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昭和十九年(1944)

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狼火は上海に揚る のろしはしゃんはいにあがる
監督 稲垣浩
公開年 1944年
評点[B]
感想  今日は、阪東妻三郎主演の『狼火は上海に揚る』を観た。監督は稲垣浩で、昭和十九年(1944)の作品。

 文久三年(1963)、上海に入港した日本初の交易船には、幕府の役人らと共に長州藩士・高杉晋作(阪東妻三郎)、薩摩藩士・五代才助(月形龍之介)、佐賀藩士・中牟田倉之助(石黒達也)の三人の若者が乗っていた。高杉晋作は、ふとしたことから太平天国軍の指導者の一人である沈翼周(梅憙)と親しくなり、アジアを支配しようとする英米の陰謀を知る。

 大映と“中華電影公司”との共同制作ということになっていて、監督として稲垣浩と岳楓・胡心靈という名が並ぶ(脚本:八尋不二)。満州に侵入したソ連軍によって接収され、近年ロシアから里帰りしたフィルム。
 「アジア諸国が協力して米英を追い出そう」というメッセージを伝えるための国策映画。しかし、高杉晋作にしてはちょっとオッサン臭いが、阪妻がいつもながらの熱演。そして、重要な役を演じた梅憙という中国人俳優もなかなかの好演で、力強い映像(撮影:青島順一郎)ともあいまって、作品として充分に成立していると思う。沈翼周というキャラと高杉晋作の交流を中心に据えた脚本が巧み。
 モブシーンに迫力があり、ラスト近くの日本のサムライ(阪妻)が中国の荒野を放浪する場面も、なんだか面白い。

 冒頭の一巻が欠落しているらしいが、字幕説明で補足されているので、わかりづらくはない。戦時中の作品としてはかなり画質が良い。音質は所々今ひとつ。中国語の会話場面では字幕が入っているが、かなり見づらいところがある。特に見づらいところではNHKが上から新たに字幕を重ねて入れているが、全編そうしても良かったと思う。(2003/08/07)

宮本武蔵(宮本武藏) みやもとむさし
監督 溝口健二
公開年 1944年
評点[C]
感想  溝口健二監督の『宮本武蔵』を観た。昭和十九年(1944)年の作品。戦争末期の、55分ほどの小品。

 父の仇を討とうとする野々宮信夫(田中絹代)と野々宮源一郎(生島喜五郎)姉弟に剣の教えを乞われる宮本武蔵(河原崎長十郎)。兵法(剣法)は私怨のために用いるものではない、と言って一度は断るが、そこに佐々木小次郎(中村翫右衛門)がからんできて…。
 この作品の原作は有名な吉川英治の小説ではなく、菊池寛の新聞連載小説。なので、武蔵が仇討ちの助けをするという話になっている。しかし、武蔵が剣は私怨を果たすために使うものでないと言っておきながら、小次郎が源一郎を殺したと知ると、兵法者が強い者と戦うのは当然で私怨ではないと言って小次郎を追ったり、ちょっと不条理なところもある。巌流島での立ち回りも、なんだかチョット笑ってしまうかも。
 溝口健二も、戦時中は生活のために剣術映画を撮らされて苦労したんだなぁ(笑)。(2000/09/09)

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昭和十九年(1944)
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