレイバーが用いられていた。レイバーを動かすOSとして篠原重工製のHOSが新たに導入されると同時に、レイバーによる事故が急増する。特車二課第二小隊の後藤隊長(声:大林隆介)や篠原遊馬(声:古川登志夫)・泉野明(声:冨永みーな)らが謎を探り、東京に巨大な脅威が迫っていることを察知した…。

 劇場版第2作のインパクトが強いので印象が多少薄れ気味だったが、この作品も結構いい出来。絵のクオリティは『うる星やつら』の劇場版シリーズと比べると、格段の差。『2』になると、もっと凄くなるのだけれども。ただ、キャラは少々中途半端にリアル化されているような感じ。
 1989年の時点で、コンピュータを動かすOSをとりあげた先見性が注目される。今この作品を観て、HOSからWindowsを連想する人も多いだろう。最後の戦いもダイナミックで迫力があったが、そこに至るまでの、松井刑事(声:西村知道)らが東京の町をさまよう描写が少々長く感じた。監督の趣味なんだろうけど。
 その他、長台詞や旧約聖書の一節を引用するところなど、押井色が好みの別れるところだと思う。聖書の引用とか、キャラの名が“エホバ”を暗示するところなんかは、個人的にどうも気恥ずかしくて…。(2000/12/05)

ケルベロス 地獄の番犬 けるべろすじごくのばんけん
監督 押井守
公開年 1991年
評点[D]
感想
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押井守シネマ・トリロジー 初期実写作品集
押井守
シネマ・トリロジー
初期実写作品集
『紅い眼鏡』
『ケルベロス』
『Talking Head』

 今日は、『ケルベロス 地獄の番犬』を観た。監督・脚本は押井守。平成三年(1991)の作品。

 対凶悪犯罪特殊武装機動特捜班“ケルベロス”が解体された際に海外に逃れた都々目紅一(千葉繁)を追って、若い元隊員の乾(いぬい:藤木義勝)は異国に渡った。乾は、都々目と生活を共にしていた少女・唐密(タンミー:スーイーチン)と二人で彼を探し求める。

 押井監督の現在まで続く“ケルベロスもの”の一作。それにしても、噂には聞いてはいたが、予想以上に別の意味で凄い作品。押井ファンでさえ評価に窮した、というのがよくわかる。
 台湾の街や田舎の風景を延々と撮し続けて…96分の上映時間が異常に長く感じられた。予算が足りなかったのだろうか。あるいは、エキゾチズムに圧倒されたのか。戦闘シーンも戦争コントのような演出で真面目に撮っているようには見えず、不愉快にさえ感じた。それと、乾・都々目・そして“白服の男”(松山鷹志)の意図的に芝居がかった演技は、やはり不自然。
 実写版第一作の『紅い眼鏡』はお笑い映画として観られる部分もあったけれども、この作品はどこを評価して良いのか私にはわからない。(2001/02/20)

Talking Head トーキング・ヘッド とおきんぐへっど
監督 押井守
公開年 1992年
評点[D]
感想
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押井守シネマ・トリロジー 初期実写作品集
押井守
シネマ・トリロジー
初期実写作品集
『紅い眼鏡』
『ケルベロス』
『Talking Head』

 今日は、押井守監督の『Talking Head』を観た。平成四年(1992)の作品。

 製作に行き詰まったアニメを匿名で引き受ける渡り演出家の“私”(千葉繁)は、プロデューサー鵜之山(野伏翔)の依頼で、監督が失踪したある作品を手がけることになる。だが、スタッフはデスクの半田原(立木文彦)と演出助手の多美子(石井とも子)以外は役に立たず、連続殺人事件まで発生する。

 押井守の実写第三作で、脚本も押井監督による。一応ストーリーはあるが、終始、登場人物が押井監督の映画論をしゃべくりまくる。
 劇場(映画館?)を舞台に展開することやオチが『紅い眼鏡』と同じで、千葉繁など一部以外は無名の役者が延々と小芝居を繰り広げるのも他の実写作品と同じで、どう評価してよいのか困ってしまう。押井守監督は、映画に物語性を求めることは無意味だというような発言を何度もしているが、それを否定してしまうと作品として成り立たないし……。(2002/03/02)

機動警察パトレイバー2 the Movie きどうけいさつぱとれいばあつうざむうびい
監督 押井守
公開年 1993年
評点[A’]
感想
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機動警察パトレイバー2 the Movie
パトレイバー2
the Movie
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機動警察パトレイバー2 the Movie Limited Edition
パトレイバー2
the Movie
Limited Edition
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PATLABOR MOVIE ARCHIVES
PATLABOR
MOVIE
ARCHIVES

 今日は、押井守監督のアニメ映画『機動警察パトレイバー2 the Movie』を観た。平成五年(1993)の作品。『パトレイバー』の劇場版第2弾。脚本は伊藤和典、キャラクターデザインは高田明美&ゆうきまさみ。

 2002年、突然の横浜ベイブリッジ爆破に始まる一連の事件により、東京は事実上の戒厳令下におかれた。自衛隊情報部の荒川(声:竹中直人)の依頼によって密かに捜査を開始した後藤喜一(声:大林隆介)と南雲しのぶ(声:榊原良子)は、柘植行人(声:根津甚八)という男が全ての事件の背後にいることを知る。混乱に陥った東京で、かつての特車二課第二小隊の仲間たちが再び集結する。

 アニメとしては異色の社会派タッチのストーリーで注目を集めた。前作以上に押井色が全編を覆っている。しかも、南雲と柘植という中年男女のメロドラマが一つの柱となっていて、篠原遊馬(声:古川登志夫)・泉野明(声:冨永みーな)などの元特車二課の面々が脇役になっているのも異例のことだった。
 前作から4年を経て、さらに映像表現が進歩している。初めて観たときは、本当に驚いた。特に、冒頭のベイブリッジと航空自衛隊のスクランブルのシーンは、川井憲次の音楽とも相まってドキドキものだった。映像のダイナミズムが素晴らしい。このダイナミックな映像美こそ押井作品の肝(きも)だと思うのだが、これより後の作品では……。
 ただし、今観ると脚本が弱い。柘植の動機が漠然としすぎていて、あれでは同志や資金を集められるわけがないのでは。悪くすれば、内乱罪で死刑になるんだから。たとえ仲間を集めるための方便であっても、もう少し明確でなければ。その辺がハッキリしないと、作り手がああいうシチュエーションを描きたかっただけなのでは、と思えてしまう(実際そうなんだろうけど)。
 相変わらず旧約聖書の一節を引用したり、柘植行人が「告げゆく人」のメタファだったり、しばしば語られる長台詞などの押井節は、かなり好みの別れるところだろう。長台詞は台本を朗読しているみたいだし。

 しかし、映像が凄いので、内容の好みは別として誰でも一見の価値はあると思う。押井作品の第2のピークかもしれない。ちなみに、第48回毎日映画コンクールのアニメーション映画賞を受賞している。(2000/12/06)

押井守
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