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昭和九年(1934)
玄関番とお嬢さん(玄関番とお孃さん/玄關番とお孃さん) げんかんばんとおじょうさん
監督 野村浩将
公開年 1934年
評点[B]
感想  今日は、野村浩将監督の『玄関番とお嬢さん』を観た。昭和九年(1934)の作品。

 大学を卒業したのにブラブラしていたので下宿のおばさん(飯田蝶子)に追い出された此村善吉(藤井貢)。たまたま公園で助けた子供(突貫小僧、のち青木富夫)が金持ちのお坊っちゃんで、その家の玄関番として雇われることになる。しかし、坊っちゃんは暴れん坊で、姉のお嬢さん(水久保澄子)もとんでもないはねっかえりのモダンガールだった。

 『大学の若旦那』シリーズの藤井貢が蛮カラ元学生を演じている(原作・脚本:北村小松)。小津安二郎監督のサイレント作『非常線の女』ではおとなしい少女役だった水久保澄子がおてんばなモダンガールを演じているのも珍しく思った。
 内容はかなりドタバタ調で、斎藤達雄がひょろ長い体躯にチャップリンのような服装とヒゲの御前様を演じていて、吉川満子が演ずる奥方の尻に敷かれていたり、白髪頭の三太夫(坂本明)がいたりする。
 サイレントのコメディの名残を残しているような感じで、ギャグは全体にちょっとくどい。ただしその中でも、お嬢さんの戦前としては非常に過激なおてんば娘ぶりや酔った善吉が見せる鳩ポッポの珍妙な踊りは面白い。
 お嬢さんはヒステリックに暴れたりして、スリップ姿(?)を見せたり弟に服を破られたり、さらには偶然とはいえ善吉に抱きつかれたりして、かなり思い切った姿を見せる。昭和九年の段階ではここまで許されていたとは、ちょっと驚いた。昭和八年が戦前日本の全盛期という説があるが、確かに日中戦争が始まる前までは文化の爛熟期にあったようだ。(2005/04/27)

隣の八重ちゃん となりのやえちゃん
監督 島津保次郎
公開年 1934年
評点[A’]
感想  今日は、島津保次郎監督の『隣の八重ちゃん』を観た。昭和九年(1934)の作品。

 女学生の服部八重子(逢初夢子)は、父と母(飯田蝶子)と郊外の家で三人暮らし。お隣の新海家とは家族ぐるみの付き合いをしていて、特に帝大生の長男・恵太郎(大日向傳)と仲が良かった。ある日、姉の京子(岡田嘉子)が嫁ぎ先から帰ってきて、恵太郎に興味を示すので、八重子は気が気でなく……。

 島津監督の代表作とされる作品。原作・脚色も島津保次郎となっている。また、助監督の中に豊田四郎・吉村公三郎、撮影助手の中に木下恵介が名を連ねていて、結果として超豪華スタッフの作品となっている。
 近所付き合いも本当に家族同様で、お隣で酒を飲んだり平気で上がりこんで食事させてもらったりするのは、今ではちょっと考えられない。もちろん、理想化された世界が描かれているのだとは思うが、当時は全く無いことでもなかったのだろう。
 松竹蒲田調の小市民映画と言われているが、実に自然な演技と演出で作り物くささがほとんど無いのにはちょっと驚いた。大日向傳も逢初夢子も、“熱演”とは異なる種類の上手さがある。島津監督の作品は初めてだけど、島津作品は皆こういう演出と作風なのだろうか。(2002/04/15)

水戸黄門 来国次の巻(水戸黄門 来國次の卷) みとこうもんらいくにつぐのまき
監督 荒井良平
公開年 1934年
評点[A’]
感想  NHK衛星で放映された『水戸黄門 来国次の巻』を録画して観たっす。昭和九年(1934)年の作品だというから、相当古い。原作は大佛次郎で脚色は山中貞雄。あの天才映画監督による脚本か。主演は大河内傳(伝)次郎。
 これは無声映画だが(弁士は澤登翠)、サイレント特有のスラップスティックが楽しい。なぜトーキーになるとスラップスティックコメディが成り立たなくなるのか不思議だなぁ。この水戸黄門は、すぐに正体がばれてしまうのが笑える。もちろん印籠は無し。
 チャンバラ&追っかけのいいところで終わったと思ったら、明日放映の『密書の巻』に続く、だって。昔の映画って、こんなんだったんだろうか。一週間ごとに新しいのが上映されたそうだから。(2000/07/24)

浮草物語 うきくさものがたり
監督 小津安二郎
公開年 1934年
評点[A’]
感想
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第三集

 今日は、小津安二郎監督の『浮草物語』を観た。昭和九年(1934)の作品。

 喜八(坂本武)率いる旅回りの劇団“市川喜八一座”が信州の町にやってきた。彼は、なぜかある小料理屋にしげしげと通った、実は、そこの息子の信吉(三井秀男)は店の“かあやん”(飯田蝶子)と喜八との間の子だったのだ。喜八の今の女房で、一座の看板女優の おたか(八雲理恵子)は、それに感づいてしまう。

 小津監督のサイレント作の中でも完成度が高く、昭和三十四年に『浮草』としてリメイクされた。このオリジナルの『浮草物語』の方が完成度が高い、とする説もあるが、個人的には『浮草』の中村鴈治郎と京マチ子の迫力や、宮川一夫撮影の鮮やかなカラー映像が忘れがたい。しかし、主人公が通う小料理屋の親子は、飯田蝶子と三井秀男の方が『浮草』の杉村春子と川口浩よりも朴訥な感じがして良かったと思う。(2001/09/17)

昭和九年(1934)
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