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田坂勝彦
関の弥太ッぺ(関の弥太っぺ) せきのやたっぺ
監督 田坂勝彦
公開年 1953年
評点[B]
感想  今日は、田坂勝彦監督の『関の弥太ッぺ』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 渡世人の関の弥太郎(黒川彌太郎)は、自分が斬った堺の和吉(河野秋武)に彼の娘お小夜(松島トモ子)を託され、和吉の亡妻の実家の旅籠へ預けに行った。弥太郎は渡世の仇である箱田の森介(坂東好太郎)と出会ってしまい、よく説明する暇もなく旅籠から飛び出す。十年を経て、成長したお小夜(山本富士子)が恩人を探している噂を聞いたものの、決して顔を出さぬと誓っていた弥太郎だったが……。

 サイレント時代から幾度も映画化されている長谷川伸の原作による作品(脚本:阿蘇太郎)。この作品は4本目らしい。
 生真面目そうな黒川彌太郎は義理堅い弥太郎に合っているし、子役時代の松島トモ子はやはり芸達者。しかし、それ以外のことは中村錦之助主演の『関の彌太ッぺ』(監督:山下耕作/脚本:成澤昌茂/昭和三十八年)を観た目では違和感というか物足りなく思うことが多かった。
 山下耕作版の方が弥太郎の個人的な事情を詳しく描いているため、弥太郎のお小夜に対する想いの強さが了解しやすいし、弥太郎と森介の関係も山下版の方がすんなり飲み込みやすくなっており、全体に山下版の方が現代人に受け入れやすくなっている印象。終盤の印象も悲劇的な山下版の方が圧倒的に強い。成澤昌茂の脚色と山下監督の演出は実に見事だったとあらためて思った。
 田坂版も突出したところはないものの目立った欠点もないが、全てが水準程度といった感じで、“決定版”的な山下監督版と比較されては分が悪いかも。しかし、田坂版は股旅物らしい旅情では山下監督版より勝っていると思う。また、山下版は演出がウェットすぎるのが欠点といえば欠点で、湿っぽいのが苦手な人には田坂版の方が受け入れやすいかもしれない。(2005/10/30)

花の白虎隊 はなのびゃっこたい
監督 田坂勝彦
公開年 1954年
評点[B]
感想  今日は、市川雷蔵主演の『花の白虎隊』を観た。監督は田坂勝彦で、昭和二十九年(1954)の作品。

 明治元年。徳川側の孤塁を守る会津藩に薩長ほか朝廷側の軍勢が押し寄せてきた。藩校「日新館」の教官・布施(三田隆)は閉校を告げ、そこで学んでいた婚約者のいる篠原準之助(市川雷蔵)・学問好きの池上仙吉(花柳武始)・病の老父と暮らす小林八十次郎(勝新太郎)ら16〜17歳の少年で編成された白虎隊も出陣し、帰ることはなかったのであった。

 のちに大スターとなった市川雷蔵と勝新太郎のデビュー作として有名な作品(脚本:八尋不二)。もう一人、新派の花柳章太郎の次男である花柳武始もデビューして話題となり、役柄やオープニングタイトルの扱いでは勝新より上だったが、花柳の映画出演はこの作品を含めてわずか3本ほどだったらしい。雷蔵たちの演技にはさすがに若さを感じられるが、それがかえって身を捨てて会津に殉ずる若者の哀しさを強調させて効果的かもしれない。
 また、脚本には女子供で泣かそうとするあざとさがあり、盛り上がったところで詩吟や霧島昇の歌を流す演出には疑問が残る(映画会社側の意向だったのかもしれないが)。けれども、最期まで武士として生きる若者たちの美しさには感動させられざるを得ない。やはり題材のおかげということか。(2004/12/05)

田坂勝彦
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