Return to監督別邦画備忘録Top pageHOME PAGE
佐伯清
幸運の仲間 こううんのなかま
監督 佐伯清
公開年 1946年
評点[C]
感想  今日は、エノケン&シミキン主演の『幸運の仲間』を観た。監督は佐伯清で、昭和二十一年(1946)の作品。

 失業中の啓一(榎本健一)と勘太(清水金一)の二人はおっちょこちょいの臆病者。幼なじみの食堂カロリー軒の娘お新(山根寿子)が励ますが、何をやっても長続きしない。そんな二人の前に謎の娘・幸子(池眞理子)が現れると、二人は俄然はりきりだすが……。

 浅草オペラ出身の喜劇役者である榎本健一と清水金一が顔合わせした作品。
 終戦の翌年の作品で、序盤に民主選挙をPRするようなエピソードがあり、それに加えて全体のテーマは失業者あふれる中で仕事を選ばず働こうという勤労のメッセージのようだ。ただし、喜劇仕立てなので序盤の選挙のエピソードを除けばお説教臭さは薄い。
 しかし、二人が見せるギャグはサイレント時代のスラップスティック調でいかにも古くてテンポも悪く、会話もあまり面白くない。二人と女性二人の関係もお定まりの人情噺風。脚本(山下与志一)と演出の双方に責任があると思う。大物喜劇俳優の二人が主人公なので、対等に描くため気を使いすぎたのかな。
 中盤に二人が歌う民謡メドレーは芸達者さの片鱗を見せてくれる。序盤の選挙エピソードで候補者として高勢実乗が登場するのが戦後映画としては珍しかった。いつもの持ちネタ「アーノネ、オッサン、ワシャカナワンヨ」に似た台詞も言う。(2005/11/14)

銭形平次捕物控 平次八百八町 ぜにがたへいじとりものひかえへいじはっぴゃくやちょう
監督 佐伯清
公開年 1949年
評点[C]
感想  今日は、長谷川一夫主演の『銭形平次 平次八百八町』を観た。監督は佐伯清で、昭和二十四年(1949)の作品。

 江戸の市中に幻組と名乗る盗賊団が暗躍。岡っ引の銭形平次(長谷川一夫)は、ある発句の会で作られる意味不明な句が幻組の押し込み先に関わりがあると気づく。発句の宗匠・雨月庵宗磧(柳永二郎)の周りには、怪しげな下男(伊藤雄之助)もいて……。

 戦前から映画化されてきた野村胡堂原作の『銭形平次』の、長谷川一夫の主演による第一作(脚本:佐伯清・冬島泰三)。記念すべき(?)第一作だが、謎解きもアクションもまだ洗練されていないというか様式が確立されていない感じ。この作品の謎解きのヒントは文字なので、小説で読んで面白くても映画向きではなかったのかもしれない。この頃の長谷川一夫はまだ細くてカッコイイが。
 平次の子分のガラッ八役に花菱アチャコ。弟分の猪之助に黒川弥太郎。平次の恋人(のちに女房)のお静に花井蘭子。(2003/07/13)

加賀騒動 かがそうどう
監督 佐伯清
公開年 1953年
評点[A’]
感想  今日は、佐伯清監督の『加賀騒動』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 加賀前田家の家臣・大槻伝蔵(大友柳太朗)は茶坊主あがりの軽輩だったが、江戸の大火事の夜に加賀火消しと定火消し(旗本火消し)・町火消しの三つ巴の争いを鎮めたことから藩主・前田吉徳(三島雅夫)の目にとまり、好いていた商家の娘お貞(東恵美子)を藩主のそばに上がらせたこともあって、一気に栄達を始める。しかし、家老・本田安房守(薄田研二)らごくわずかな理解者を除いて、国家老・前田土佐守(千田是也)や元上司の奥村長左衛門(加藤嘉)など、家中のほとんどは大槻を白眼視した。

 原作は村上元三(脚本:橋本忍)。歌舞伎や講談などで有名な“加賀騒動”を映画化。この作品では、芝居などでは悪役とされる大槻を、前田家中の勢力争いの犠牲となった悲劇の主人公として描いている。
 娯楽性を配慮したのか映画の時間の都合か、大槻が主導した加賀前田家の内政改革などにはほとんど触れられず、加賀騒動の要素を全て男女関係に還元してしまっているのは少々物足りない。ただし、大友柳太朗は出世の鬼と化した男の孤独を表現していたし、大友に好意的な側の本田安房守や元同輩の山村善右衛門(東野英治郎)・中間の又介(稲葉義男)らが丹念に描き込まれていて印象的。また、終盤の立ち回りの執拗な描写とラストシーンが良いので、全体として佳作という印象。
 映像的には、三木滋人の撮影によるソフトな白黒画面が美しく、説明的というか、状況を映像で説明する絵作りが上手い。(2002/12/31)

羅生門の妖鬼 らしょうもんのようき
監督 佐伯清
公開年 1956年
評点[C]
感想  今日は、中村錦之助主演の『羅生門の妖鬼』を観た。監督は佐伯清で、昭和三十一年(1956)の作品。

 平安時代の京。源頼光(中村時蔵)に父を討たれ、復讐のため妖術を学び妖鬼と化した平三郎敦時(中村錦之助、のち萬屋錦之介)と、頼光四天王と称される渡辺綱(東千代之介)・坂田金時(伏見扇太郎)・碓井貞光(原健策)・卜部季武(中野雅晴)たちとの戦い。

 中村錦之助初期の主演作で、妖術で変化(へんげ)するため一人で計四役を演じている。中では、若い女性姿は錦之助本人がまだ若く、歌舞伎時代は女形の修行もしていたため、かなり綺麗だった。
 物語が歌舞伎の定番ネタのためか、演技や立ち回りがかなり様式的。特に立ち回り部分は今の目で見るとちょっとキツイかも。敦時が蜘蛛の糸で頼光や綱を苦しめる部分は、映画にしてしまうと……。
 盗賊の袴垂保輔を演じた月形龍之介が、ユーモラスな雰囲気をかもし出していて意外に良かった。(2003/03/19)

昭和残侠伝 しょうわざんきょうでん
監督 佐伯清
公開年 1965年
評点[B]
感想
Amazon
昭和残侠伝
昭和残侠伝

 高倉健主演の『昭和残侠伝』を観た。昭和四十年(1960)の作品。監督は佐伯清。

 時は終戦直後の昭和二十一年。浅草で代々続いてきたテキ屋の神津組は、新興の愚連隊に押されていた。神津組の親分が暗殺された直後、寺島清次(高倉健)が戦地から復員し、跡目を継ぐ。その後も嫌がらせは止まず、ついに寺島は…。客人の風間重吉(池部良)が、主人公に共感して加勢する。

 任侠映画のハシリで、長く続くシリーズ物となる。今まで任侠ものは敬遠していたのだが、この作品には映像美があると思った。キチッとフレームにはめこまれた古典的な絵作りだけれども、安定している。ストーリーも、今から観るとお約束の世界。でも、様式美だと考えれば良いだろうか。
 役者の演技も型を感じさせるけれども、それなりの美しさがある。高倉健と池部良は、さすがに魅力的。二人のカラミのシーンなど、男の色気がある(笑)。松方弘樹と梅宮辰男が神津組の若い衆役で出演していて…両人とも若い!主人公と恋仲だったが戦時中に他の男と結婚してしまっていたヒロイン役に三田佳子。
 余談ながら、既に80代半ばを過ぎている佐伯監督は、先日(2000/11/26)、NHKの『日本人を描き続けた男〜映画作家 伊丹万作〜』という番組にゲストとして元気な姿を見せていた。(2000/12/08)

佐伯清
掲示板 Return to監督別邦画備忘録Top pageHOME PAGE