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佐々木康

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進軍の歌 しんぐんのうた
監督 佐々木康
公開年 1937年
評点[D]
感想  今日は、佐々木康監督の『進軍の歌』を観た。昭和十二年(1937)の作品。

 大陸で戦火が広がり、労働争議を起こして警察の留置場に拘留されていた安藤俊作(佐分利信)のもとにも召集令状が届き、警察署長(奈良真養)は励ましの言葉をかけて釈放した。幼なじみであるが社長の息子でもある遠山次郎(広瀬徹)へのわだかまりは溶けないが、俊作はお国のために戦うことを決意して出征する。

 東京日日新聞と大阪毎日新聞(双方とも現在の毎日新聞の前身)が公募した戦意高揚歌の第一席に選ばれた『進軍の歌』を宣伝するために作られた作品(原作:岩崎栄/脚本:斎藤良輔)で、50分弱の短編。
 労働争議の首謀者が召集令状を受け取ったとたんに改心してお国のために働こう、となる冒頭から始まって、登場人物は芸者(桑野通子)から置屋の主人(河村黎吉)に至るまで皆が皆、お国のためを思う真面目人間ばかり。
 全キャラクターが嘘臭くて偽善的なのは支那事変(日中戦争)勃発直後の宣伝映画だから、一歩譲って仕方がないとしても、他に見所があるかというと特にない。戦闘シーンも、夜襲をかけられた日本軍が逆襲すると、いつの間にか支那軍(中国国民党軍)の背後に回りこんで棒立ちの敵を斬り殺すというコントみたいな展開があったりしてリアリティゼロ。
 さすがの戦前好きの私(笑)でもほとんど長所を見出せない一本。監督以下のスタッフも出演者も、戦後は特になかったことにしたかった作品だったと思う。(2005/11/19)

風の女王 かぜのじょおう
監督 佐々木康
公開年 1938年
評点[C]
感想  今日は、佐々木康監督の『風の女王』を観た。昭和十三年(1938)の作品。

 英文タイピストの松永由紀子(三宅邦子)は、専務の福井五郎(佐野周二)に洋行しないかと声をかけられる。しかし同僚の三瀬良介(笠智衆)から福井の悪い噂を聞いていた由紀子は断ってしまう。それを知った由紀子の妹(高杉早苗)は勝手に福井に姉の洋行を頼みに行き、さらに福井に対して好意を抱いてしまうが……。

 片岡鉄平の雑誌連載小説の映画化(脚本:野田高梧)。
 高杉早苗がいつもの自由奔放な娘を演じているが、この作品では自由奔放以上のエキセントリックな感さえある。笠智衆が二枚目役、それも色悪とでも言うのか、プレイボーイ的な役を演じていたので驚かされた。笠智衆は一般的に小津映画と戦後の『寅さん』の御前様のイメージがあまりに強いが、実はかなり役の幅が広い。
 この作品は登場人物が私利私欲で動いている人間が多く、それ以外の役もうじうじして共感できない。原作からそうなのだと思うが、映画は展開が駆け足で登場人物が終始しゃべくっている印象があり、嫌な感じが増幅されているような気がする。今観られるプリントは1時間5分ほどしかないが、もしかしたら再編集されているのだろうか。
 ただし、プリントの状態は戦前の松竹作品としてはかなり良く、音声も聞きづらくなかった。撮影自体もまずまず良く(撮影:野村昊)、序盤のスキーの場面は松竹映画には珍しい雄大さを感じさせた。その他、スケート場のシーンがあったりして、都会に住んでいるごく一部の人間たちに限るとはいえ、戦前からスキー・スケートが娯楽だったことがわかる資料的価値もあるかもしれない。(2005/11/25)

女性の戦ひ(女性の戰ひ/女性の戦い) じょせいのたたかい
監督 佐々木康
公開年 1939年
評点[C]
感想  今日は、佐々木康監督の『女性の戦ひ』を観た。昭和十四年(1939)の作品。

 伊勢丹デパートで働いている田澤なほみ(川崎弘子)は映画会社重役の秋田子爵(上原謙)から女優になるようスカウトされたが、強く固持した。そのころ彼女の養父が亡くなり、死際に実の父親が高い身分の人であることを聞かされる。

 菊池寛の『婦人倶楽部』連載原作の映画化(脚本:斎藤良輔)。菊池寛原作で斎藤良輔脚本と来れば、松竹の定番メロドラマの世界が展開される。
 主演の川崎弘子はおとなしそうな雰囲気の美しさが役にハマっているが、現代の目で見ると『女性の戦ひ』と言えるほど戦っているかどうか疑問に思うくらいひたすら耐えるばかりの展開が続き、いささか退屈する。運命の荒波に耐える女性の古風な美しさ、というものは描かれているが。昭和十年代にしても、受身過ぎるのでは。
 川崎弘子には内面の強さを見せてもらいたかったし、脚本・演出にも工夫が欲しい。主人公の葛藤がもっと表現されていれば、彼女が最後に取った行為に対する感動ももっと増すのではないだろうか。また、主人公以外のキャラクター造形も映像も平凡。
 ただ、当時のデパートガール(作中では“ショップガール”と呼称)の仕事風景が見られたのが面白かった。しかし、楽しい職場としては描かれていないのに、伊勢丹もよく名を使うことを許したなぁ。テレビのない当時、映画に登場することの宣伝効果の方が上だと判断したのだろうか。(2005/02/14)

懐しのブルース なつかしのぶるうす
監督 佐々木康
公開年 1948年
評点[C]
感想  今日は、高峰三枝子と上原謙主演の『懐しのブルース』を観た。昭和二十三年(1948)の作品で、監督は佐々木康。

 戦後、没落した華族・立松通房(小沢栄太郎)の長女・典子(高峰三枝子)は生活費と結核療養所に入っている妹(真船圭子)の医療費を稼ぐため、キャバレーのホールで歌うことにした。そんな彼女は、いつも孤独にキャバレーの席に座っていた脇村(上原謙)に声をかけられる。二人は惹かれあうが、脇村には……。

 戦前からの美男美女俳優のコンビによるメロドラマ。戦前からの“流行歌シリーズ”の復活版だともいう。主題歌と劇中の歌は高峰三枝子本人が歌っている。
 確かに主演の二人は美しいが、ストーリーはメロドラマの典型で、今から観ると目新しいものは全く無い。しかし、戦後間もない時期にはそれが求められたのだろうし、没落華族という設定も、同時代的にはリアルだったのかもしれない。(2002/08/18)

おしどり囃子 おしどりばやし
監督 佐々木康
公開年 1956年
評点[B]
感想  で、今日は大川橋蔵と美空ひばり主演の『おしどり囃子』を観た。監督は佐々木康で、昭和三十一年(1956)の作品。

 問題を起こして師匠に破門され旅に出た宮神楽師の菊次(大川橋蔵)は、近所の料亭の一人娘おたね(美空ひばり)と喧嘩友達のような仲で、旗本・能見三之丞(明石潮)の庶子だった。おたねは、菊次の実父が詰め腹を切らされたことを知ると、菊次に知らせるため自分も旅立った。

 原作は村上元三(脚本:八尋不二)。橋蔵&ひばりコンビの時代劇映画の一作。筋は仇討ち話で、完全に先が読める……というか、お約束のストーリーの上に乗っかって安心してアイドル俳優&歌手を観るための作品だと思うが、途中からロードムービー風になるのはちょっと面白い。(2002/12/12)

水戸黄門 みとこうもん
監督 佐々木康
公開年 1957年
評点[C]
感想  今日は、NHK衛星で放映された佐々木康監督『水戸黄門』を観た。昭和三十二年(1957)年の作品。月形龍之介主演。
 越後松平家のお家騒動、越後騒動を水戸黄門が裁く。この話では将軍の綱吉が名君になっているから面白い。片岡千恵蔵なのでバカ殿にするわけにはいかなかったんだな(笑)。その他、市川右太衛門・大河内傳次郎・大川橋蔵・中村(萬屋)錦之助・東千代之介…の超豪華キャスト。(2000/07/27)

新選組 しんせんぐみ
監督 佐々木康
公開年 1958年
評点[B]
感想  昨日は、佐々木康監督の『新選組』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 京を警護する新選組は、近藤勇(片岡千恵蔵)や土方歳三(山形勲)に従うことを是としない関兵庫(月形龍之介)一派が分離しようとして揺れていた。一方、勤皇方は月形半平太(大友柳太朗)や鞍馬天狗(東千代之介)が奔走して薩摩・長州・土佐を糾合しようと図っていたが、勤皇方の過激派と関兵庫らは京の町で騒擾を起こす計画のため、池田屋に集まった。

 池田屋事件までを中心としたオリジナルストーリー(脚本:高岩肇)で、かなりフィクションの色が強い。月形半平太と鞍馬天狗が堂々とストーリーに絡んでいて、盟友同士というのは凄い。関兵庫というのは伊東甲子太郎にあたるのだろうか。
 粗筋は荒唐無稽に近いが、日本の将来を憂いていることでは勤皇派と志を同じくすることから自らの仕事に疑問をもっている近藤勇の内面が比較的よく描かれているので、そのあたりをもう少し掘り下げてほしかったような気がする。月形半平太や鞍馬天狗が出てくるのは、ちょっと散漫になってしまったような。千恵蔵の物静かな近藤像はなかなかだった(カラーで観ると近藤勇にしてはちょっと老けすぎで重々しすぎる台詞回しも気になったが)。山形勲の土方は、色男で策士タイプという土方歳三のイメージからすると、ちょっと豪快さんすぎるような。
 三木滋人のカラー撮影で保存状態も良く映像は美しい。(2004/01/25)

旗本退屈男 謎の大文字 はたもとたいくつおとこなぞのおおもじ
監督 佐々木康
公開年 1959年
評点[B]
感想  今日は、市川右太衛門の『旗本退屈男 謎の大文字』を観た。監督は佐々木康で、昭和三十四年(1959)の作品。

 京都に旅して、珍しく腰を落ち着けている旗本退屈男こと早乙女主水之介(市川右太衛門)。そこで偶然、女の二人連れを助けるが、それは薩摩島津家の姫(丘さとみ)と腰元(長谷川裕見子)だった。主水之介は、島津家を利用しようとする京都所司代(山形勲)たちの陰謀を知る。

 『退屈男』シリーズの一作。退屈男がキンキラの着物を何度もお色直しで着替えて、女性キャラにモテモテ王国状態なのはいつもどおりだが、この作品は冒頭のシーンが素晴らしい。京都の大きな寺の本堂に女二人が逃げこむ。それを追ってくる侍たち。そこに高らかな笑い声が響くと、仏像の台座のあたりから豪奢な着物を身にまとった退屈男が出てきて…まるで、右太衛門が仏そのものであるかのような神々しさ(笑)。それと、ラスト近くに退屈男が再び意外なところから出てくるのも面白い。
 終盤のチャンバラも、大人数なので迫力がある。(2002/01/18)

ひばり十八番 弁天小僧 ひばりじゅうはちばんべんてんこぞう
監督 佐々木康
公開年 1960年
評点[B]
感想
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ひばり十八番 弁天小僧
ひばり十八番
弁天小僧

 今日は、『ひばり十八番 弁天小僧』を観た。昭和三十五年(1960)の作品で、監督は佐々木康。

 寺小姓だった美少年・菊之助(美空ひばり)は、因業和尚の言うことを聞かなかったために人殺しの汚名を着せられ、実の母親にも裏切られる。彼は“弁天小僧”と名を改め、白浪五人男の一人の義賊となる。

 美空ひばり主演の歌謡時代劇の一作。歌舞伎の弁天小僧をかなり忠実に映画化しているようだ。ひばりちゃんの立ち回りもたっぷりで、人を斬りまくり(笑)。ただし、小柄なので男を素手でぶっ飛ばしちゃうのは無理がある。でも、中性的な顔立ちなので、美少年と称するのは変というほどでもないかも。
 他の白浪五人男に、山形勲・里見浩太郎・若山富三郎など。(2001/06/23)

旗本退屈男 謎の幽霊島 はたもとたいくつおとこなぞのゆうれいじま
監督 佐々木康
公開年 1960年
評点[B]
感想  今日は、佐々木康監督の『旗本退屈男 謎の幽霊島』を観た。昭和三十五年(1960)の作品。主演はもちろん御大・市川右太衛門。

 旗本退屈男こと早乙女モンド之介…もとい、主水之介(市川右太衛門)は、九州の島津・細川・鍋島の三大名家が良からぬことを企んでいるのを察知し、長崎へ向かう。出島へ乗り込んでの大立ち回り。

 なんだか、もう凄い作品。出島の“紅龍館”ではカクテル光線の下、SKD(松竹歌劇団)のレビューが繰り広げられ、悪の大ボス(例によって月形龍之介)以下、悪人たちが楽しんでいると、ステージに引き出される巨大な金色に光る玉。「うわははははは!」と場を圧する笑い声が響くと玉がパカッと割れて、颯爽と現れる彼の勇姿!正気?!(爆)
 いやぁ、面白いと問われれば、ある意味非常に面白い。退屈男サマは昔なじみの女(花柳小菊)や、お色気過剰の女スリ(木暮実千代)に囲まれて、モテモテ王国状態。主水之介が助ける若侍として北大路欣也が出演。若い…。(2001/01/28)

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佐々木康
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