Return to年代順邦画備忘録Top pageHOME PAGE
昭和四年(1929)
朝日は輝く あさひはかがやく
監督 溝口健二・伊奈精一
公開年 1929年
評点[評点なし]
感想
Amazon
雪夫人絵図/朝日は輝く(短縮版)
雪夫人絵図/
朝日は輝く(短縮版)

 今日は、溝口健二監督の『朝日は輝く』を観た。共同監督は伊奈精一で、昭和四年(1929)の作品。

 創業五十周年という文字が電光ニュースに輝く大阪朝日新聞社。今日も記者たちが忙しく働く中、客船オーロラ号の火災事故発生の報が飛び込んでくる。大阪朝日の記者や救護班の面々は飛行機やモーターボートを駆使して事故現場へ向う。

 創業50周年を迎えた大阪朝日新聞社が日活に製作を委嘱した宣伝映画。原版はとうに失われていたが、ロシアのゴスフィルモフォンドで発見され里帰りした作品の一本。『雪婦人絵図』のDVDに併録されているので観ることができた。
 といっても、このフィルムはオリジナル版の約四分の一の“再編集版”で、作品のドラマ部分が削ぎ落とされ新聞社のPRとなる部分のみ残されているものらしい。入江たか子主演と伝えられているものの彼女の姿は全くないほどで(もう一人の主演の中野英治の姿はあるのかな? よくわからない)、この再編集版を映画作品として評価することはできない。
 ただし、当時としては最先端の飛行機や伝書鳩を駆使した原稿輸送や植字工が鉛活字を拾って作る当時の新聞印刷のやり方など、資料的価値は高いと思う。完全版が朝日新聞社に残っていないものだろうか?(2006/09/10)

東京行進曲 とうきょうこうしんきょく
監督 溝口健二
公開年 1929年
評点[評点なし]
感想  今日は、溝口健二監督の『東京行進曲』を観た。昭和四年(1929)の作品。

 両親を失い伯父夫婦に育てられていた道代(夏川静江)は、伯父たちの窮状を知って芸者になる決心をする。芸妓“折枝”となった道代の美貌に惹かれた富豪の老人・藤本は旦那になろうとしつこく言い寄るが、藤本の息子・良樹も偶然に道代を見初めて結婚したいとまで考えるのであった……。

 雑誌連載の菊池寛原作の映画化(脚本:木村千疋男)。西条八十作詞の主題歌に合わせて作られた小唄映画でもある。現存する溝口作品の中で最も古いものの一つで大変に貴重ではあるものの、現存しているのは公開時の四分の一以下の25分ほどしかないので正当な評価を下すのは難しい。
 ただし、現在残っている版からでも、藤本良樹が高台に住み、その下に道代一家が住んでいるという露骨な対比が示すようにブルジョアとプロレタリアを対立させる傾向映画的な雰囲気があり、溝口健二が一時期社会主義的な思想に惹かれていたことは読み取れる。この作品での溝口演出はのちの“ワンシーン・ワンカット”などの特色はまだ見られず、オーソドックスなサイレント映画らしい撮り方で、出演者も大きな演技をしている。
 やはり、入江たか子が出演しているほとんどのシーンを含む大部分が残っていないのが残念だ。(2006/02/04)

沓掛時次郎 くつかけときじろう
監督 辻吉朗
公開年 1929年
評点[A’]
感想  今日は、大河内傳次郎主演の『沓掛時次郎』を観た。監督は辻吉朗で、昭和四年(1929)の作品。

 なんの縁も恨みもないが渡世の義理で六ツ田の三蔵(葛木香一)を斬った沓掛時次郎(大河内傳次郎)。三蔵の女房おきぬ(酒井米子)と息子の太郎吉(尾上助三郎)にまで刃が向けられたので時次郎は二人をかばって旅に出るが、浮世の風は冷たく……。

 何度も映画化された長谷川伸原作の最初の映画化(脚本:如月敏)で、サイレント。私が観たことのある市川雷蔵版(監督:池広一夫/昭和三十六年)と中村錦之助版(監督:加藤泰/昭和四十一年)と比べると、かなり異なる点がある。
 この作品ではまず六ツ田の三蔵が斬られる理由が描かれ、旅の途中で時次郎とおきぬが思い合っていく様子が具体的なエピソードで示されている。古い作品なのに二人が惹かれあって行くことがかなり明確に表現されているので、ちょっと驚いた。
 大河内傳次郎の、冒頭のいかにもやくざな様子から旅をするにつれて変わっていく様子の演じ分けが良く、二人に親切にする旅籠の主人夫婦(中村吉次・杉浦くに)のキャラも面白い。映像的には、序盤の時次郎VS三蔵の斬り合いでのカメラの動き方が面白い(撮影:谷本精史)。
 サイレントで1時間強の長さだが、登場人物の心の動きがわかりやすく哀感も豊かな佳作だと思う。(2005/09/12)

大学は出たけれど だいがくはでたけれど
監督 小津安二郎
公開年 1929年
評点[B]
感想
Amazon
小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
DVD-BOX
第四集

 今日は、小津安二郎監督の『大学は出たけれど』を観た。昭和四年(1929)の作品。

 時は不景気の真っ只中の昭和初期、、当時は数少なかった大学出のエリートといっても簡単に就職口は見つからなかった。そんな若者の一人である野本徹夫(高田稔)は紹介状を持って会社訪問するが、「受付係しか空きが無い」と言われて憤然として帰る。下宿に戻ると、田舎から母親(鈴木歌子)と許婚(田中絹代)が上京していた。徹夫が故郷への手紙に「就職が決まった」と書いたのを真に受けてしまったのだ。困惑する徹夫。

 小津監督のサイレント期の代表作の一つ。題名は非常に有名で流行語にもなったという。現存するのは15分程度の短縮版なので、よくまとまった小品という印象。田中絹代が本当に若い。まだちょうど二十歳だし。(2001/09/09)

昭和四年(1929)
掲示板 Return to年代順邦画備忘録Top pageHOME PAGE