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藪下泰司
安寿と厨子王丸 あんじゅとずしおうまる
監督 藪下泰司・芹川有吾
公開年 1961年
評点[A’]
感想
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安寿と厨子王丸
安寿と厨子王丸

 今日は、アニメ映画『安寿と厨子王丸』を観た。演出(監督)は藪下泰司と芹川有吾で、昭和三十六年(1961)の作品。

 清廉潔白な岩本判官(声:宇佐美淳也)が罪に陥れられた。その妻・八汐(声:山田五十鈴)と子の安寿(声:佐久間良子)と厨子王丸(声:住田知仁〔風間杜夫〕)も人買いにだまされて別れ別れになり、子供らは山椒大夫(声:東野英治郎)に売られてしまう。その後、山椒大夫のもとから逃れて成長し陸奥守となった厨子王(声:北大路欣也)は母を捜す。

 言うまでもなく森鴎外によって小説化され有名になった『山椒大夫』のアニメ化。原作として森鴎外の名が挙げられている(脚本:田中澄江)。
 「東映十周年」を記念して作られたアニメで、声優たちに実写の俳優たちを並べ(上記以外に山村聡・平幹二朗・三島雅夫など)、非常な豪華キャストになっている。さすがにこれほどの大物たちだと、まだ若い佐久間良子と北大路欣也を除けば声優としても違和感が薄い。厨子王が子役時代の風間杜夫というのにも驚いた。
 作画は日本画的な背景(美術:鳥居塚誠一/背景:浦田又治・横井三郎・千葉秀雄)とキャラクターデザインで、今の目で観てもある意味あきれてしまうほどハイクオリティで美しい映像が続く。派手さを抑えた色使い(色彩設計:小山礼司)と繊細な描線は文句のつけようがない。どれほど手間をかけたのだろうか。
 しかしながら、この作品は当事者とも言える元東映動画の人たち(高畑勲・宮崎駿・森やすじなど)による自己採点の点数が低く、その影響のためか現在の世間一般の評価も大変に低い。実際、『山椒大夫』の厳しさが全く影を潜めて子供向けに甘ったるく味付けされた脚本と演出には驚かされる。動物キャラの使い方が特にひどい。子供への媚とは、逆に見れば子供をなめているということで、例えるなら「ガキにはアメ玉しゃぶらせとけ」とでもいうような製作者側の安易な態度が透けて見える。
 とは言うものの、この日本画調の美しさは比類がなく終始感心させっれっぱなしで、この後の日本アニメがほとんど全て漫画的にくっきりした主線と鮮やかな色彩になり、この作品の絵柄と色合いが受け継がれなかったんのが残念に思えるほど。現在の大物アニメ作家たちが批判しているので世評も低くなっているようだが、映像だけでもアニメ史上に残る作品だと評価しても良いのではないだろうか。(2005/11/18)

藪下泰司
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