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小津安二郎

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大学は出たけれど だいがくはでたけれど
監督 小津安二郎
公開年 1929年
評点[B]
感想
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
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第四集

 今日は、小津安二郎監督の『大学は出たけれど』を観た。昭和四年(1929)の作品。

 時は不景気の真っ只中の昭和初期、、当時は数少なかった大学出のエリートといっても簡単に就職口は見つからなかった。そんな若者の一人である野本徹夫(高田稔)は紹介状を持って会社訪問するが、「受付係しか空きが無い」と言われて憤然として帰る。下宿に戻ると、田舎から母親(鈴木歌子)と許婚(田中絹代)が上京していた。徹夫が故郷への手紙に「就職が決まった」と書いたのを真に受けてしまったのだ。困惑する徹夫。

 小津監督のサイレント期の代表作の一つ。題名は非常に有名で流行語にもなったという。現存するのは15分程度の短縮版なので、よくまとまった小品という印象。田中絹代が本当に若い。まだちょうど二十歳だし。(2001/09/09)

落第はしたけれど らくだいはしたけれど
監督 小津安二郎
公開年 1930年
評点[A’]
感想
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
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第四集

 今日は、小津安二郎監督の『落第はしたけれど』を観た。昭和五年(1930)の作品。

 大学は卒業試験の真っ最中。ある学生(斎藤達雄)は悪友たちと一緒になんとか切り抜けようと大奮闘。しかし、カンニングをやらかそうとした結果は、天罰覿面(てきめん)で……

 小津監督のサイレント中期の一作。小津の戦前のトーキー作まで主演級でよく出演していた斎藤達雄が主演。若い頃のまだヒゲの無い顔も、ひょうきんないい味がある。
 この頃はまだローアングルにはこだわらず自由に撮っていて、自然な映像。サイレントのため俳優のジェスチュアというかパントマイム的な演技が多く、観ていて楽しい。主人公と悪友たちがたびたびチャールストン(?)のステップを踏むのには驚いた。また、小道具を使った細かいギャグも多い。学生たちのマドンナ的存在の喫茶店の店員として田中絹代が出演。若い頃は丸顔でとても可愛い。
 今回観たのはスカパーの衛星劇場で放映された“音声版”と称する、字幕にある台詞だけを俳優(この作品は佐野史郎と風吹ジュン)に淡々と読ませて音楽を加えたもので、全くのサイレントと弁士付きとの中間のようなものだが、かなり観やすかった。(2003/08/12)

淑女と髯 しゅくじょとひげ
監督 小津安二郎
公開年 1931年
評点[A’]
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
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第四集

 今日は、小津安二郎監督の『淑女と髯』を観た。昭和六年(1931)の作品。

 大学の剣道部の主将である岡嶋(岡田時彦)は、ひげぼうぼうの猛者。本人はひげを気に入っているが、そのせいで友人(月田一郎)の妹やその女友達には嫌われ、就職試験にも合格しない。ついに、ふとしたことで知り合った女性(川崎弘子)の薦めで剃り落とすことを決心する。

 小津監督のサイレント時代中期の作品。同年の『東京の合唱』と同じく岡田時彦の主演で、サイレント時代の小津作品に多い学生もの。
 ひげの有無で容姿がガラッと変わるというのはシンプルな発想のようだが、いざ映像にして見せられると意外と面白い。それに、岡田時彦は喜劇の演技が実に上手い。特に友人宅で見せるヘンテコな剣舞が面白い。パントマイム的なギャグが出来る二枚目で、サイレント期の名優といって良いかもしれない。小津監督が夭折を惜しんだのもわかる。
 岡嶋がひげを剃ってからちょっと長く終盤に少しシリアス風味が入るので、最後までコメディで通しても良かったかな……とも思うが、あの終盤があるから余計に心に残るのかもしれない。小津サイレント作の佳作の一つ。(2003/10/27)

東京の合唱 とうきょうのこおらす
監督 小津安二郎
公開年 1931年
評点[A’]
感想
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
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第四集

 今日は、小津安二郎監督の監督の『東京の合唱(コーラス)』を観たと記憶しています…(←なんちゅう言い回しぢゃ)。昭和六年(1931)の作品だから、ホント昭和初期って感じだな〜。

 松竹版なので全くの無音なのがチト残念。『生れては〜』よりも映像の状態は良くなかった。でも、観るのに努力がいるほどではない。
 冒頭はスラップスティック風のギャグがあったりして、だんだんシリアスになるがユーモアの要素を忘れないのが良いと思った。題名のコーラスって、そういうことだったのか!(謎)
 しかし、長女役が高峰秀子なのか…。(2000/04/17)

生れてはみたけれど うまれてはみたけれど
監督 小津安二郎
公開年 1932年
評点[A]
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
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第四集

 今日は、小津安二郎監督の『生れてはみたけれど』を観たっす。昭和七年(1932)の作品で無声映画。

 サイレントで松竹版のビデオは活弁どころか音楽すら入っていなかったので、観慣れていない私は正直言って最初の方は乗れなかったけど、子供たちが友人の家の映画上映会に行くあたりから、俄然テンポが良くなってきて、最後の方は観入ってしまった。職人芸ですな、どうも。でも、音楽くらい欲しいなぁ。弁士入りというのはアポロンから出ているのかな?

 小津はガキの小憎らしさを上手く使う。『東京物語』や『晩春』でも子供のあまりにも率直で可愛いげのない部分が活かされていた。生涯独身で子供を成さなかったからこそ、子供のそういう部分が見えたのだろうか。(2000/04/14)

青春の夢いまいづこ せいしゅんのゆめいまいずこ
監督 小津安二郎
公開年 1932年
評点[B]
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
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第四集

 今日は、小津安二郎監督の『青春の夢いまいづこ』を観た。昭和七年(1932)の作品。

 学生の堀野哲夫(江川宇礼雄)と斎木太一郎(斎藤達雄)、熊田(大山健二)と島崎(笠智衆)たち4人は皆、大学近くのベーカリーの看板娘お繁(田中絹代)のことが好きだった。彼らは試験でカンニングしたりしながらのんきな学生生活を送っていたが、それからわずか数年のうちに堀野は若社長、あとの3人は社員と立場を分けることになり……。

 サイレント時代の小津に多かったカレッジもので、戦後も長く組んだ野田高梧の原作・脚本。
 前半の学生たちの珍妙な応援団の練習風景や試験のカンニングなどコミカルな展開は
小津お得意……のはずだが、この作品はちょっとテンポがゆっくりしすぎているかな?  全体にリズムが今ひとつに感じられて、特にサイレント慣れしていない人はちょっと退屈するかも。観た後に知ったのだが、『また逢ふ日まで』という作品(現存せず)の撮影予算が大幅に超過してしまったため『青春の夢〜』は急遽撮られた作品らしい。その制約が影響しているのだろうか。
 ただし、まだ22〜23歳で可愛い田中絹代やしょぼくれた雰囲気の斎藤達雄など俳優陣はさすがに魅力的だ。中でも前髪を垂らした若き日の笠智衆は二枚目といっていいくらいハンサムだった。(2006/03/19)

非常線の女 ひじょうせんのおんな
監督 小津安二郎
公開年 1933年
評点[A’]
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
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第四集

 今日は、小津安二郎監督の『非常線の女』を観た。昭和八年(1933)の作品。

 社長の息子(南條康雄)に求婚されている可憐なタイピスト時子(田中絹代)。しかし彼女は、付近の与太者のボス襄二(岡譲二)の情婦という裏の顔も持っていた。元ボクサーの襄二に憧れて若い宏(三井秀夫)が子分になり、弟を心配して宏の姉・和子(水久保澄子)が会いに来たことから時子と襄二の関係はきしみ始め……。

 小津監督のサイレント作で、原案はゼームス・槇(小津の筆名)のオリジナル(脚本:池田忠雄)。モダン趣味が強い小津の戦前作の中でも、徹底して洋風の雰囲気に貫かれた異色の一本。
 舞台設定はよくわからないが(銀座・有楽町か横浜?)、襄二と時子の住まいが洋風アパートなのは良いとして、学生である宏と姉の和子の家までアパート。主な舞台のボクシングジムや時子の会社も大変モダンな作り。ただし、登場人物の行動原理は日本人的なのだが。
 まだ少女のような田中絹代がモダンなドレスやコートを着、後半ではアクション(というと大げさだが)を演ずるのも彼女の柄に合っていないので、「ギャングごっこ」なんて酷評を見かけたこともある(笑)。そこまで酷いとは思わないが……。一方、ソフト帽と背広で決めた岡譲二の雰囲気はまずまず。
 映像面は、規則的に並んだ静物を映したり一度に登場した複数の人物が同じ動作をしたり小津の個性を強く感じさせる一方、追って来る警官を影で表現するなど洋画の影響を強く受けた表現もある。
 特筆すべきはフィルムの保存状態の良さ。当時のレンズや照明のために被写体深度が浅い条件下で、一つ一つのカットにおいて主題となるものにはピタリとピントが合い、その他のものはソフトにうっすらぼやける映像になる茂原英朗キャメラマンの技巧を楽しめる。また、各カットが一枚の写真として成立するような構図で、静的な美しさのある映像になっている。

 小津監督は、この作品を当時の日本ではなく近未来(当時から見て)あるいは架空の街を舞台とした一種のファンタジー作品として作ったのかもしれない。そのくらいの洒落っ気はあった人だろう。
 名作や傑作と言えるかどうかわからないが、美しい映像と当時の日本人が現在でも無いような洋風な空間で行動している奇妙な感覚も味わえるユニークな一本。(2004/12/25)

出来ごころ できごころ
監督 小津安二郎
公開年 1933年
評点[B]
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小津安二郎 DVD-BOX 第三集
小津安二郎
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第三集

 今日は、小津安二郎監督の『出来ごころ』を観た。昭和八年(1933)の作品。

 下町に住む喜八(坂本武)は息子の富夫(突貫小僧)と長屋で二人暮らし。同じ長屋に住む工場の同僚の次郎(大日向傳)や近所で食堂を営む“かあやん”(飯田蝶子)とは家族同然だ。喜八は、ふとしたことから助けてやった春江(伏見信子)という若い女に年甲斐もなく夢中になってしまうが、彼女は次郎のことが好きになり……。

 小津監督の人情ものシリーズ“喜八もの”のハシリの作品。それまでの学生や会社員の生活を舞台にした作品から、下町の長屋に場所を移している。
 前半、春江にちょっかいだす喜八はデレデレしていて、人情話というよりもちょっとセクハラっぽい感じさえしたが、春江の心が自分にないことを知る中盤以降は、雰囲気が出てくる。
 息子の富夫という役名は突貫小僧の本名(青木富夫)から。次郎役のヒゲを生やした大日向傳は苦みばしっていてカッコイイ。(2002/04/22)

浮草物語 うきくさものがたり
監督 小津安二郎
公開年 1934年
評点[A’]
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小津安二郎 DVD-BOX 第三集
小津安二郎
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第三集

 今日は、小津安二郎監督の『浮草物語』を観た。昭和九年(1934)の作品。

 喜八(坂本武)率いる旅回りの劇団“市川喜八一座”が信州の町にやってきた。彼は、なぜかある小料理屋にしげしげと通った、実は、そこの息子の信吉(三井秀男)は店の“かあやん”(飯田蝶子)と喜八との間の子だったのだ。喜八の今の女房で、一座の看板女優の おたか(八雲理恵子)は、それに感づいてしまう。

 小津監督のサイレント作の中でも完成度が高く、昭和三十四年に『浮草』としてリメイクされた。このオリジナルの『浮草物語』の方が完成度が高い、とする説もあるが、個人的には『浮草』の中村鴈治郎と京マチ子の迫力や、宮川一夫撮影の鮮やかなカラー映像が忘れがたい。しかし、主人公が通う小料理屋の親子は、飯田蝶子と三井秀男の方が『浮草』の杉村春子と川口浩よりも朴訥な感じがして良かったと思う。(2001/09/17)

一人息子 ひとりむすこ
監督 小津安二郎
公開年 1936年
評点[A’]
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小津安二郎 DVD-BOX 第三集
小津安二郎
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第三集

 今日は、小津安二郎監督の『一人息子』を観た。昭和十一年(1936)の作品。

 信州の田舎に住む野々宮つね(飯田蝶子)は、製糸工場で働きながら女手一つで息子の良助(葉山正雄)を育てていた。つねは、良助が中学へ進学したがっていることに当惑するが、その希望をかなえてやる。十数年後、つねが成長した良助(日守新一)に会うため上京すると、そこには苦い現実が待っていた。

 かなり遅くまでサイレントを通していた小津監督の初トーキー作品。映像表現の面では、早くも小津作品の原型ができている。内容的には、『生れてはみたけれど』などの流れを汲んだ社会派的なもの。ただし、のちの家庭を扱った作品の萌芽も感じさせる。
 田舎から親が上京し子供に会って現実を知る、というストーリーは『東京物語』の祖型と見なすことができる。『一人息子』は時期が早いだけにメッセージ性がかなり直截的に表現されていて、息子は親に対して済まなそうにしているし、母親は失望をあらわにする。17年後の『東京物語』では、東京の子供たちは親に対して済まないという気は全く無いし、親の思いも失望から諦観になっている。
 戦前の不景気の時代を描いた『大学は出たけれど』の後日談的なシビアな話で、今の人が観ると身につまされるかもしれない。
 保存状態は映像は意外と良いが、音声がイマイチなのは残念。ちなみに、笠智衆が良助の恩師役として初めて老け役を演じている。(2002/01/20)

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