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鈴木清順(鈴木清太郎)

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勝利をわが手に 港の乾杯(港の乾杯 勝利をわが手に) しょうりをわがてにみなとのかんぱい
監督 鈴木清太郎(清順)
公開年 1956年
評点[C]
感想  今日は、鈴木清太郎(清順)監督の『勝利をわが手に 港の乾杯』を観た。昭和三十一年(1956)の作品。

 木崎伸吉(三島耕)は、ある事件を期に船員を辞めていた。競馬の騎手として活躍中の弟・次郎(牧真介)は競馬場の観客席に現れる謎の美女あさ子(南寿美子)に夢中だったが、彼女には男(芦田伸介)の影があった。

 鈴木清順監督の監督デビュー作で、65分ほどのSP映画(脚本:中川順夫・浦山桐郎)。
 あの清順監督とはいえ、さすがに初めての作品では不慣れな点を隠せなかったのかと思ってしまうほど、ありきたりなストーリーに乗って類型的なキャラクターが平凡な演出で動かされる。ちょっと面白い映像がたまに現れるが(撮影:藤岡粂信)、全体に平板で習作といった感じの作品。
 出演者たちの演技も今ひとつで、主人公の三島耕は華もなくあまり魅力を感じられなかった。“友情出演”の河津清三郎が最後においしいところを持っていく。
 ただし、監督の第二作の『海の純情』はかなり暴走しているので、初回作では猫をかぶって会社側を安心させたのか……と深読みしたくなったりもする。あるいは逆に、一作目が不本意な出来だったので二作目に思い切って自分のやりたいことをぶつけたのだろうか。(2005/04/29)

海の純情 うみのじゅんじょう
監督 鈴木清太郎(清順)
公開年 1956年
評点[A’]
感想  今日は、鈴木清太郎(鈴木清順)監督の『海の純情』を観た。昭和三十一年(1956)の作品。

 捕鯨船の船長で砲手でもある織田栄三(小林重四郎)は腕が衰え、引退を考え始めた。後継者に目されている歌が大好きな若手船員の八郎(春日八郎)を芸者(明美京子)やらバーの女(小田切みき)や水産会社の部長の娘(高友子)が追いかけ回すが、八郎は船長の一人娘(高田敏江)が気になって……。

 鈴木監督のデビュー第2作目の作品で、SPと呼ばれる48分強の短編(脚本:田辺朝巳・真弓典正)。
 春日八郎主演の歌謡映画で、この手の作品では定番のラブストーリーだが、一筋縄で行かない“ひねり”がたっぷりの作品。わざとらしいドタバタギャグが満載で、八郎を追いかける女たちも皆イカレていて、船長の娘もちょっと変。いい雰囲気になったと思ったら間を外す展開になり、“歌謡映画”を茶化しているようだ。オープニングタイトルの部分やラストシーンではアニメ合成まで用いていて、もうやりたい放題って感じ。
 二作目なのに、ストーリーではなく各シーンの面白さを重視する、まさに鈴木清順作品になっている。肌に合わない人にはキツイのかもしれないが、テンポが良くって個人的にはあっという間に終わった作品だった。実際、上映時間は短いが。(2005/03/06)

らぶれたあ らぶれたあ
監督 鈴木清順
公開年 1959年
評点[C]
感想  今日は、鈴木清順監督の『らぶれたあ』を観た。昭和三十四年(1959)の作品。

 クラブでピアノを弾いている梢(筑波久子)は支配人(フランク永井)に求婚されているが、梢には離れ離れでも文通を続けている恋人の正男(待田京介)がいた。しかし、正男の愛情に不安を感じた梢は、彼が病気療養を続けている山の中へ会いに行く。

 二本立て上映の添え物として作られた上映時間40分の短編映画。ただし、登場人物は極端に少ないものの、雪山などでのロケはちゃんとおこなわれているようだ。
 しかし、ベタな恋愛ストーリーに監督が思い入れできなかったのかどうかはわからないが、平板な展開でメインキャストの演技も今ひとつに見えた。フランク永井は別としても、他の二人も……。
 対して、映像の方はモノクロ画面が美しい。意図的に露出過度にしたように見えるのは独特の工夫だろう。まだ奇をてらったような映像は少ないが、ラスト近くは面白い。(2003/03/06)

野獣の青春 やじゅうのせいしゅん
監督 鈴木清順
公開年 1963年
評点[B]
感想
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野獣の青春
野獣の青春

 今日は、鈴木清順監督の『野獣の青春』を観た。昭和三十八年(1963)の作品。

 街に現れた流れ者がチンピラを叩きのめして、一帯を仕切る野元興行の事務所に連れて行かれる。突きつけられた拳銃を瞬く間に奪った男は、水野譲二(宍戸錠)と名乗った。組員として雇われた彼は、野元興行と対立する三光組にも足を運び、スパイとして自分を売り込む。実は、彼には目的があった。

 鈴木清順監督のキャリア前期の作品で、この前作『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』に続く、宍戸錠の主演による大藪春彦原作の映画化(脚本:池田一朗・山崎忠昭)。大藪春彦の初期作はかなり読んだことがあるが、この原作の『人狩り』という作品は読んだか否か記憶にない。読まなかったかなぁ。
 この作品は、まだまともなストーリー展開を追うことができて難解な印象はないが、絵作りに鈴木監督独特の美意識が現れている。序盤はモノクロ画面の中で花だけ赤いパートカラーだし、野元興行の持つクラブは客席と事務所がマジックミラーで仕切られていて事務所から客席が見えるようになっていて、対する三光組の事務所は映画館のスクリーンの裏側にあって壁に映画が写っている。この辺は押井守の実写映画に強い影響を与えているようだ。
 粗筋は黒澤明の『用心棒』っぽいけれども、復讐という要素もからんでいて、オチは結構意外。映倫をはばかってカットしたと言われているが、あっさり終わらせたラストシークエンスも余韻を残して良い。若い頃の宍戸錠は凄みがあっていい感じ。野元組の幹部に金子信夫。最初、金子信夫が組長だと思った。(2003/03/04)

関東無宿 かんとうむしゅく
監督 鈴木清順
公開年 1963年
評点[A’]
感想
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関東無宿
関東無宿

 今日は、鈴木清順監督の『関東無宿』を観た。昭和三十八年(1963)の作品。

 渡世の仁義を通したいと願う博徒の鶴田(小林旭)は、弱腰のくせに金には汚い伊豆親分(殿山泰司)やいい加減な弟分の鉄(野呂圭介)を苦々しく思っていた。ある時、吉田組の子分・冬(平田大三郎)と鉄が女のことでトラブルを起こし、冬の姉(伊藤弘子)がかつて鶴田が心惹かれたイカサマ師だったことを知る。

 原作(平林たい子『地底の歌』)があり、この前に石原裕次郎主演で映画化されていたというが、さてこの作品ではどのくらい原作や前作を踏襲しているのだろうか(脚本:八木保太郎 )。第一、主役さえ変えられているらしい。
 設定と粗筋は任侠ものになるのだろうか。しかし冒頭から女子高生たちの、ざーとらしい会話の演技(わざとらしいのはもちろん意図的な演出だろう)が繰り広げられてビックリする。そのうちの一人が伊豆親分の娘トキ子(松原智恵子)で、その友人である花子(中原早苗)が作品のキーパーソンの一人になるのだが。
 一応ストーリーはあるのだが、プロットの繋ぎ方がはっきりしていなくて、観ている場面が現実なのか空想なのかよくわからなくなり、最後には、これは全て鶴田の妄想か? とも思ってしまった(笑)。しかしながら、この奇妙な感覚は好みの合う人には楽しめるだろう。個人的には嫌いではない。
 時々カラーライトを使ったりするなどカラーを強調した絵作りも面白く、殴りこみの場面では後の『東京流れ者』と同じく天変地異が起こる(撮影:峰重義/美術:木村威夫/照明:三尾三郎)。
 冬の姉の情夫であるイカサマ賭博の名人として伊藤雄之助が登場して、相変わらず強い印象を残す。(2005/01/16)

刺青一代 いれずみいちだい
監督 鈴木清順
公開年 1965年
評点[B]
感想  今日は、鈴木清順監督の『刺青一代』を観た。昭和四十年(1965)の作品。

 口封じのため同じ組の人間に狙われる村上鉄太郎(高橋英樹)は、刺客を返り討ちにして弟の健次(花ノ本寿)と共に逃れる。土木作業員として潜りこんだ飯場で、健次は社長(山内明)の妻(伊藤弘子)にかなわぬ思いを寄せ、鉄太郎は社長の妹(和泉雅子)に惚れられる。そんな二人に忍び寄る暗雲。

 オープニングタイトルは彫り物を背中一面に背負ったお兄さんたちの映像で驚かされるが、冒頭から中盤までは仁侠映画+恋愛映画という感じで進む。二組の男女の恋愛話は、意図的に戯画化されているように見え、なんだか照れというか茶化しているような雰囲気を感じた。和泉雅子は元気があって可愛いが。高橋英樹はヤクザにしては爽やかすぎ? 花ノ本寿は当時新人だったらしいが演技が今ひとつ。兄弟を騙す大陸浪人を演じた小松方正と工事現場の人足頭を演じた高品格はハマってた。
 終盤近くまではダラダラというか淡々と進むが終盤に入って雰囲気一変、天変地異が起こる(笑)。有名な殴りこみのシークエンスは夢の中のような世界が展開する。監督はここだけを撮りたかったのだろうなぁ。(2003/03/06)

河内カルメン こうちかるめん
監督 鈴木清順
公開年 1966年
評点[B]
感想
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河内カルメン
河内カルメン

 今日は、鈴木清順監督の『河内カルメン』を観た。昭和四十一年(1966)の作品。

 河内から大阪に出た美しい娘、武田露子(野川由美子)の半生と彼女の上を通り過ぎた男たち。

 鈴木清順監督作品を初めて観た。筋自体は、さほど目新しいものではないが、さすがこの監督の作品だけあって、場面がぽんぽん展開するので、古い邦画慣れした私は、ついていくのが難しい(笑)。しかし、映像には監督独自の才能を感じさせられた。特に、真横からとらえたようなセット撮影が面白い。
 露子の初恋の相手の“ボン”(坊ちゃん)に和田浩治。彼女の唯一の理解者である男性に川地民夫。(2001/06/06)

東京流れ者 とうきょうながれもの
監督 鈴木清順
公開年 1966年
評点[B]
感想
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東京流れ者
東京流れ者

 今日は、鈴木清順監督の『東京流れ者』を観た。昭和四十一年(1966)の作品。

 “不死鳥の哲”の異名をとっていた本堂哲也(渡哲也)は、組を解散して堅気になった親分の倉田(北竜二)に、いつまでも義理立てしていた。しかし、倉田のビルを狙う大塚(江角英明)との抗争に巻き込まれた哲は、旅に出て山形の庄内や九州の佐世保へ流れていくことになる。

 日活任侠映画(?)路線の一作だが、話がポンポン飛んで脈絡がついてないし、セットは見るからに作り物っぽいし、なんだか不思議な作品。哲が殺し屋の“マムシの辰”(川地民夫)に何度も狙われていながら御都合主義としか言いようのない展開で助かるところや、有名な「流れ者に女は要らねぇ……云々」という迷台詞など、意図的に日活アクション映画や任侠映画一般をパロディ化したようだ。
 しかし、これは映像の美しさと格好良さを徹底的に追及した作品なのだろう。特に、“総天然色映画”であることを利用して、哲が青、大塚が赤、哲の恋人の千春(松原千恵子)が黄色、と各々イメージカラーを設定してあるのが面白い。いまだにフィルムが褪色していないので、鮮やかだ。(2001/06/09)

けんかえれじい けんかえれじい
監督 鈴木清順
公開年 1966年
評点[A’]
感想
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けんかえれじい
けんかえれじい

 今日は、鈴木清順監督の『けんかえれじい』を観た。昭和四十一年(1966)の作品。

 時は昭和十年頃、岡山の中学(旧制)に通う南部麒六(高橋英樹)は、真の硬派を目指してケンカに明け暮れている。下宿の娘の道子(浅野順子)が気になったり、ケンカが元で転校せざるを得なくなったり、波瀾万丈の青春を送る。

 鈴木清順作品だが、脚本が新藤兼人なので、何かに「鈴木清順の作品の中では妙に脚本がしっかりした作品」と書かれていたように、かなりまとまりの良い作品でわかりやすい。後半まではコミカルに、そして終盤にはシリアスタッチに転ずる。だが、違和感は無い。絵的には、前衛的というほど極端なものはなかったが、時々面白い映像があった。主人公のケンカの師“スッポン”役に川津祐介。(2001/06/08)

殺しの烙印 ころしのらくいん
監督 鈴木清順
公開年 1967年
評点[A’]
感想
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殺しの烙印
殺しの烙印

 今日は、鈴木清順監督の『殺しの烙印』を観た。昭和四十二年(1967)の作品

 殺し屋ランキングNo.3の花田(宍戸錠)は組織の依頼で、ある男を護送する。元ランカーの相棒・春日(南廣)は死んだが、花田は仕事をやりとげた。だが、謎の女・美沙子(真理アンヌ)の魅力にとりつかれた花田は自分を見失い、正体不明の伝説の殺し屋No.1に狙われるようになる。

 鈴木清順監督の日活最後の作品(脚本:具流八郎)。この作品のために清順監督は経営陣の怒りを買って日活を追われ、10年の雌伏を余儀なくされたと言われているが……。
 実際観てみると、監督が思いついたケレン味あふれる絵面を繋いでいって作られたような作品で、テンポはバラバラでストーリーの脈絡は不明。粗筋の論理を追っていくと、わけがわからなくなるだろう。しかしながら各シーンを個々に観てみると、非常に奇抜でユーモアを感じさせるところもあって楽しめると思う。『東京流れ者』でも見せていたような清順監督のユーモア、私は嫌いではない。好きでない人は白けるかもしれないが。
 宍戸錠は一人芝居的なシーンが多いが、よく演じきっている。たいした役者だ。真理アンヌも癖のある顔だが(鼻が大きい……)、独特の魅力がある。南原宏治も、怖さとユーモアを感じさせる部分を両立させて好演。
 モノクロ映像は非常にシャープでテクニックも駆使され、監督の意図をよく反映していると思う(撮影:永塚一栄)。

 主人公がタクシーに乗って会話する冒頭部分から、あの押井守監督の『紅い眼鏡』を思い出した。タクシーの他にも“見つめる謎の女”(『紅い眼鏡』では兵藤まこ)などこの作品から強い影響を受けているようだ。
 しかし、同じくわけわからない作品といっても洗練されたものを感じられる『殺しの烙印』と明らかに“安い”作品の『紅い眼鏡』との差は……。演出者の資質の違いか、撮影所子飼いのスタッフ・俳優がいた時代と映画会社の撮影所が崩壊して遥か後の時代との差か……?(2004/12/31)

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鈴木清順(鈴木清太郎)
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