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土本典昭
ある機関助士 あるきかんじょし
監督 土本典昭
公開年 1963年
評点[A]
感想  今日は、 土本典昭監督の『ある機関助士』を観た。昭和三十八年(1963)の作品。

 首都圏では最後に残った幹線の蒸気機関車運行区間である常磐線を走る急行「みちのく」。その上野〜水戸の区間に乗車する機関助士の視点で、列車の運行と機関士・機関助士の仕事を描く。

 鉄道ドキュメンタリーの古典。ダイヤの正確さと安全とを両立させようとする乗務員の努力を、文字通り密着したカメラでとらえきっている。ナレーションの「私たちの仕事には機械だけには頼れない何かがあるのです」や、実際の会話「はい、て〜じ!」「定時ですね?」は感動的。
 蒸気機関車の運転席に計器類は少ないが、バルブ類がたくさんあって、絶えず調節しなければならないようだ。機関助士は機関士の指示に従い、自分の五感を働かせてバルブをひねり、石炭を投入し、灰をかく。現在のように携帯電話でメールをする暇などあるはずが無い。
 驀進するC62の姿や機関助士が学んだ“中央鉄道学院”での事故を仮想した訓練(信号雷管というものは今でもあるのだろうか)も見ものだが、全体に溢れる“昭和”の雰囲気がたまらない。もちろん私は蒸気機関車に乗った世代ではないが、私が記憶する国鉄時代の駅は、黒と灰色と茶色の世界だった。
 鉄道ファン以外にも、“昭和”を記憶する世代の人にはお勧めの一本。もう涙もの(笑)。(2004/01/02)

土本典昭
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