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沢島忠
江戸の名物男 一心太助 えどのめいぶつおとこいっしんたすけ
監督 沢島忠
公開年 1958年
評点[A’]
感想  今日は、中村錦之助主演の『江戸の名物男 一心太助』を観た。監督は沢島忠で、昭和三十三年(1958)の作品。

 三代将軍家光(中村錦之助、のち萬屋錦之介)の行列を乱した母子をかばった一心太助(錦之助の二役)。大久保彦左衛門(月形龍之介)が機転で彼を助け、二人は親分子分の関係になる。それ以来太助は一人前の男になるため、彦左衛門は旗本の意地を通すため、老中・松平伊豆守(山形勲)らの渋面をよそに暴れまわる。

 講談ネタでおなじみの一心太助の物語の映画化(脚本:田辺虎男)。前半から中盤にかけては、定番エピソードを順番に並べたような雰囲気で、ちょっとテンポに欠ける。しかし、彦左衛門と家光の話が中心になる後半からは流れが変わり、将軍と臣下というよりも父と子のような二人の関係と、彦左衛門の真意を訴える太助の姿に感動させられた。目一杯な演技に好みが分かれるところがあるかもしれないが、錦之助が懸命に訴える姿は実に良かった。
 オチはなんだか中途半端な感があるが、後に続編が控えているシリーズ作品のためらしい。(2003/04/16)

殿さま弥次喜多 怪談道中 とのさまやじきたかいだんどうちゅう
監督 沢島忠
公開年 1958年
評点[C]
感想  今日は、沢島忠監督の『殿さま弥次喜多 怪談道中』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 国元へ向かっていた尾張の徳川宗長(中村錦之助、のち萬屋錦之介)と紀州の徳川義忠(中村賀津雄、のち嘉葎雄)の行列に弥次郎兵衛(益田キートン)と喜多八(星十郎)の乗った暴れ馬が乱入。宗長と義忠は弥次喜多を手討ちにする代わりに、入れ替わって町人姿の旅を始めた。しかし、当然珍道中に……

 弥次喜多ものの設定を借りた一作(脚本:小川正)。明朗時代劇が得意な沢島監督らしく、二枚目俳優二人が主人公でもコメディタッチ。
 しかし、ギャグはドタバタ主体で空回り気味に見え、意外に面白くない。怪談と銘うっているのだから、錦之助と賀津雄に派手な悲鳴をあげさせるだけでなく幽霊話の部分をもっとリアルにして観客も怖がらせた方が、よりギャグの部分が面白くなったのではないだろうか。脚本・演出とも今ひとつのような気がする。二人のノリは悪くないので、ちょっともったいない。
 終盤の城を舞台にした殺陣は『死亡遊戯』をちょっとだけ彷彿とさせた。二人(の身代わりの弥次喜多)を暗殺しようとする浪人として田中春夫が出演していて、さすがに存在感がある。(2004/08/27)

一心太助 天下の一大事 いっしんたすけてんかのいちだいじ
監督 沢島忠
公開年 1958年
評点[A’]
感想
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一心太助 天下の一大事
一心太助
天下の一大事

 今日は、中村錦之助主演の『一心太助 天下の一大事』を観た。監督は沢島忠で、昭和三十三年(1958)の作品。

 大久保彦左衛門(月形龍之介)の病が癒えて元気を取り戻した一心太助(中村錦之助、のち萬屋錦之介)は、魚河岸で自殺志願の妙な男・幸吉(田中春夫)と出会い、彼の口から旗本・川勝丹波守(進藤英太郎)らの悪事を知る。

 一心太助もの第二弾。2作目からカラーになり、モブシーンやアクションシーンも増え、全体のテンポが速くなった感じ。1作目がヒットして予算が増えたのだろうか。太助が魚河岸を駆け抜けるところや終盤の神輿(みこし)のシーンは盛り上がる
 この作品は、大久保彦左衛門を慕う太助と家光に加えて、太平の世にあって敢えて毒舌を吐いて憎まれ役を演ずる彦左衛門の心中が前作よりもよく描かれている。月形龍之介の彦左衛門は本当にハマリ役だ。珍しく正義の味方役の山形勲も良い。(2003/04/17)

一心太助 男の中の男一匹 いっしんたすけおとこのなかのおとこいっぴき
監督 沢島忠
公開年 1959年
評点[A’]
感想  今日は、中村錦之助主演の『一心太助 男の中の男一匹』を観た。監督は沢島忠で、昭和三十四年(1959)の作品。

 いよいよ、一心太助(中村錦之助、のち萬屋錦之介)とお仲(中原ひとみ)が婚礼の式を挙げ、晴れて一緒になる。しかし、魚河岸の利権を松前屋(大河内傳次郎)から奪おうとする丹波屋(阿部九洲男)と彼と結託する神尾備前守(進藤英太郎)・神尾主膳(原健策)たちの悪行を知った太助は、落ち着いて新婚生活を送る間もなく、また大活躍する。

 一心太助もの第三作。この作品では冒頭から大立ち回りで、裸で結婚式を挙げてしまう一心太助が面白い。太助はいつもの大活躍だが、登場人物が増えて新婚夫婦のもとに転がり込む居候の男二人やお仲の故郷の幼なじみ二人なんてキャラが出てきたので、ちょっとゴチャゴチャした感じがした。
 しかし、今作は月形龍之介の大久保彦左衛門が特に良い。太助と居候たちや長屋の住人たちが楽しそうに宴会している様子を陰ながら覗き見て、「太助も一人前になった。自分の役目は終わった」というような笑顔を浮かべ(こんな台詞を口に出したわけではない)、黙って去っていく彦左の姿に涙……。それにしても、シリーズ完結作の予定だったそうということだけれども、あんなことになろうとは(実際にはこのあとにも何作か錦之助主演の一心太助ものが作られている)。
 ストーリーは前作と似た、高官の陰謀を太助が暴くというものだが、終盤の盛り上げ方が見事。(2003/04/19)

暴れん坊兄弟 あばれんぼうきょうだい
監督 沢島忠
公開年 1960年
評点[A’]
感想  今日は、 沢島忠監督の『暴れん坊兄弟』を観た。昭和三十五年(1960)の作品。

 大名の江戸屋敷で昼あんどん呼ばわりされている典木泰助(東千代之介)が突然、主君の松平長門守(中村錦之助、のち萬屋錦之介)に国詰めを命ぜられる。国元では「殿様の意を受けた御目付役がやってくる」と、後ろ暗いところのある連中は戦々恐々。さらに、泰助とは正反対のせっかちな粗忽者である弟・泰三(中村賀津雄、のち中村嘉葎雄)も国元へ向かい、大騒ぎになる。

 原作は山本周五郎の『思い違い物語』(脚本:鷹沢和善)。周五郎によくある、お家の改革もの。山本周五郎作品は映画化されているものが多いが、この映画はかなりコメディ色が強くカラッとした演出。
 のんきな兄とせっかちな弟、彼らを見守る家老(進藤英太郎)、兄弟に思いを寄せる家老の娘2人(大川恵子・丘さとみ)、悪役たち(山形勲・原健作など)といった役割がかなりハッキリしていて、劇画的なキャラクターになっている。それだけに登場人物の動きが面白いが、ちょっとステレオタイプすぎるように見えるところもあるかも。国元の人間が泰助の正体を知ったところや、泰助が切れるところは、もうちょっと押さえた演出でも良かったかも。終盤の大立ち回りは、カットのつなぎ方が見事で長さを感じさせない。
 気弱な侍を演じた田中春夫と貴公子然とした錦ちゃんが儲け役。作品に登場する“青年組”は、安保闘争当時の全学連あたりを皮肉ったものだろうか。(2003/03/29)

ひばり・チエミの弥次喜多道中 ひばりちえみのやじきたどうちゅう
監督 沢島忠
公開年 1962年
評点[A’]
感想
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弥次喜多道中
ひばり・チエミの
弥次喜多道中

 今日は、沢島忠監督の『ひばり・チエミの弥次喜多道中』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 華やかな舞台を夢見る芝居小屋の下足番・お君(美空ひばり)&おとし(江利チエミ)は、奈落に落ちて法海坊(東千代之介)・地獄の熊吉(加賀邦男)ら麻薬密売団と鉢合わせして大騒ぎし、一緒に捕われて牢屋にぶち込まれる。お構いなしとなって出獄したが、芝居小屋を首になった上に入牢したことがあるのでは嫁にも行けぬと、男装して旅に出て珍道中を繰り広げる。

 ひばり・チエミコンビの一本で、お正月公開の時代劇ミュージカル映画。それも、芝居の合間に時々歌を唄ったり踊ったりする程度ではなく、全体が音楽的で自然に歌に繋がる作りになっており、時代劇としてはかなり本格的なミュージカル作品になっている。(音楽:米山正夫/脚本:鷹沢和善・高島貞治)
 ひばりとチエミが歌が上手いのはもちろんだが、二人のリズム感の良さにも感心。唄っていないときでも動きがリズミカルで非常にテンポが良い。二人の動きの良さがスピーディーな展開で一層生かされている。演出の歯切れのよさもあるし、群舞やアクションシーンの迫力と楽しさは巧みな撮影と編集のおかげでもあるだろう(撮影:山岸長樹/編集:宮本信太郎)。
 生き生きした若い二人と沢島監督の才気ある演出を楽しめる一本。(2004/12/19)

大江戸評判記 美男の顔役 おおえどひょうばんきびなんのかおやく
監督 沢島忠
公開年 1962年
評点[C]
感想  今日は、沢島忠監督の『大江戸評判記 美男の顔役』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 直次郎(里見浩太朗)は、息子の出世を信じている母おもん(浪花千栄子)が江戸に来るというので困っていた。金子市之丞(大川橋蔵)のアイデアで直次郎が御目付を演じ、市之丞・河内山宗俊(山形勲)・暗闇の丑松(渥美清)らが家臣に扮し、おもんを騙して帰すことにした。幕府の影の実力者である中野碩翁(月形龍之介)の空き屋敷を無断借用していると、なんと碩翁本人がやって来た。

 河内山宗俊ものの人物設定を借りたオリジナル作品(脚本:小国英雄)。題名が示すように、市之丞の大川橋蔵が主役あつかいになっている。
 中盤、月形龍之介の演ずる碩翁が無表情で河内音頭を踊るところはシュールといっていいほど面白く、コメディ作品なのかと思っていたら人情噺の要素も大きく、どっちつかず。また、市之丞を何人もの女が追いかけ回したりして、主人公をむやみにヨイショしすぎ。全てが過剰で“くどい”感じがした。ラストも中途半端。
 時代劇コメディに才を見せた沢島監督作品としては少々期待はずれだったが、脚本からしてイマイチだったか。(2005/03/22)

新選組 しんせんぐみ
監督 沢島忠
公開年 1969年
評点[B]
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新選組
新選組

 三船敏郎主演の『新選組』を観た。監督は沢島忠で、昭和四十四年(1969)の作品。

 上洛する将軍を警護するための浪士隊に応募した近藤勇(三船敏郎)や土方歳三(小林桂樹)たち。剣の力で京の街を支配した全盛期から官軍に敗れるまでの近藤以下新選組の盛衰を描く。

 おなじみ新選組ものの一作。監督は沢島忠だが、東映時代の特色は薄れているように見えた。ただし、その中でも商人の息子の河合喜三郎(中村賀津雄、のち嘉葎雄)の描き方が光っていた。中村賀津雄が東映時代の作品によく出演していたからだろうか。中村錦之助(萬屋錦之介)も有馬藤太役で出演していたが本当に脇役なので、もったいないような気がした。何かメインキャストで登場させたかったような。
 ちょっと平板な中、前半部分で登場していた芹沢鴨役の三國連太郎の存在感が凄い。大きな体格を生かした、見掛け倒しの豪快さんといった感じの薄っぺらい雰囲気が見事。 北大路欣也の沖田総司は強そうで意外と良かったが、その最期の描き方には疑問が残った。(2004/02/17)

沢島忠
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