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昭和二十四年(1949)

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晩春 ばんしゅん
監督 小津安二郎
公開年 1949年
評点[A]
感想
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晩春
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小津安二郎 DVD-BOX 第二集
小津安二郎
DVD-BOX
第二集

 今日は小津安二郎監督の『晩春』を観たっす。父一人娘一人で、娘が婚期を逸しかけているのを心配する父親。例によって笠智衆&原節子の組み合わせ。

 昭和二十四年(1949)の作品だから、さすがに画質音質とも鑑賞に不都合ないレベルになっている。しかし、当時27歳で結婚してないと行き遅れ(イヤな言葉だが)扱いされたのかなぁ。それと、この年代にしては主人公たちはプチブルっぽい何不自由ない生活をしていたが、これは当時の観客に夢を見せるためなのだろうか。
 戦前の女性は十代で結婚するのが当たり前だったが、戦中戦後は多くの男性が出征・戦死したから婚期は相当遅くなったと思われるけど、昭和二十年代で27歳というのは…現在なら27歳でも適齢期中の適齢期だな(笑)。
 この27歳の女性も、生きているとすれば今年で78歳の立派な婆さんか!昭和は遠くなりにけり…。父親は56歳という設定だったから、今年107歳か。さすがにこれは日本でも数人しかいないような年齢だ…。
 それにしても、笠智衆が実年齢(まだ40代だった)よりも枯れた感じの人で本当に良かった。娘の結婚前、最後に2人で旅行して旅館の一つ部屋に泊まるシーンでは、原節子がむやみに色っぽいので、あぶらぎった雰囲気のおやじだったら大変なことになっていました(爆)。

 全体にイイ雰囲気の作品だ。ただし、私個人的にはもうちっとドラマがあっても良かったかも、とも思った。やっぱり長く感じたし。すぐ居眠りするタイプの人が観るときは、前日は早寝をしておくこと(笑)。(2000/04/10)

忘れられた子等 わすれられたこら
監督 稲垣浩
公開年 1949年
評点[A’]
感想  今日は、稲垣浩監督の『忘れられた子等』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 新任教師の谷村(堀雄二)は、精神薄弱児(現在では“精神遅滞児”)を集めた特別学級を受け持つよう校長(笠智衆)に命ぜられてショックを受ける。最初は約束の2年が早く過ぎるよう指折り勘定していたが、次第に知能の低い子供たちの中に潜む人間性に気づいていく。

 前年の『手をつなぐ子等』と同じ原作者(田中一二)による原作の映画化(脚本:稲垣浩)。
 前作では最初から主人公の先生が精神遅滞児の教育に問題意識を持っていたのに対し、この作品は新任教師が主人公であることが大きく異なる。そのため、児童への接し方が最初はいいかげんで馬鹿にしたような態度なので現在人が見るとちょっと眼を見張るが、これが当時の実情を反映していたのだろう。
 児童の方も様々なエピソードによって、一くくりに“阿呆”(舞台は京都の小学校)と言われていた精神遅滞児を各々個性豊かな子供たちとして描いている。稲垣浩監督による子供の動かし方は相変わらず生き生きしていて、イベントシーン(夢の中の運動会や学芸会の練習)の盛り上げ方もいつもながら見事だった。
 ただ、上記のように前作よりもリアルな面があるが、生徒の成長に加えて教師も成長するという要素が加わったため“いい話”が盛りだくさんになり、作り物的な感じは前作より増したような気がした。これは清水宏監督の『蜂の巣の子供たち』とその続編でも感じたことで、ドキュメンタリータッチの傑作映画の続編を作ることには難しさがあるのだろう。
 しかし、『手をつなぐ子等』と清水監督の一連の作品と同様に、子供たちを“かわいそうな存在”としていないことや指導者側を正義の味方的に描いていない点は好ましく、後味は悪くない。今から観るとあまりに牧歌的に見えるかもしれないが、現在でも作品の価値は消えてはいないと思う。(2005/05/10)

野良犬 のらいぬ
監督 黒澤明
公開年 1949年
評点[A’]
感想
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野良犬
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黒澤明
黒澤明 :
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 今日は、黒澤明監督の『野良犬』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 若い村上刑事(三船敏郎)が満員のバスの中で拳銃をすられた。さっそくその拳銃を使った事件が発生し、村上は一人で解決しようとあせるが上手くいかない。ベテランの佐藤刑事(志村喬)の助けによって遊佐(木村功)という男が浮かび上がり、二人は彼を追う。

 黒澤監督の前作『酔いどれ天使』の主演者が再び共演。前作で黒澤作品初出演の三船敏郎の人気が高かったので、主役と共演者の位置が逆転している。オープニングの、題名そのまんまの犬の顔のアップからして、日本の夏の暑苦しさを十二分に表現した作品。夏を舞台にした映画は多いけれども、特にこの作品の中の暑さは傑出していると思う。
 登場人物は黒澤お得意の類型的なキャラクター造りだが、ストーリーと俳優のイメージ双方に合っていて、違和感は無い。黒澤流のわかりやすい絵作りも、サスペンス的な緊迫感を盛り上げている。電話越しに向こう側で起こった事件を知る演出は、編集が秀逸だと思った。もうろく爺ィを演じさせたら、高堂国典の右に出るものなし。
 ただ、遊佐の情婦(淡路恵子)がドレスを着て「楽しいわ! 楽しいわ!」とグルグル回って踊るシーンは、唖然というか爆笑ものというか……。(2002/09/04)

女殺し油地獄 おんなごろしあぶらじごく
監督 野淵昶
公開年 1949年
評点[B]
感想  今日は、野淵昶監督の『女殺し油地獄』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 豊島屋(志村喬)の娘お吉(日高澄子)と好き合っていた大坂の商人・河内屋与兵衛(阪東好太郎)は、幕府の貨幣改鋳を批判して大坂から追放される。母おわさ(浦辺粂子)や義兄の和泉屋太兵衛(月形龍之介)は彼を案じて田舎でおとなしくしているよう諭すが、与兵衛はお吉を忘れられない。

 幾度も映画化されている近松門左衛門の『女殺油地獄』が原作ということになっている。しかし、題名とクライマックスのシーンを借りただけで、ほとんど野淵昶のオリジナル脚本に近い。
 宮川一夫の撮影はローキーと言うのだろうか、基調は暗くドキュメンタリータッチという感じ。特に夜間の室内は江戸時代の行燈やろうそくの明かりらしさを出しているが、時には大胆なシルエット処理をしていて面白い。監督の方針だろうか、映像に加えて演出や演技も様式的ではなく全体にリアルタッチになっている。
 近松ものという先入観をもって観始めると予想を裏切られるユニークな作品で一見の価値はあるかも。上田吉二郎や加東大介が演ずるオリジナルの脇役たちもいい味を出している。
 ただし、登場人物の何人かは江戸時代ではなく近代人のようだし、主人公の与兵衛の性格がどうにも魅力がない。その上、ラストシーンはいささかずっこける。同監督の『滝の白糸』もそうだったが、監督の意向なのか会社(大映)側の要請なのか……?(2006/01/19)

小原庄助さん おはらしょうすけさん
監督 清水宏
公開年 1949年
評点[A’]
感想  今日は、清水宏監督の『小原庄助さん』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 ある村一番の旧家の主である杉本左平太(大河内傳次郎)は、朝湯朝酒が大好きで村の人が求めるだけ寄付に応じたりしてきた。しかし、そんな生活がいつまでも続けられるはずもなく……。

 会津地方の民謡で有名な小原庄助を基にして創作された作品(脚本:清水宏・岸松雄)。 鷹揚な旦那といった感じの主人公を巡る小事件と、彼の家が傾いていく様子が描かれている。
 田舎が舞台だからというわけではないだろうが、テンポが大変ゆるやかで、1時間半ほどの上映時間の割りに長く感じた。杉本家のある村の変化を描いて、戦後日本の社会を描こうとしたのだろうか。
 ただ、ラストのエンドタイトルは意表を突かれた。清水監督のいたずら心だろうか、人を食っていて面白い。(2003/08/16)

破れ太鼓 やぶれだいこ
監督 木下恵介
公開年 1949年
評点[A]
感想
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木下惠介 DVD-BOX 第2集
木下惠介 DVD-BOX 2
カルメン故郷に帰る

肖像
破戒
お嬢さん乾杯
四谷怪談(前後篇)
破れ太鼓
婚約指環

 今日は、木下恵介監督の『破れ太鼓』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 一代で土建業を築き上げた津田軍平(阪東妻三郎)は、時代錯誤的な雷親父だった。時代の変化の中、彼のおかげで豊かな暮らしをさせてもらっていた家族たちも、ついに離反し始める。

 戦後民主社会における家父長制度の崩壊を描いた作品だと言われている。しかし、妻(村瀬幸子)は別として、4人の息子(上から太郎=森雅之/平二=木下忠司/又三郎=大泉滉/四郎=大塚正義)も2人の娘たち(上から秋子=小林トシ子/春子=桂木洋子)も、誇張が加えられているとはいえ今から観ると自分勝手に見え、父親が一番マトモな人間のように思えて共感してしまった(笑)。
 秋子の恋人の野中茂樹(宇野重吉)とその両親(滝沢修・東山千栄子)の芸術家一家も、時代を考えると非現実的。三人ともまだ映画慣れしていなかったのか、演技が舞台的な感じ。
 演出は、全体にデフォルメされた演技で、途中まではドタバタしている印象が強かった。しかし、後半は阪妻の演ずる父親像に涙…実に素晴らしい。やはり男は阪妻だ。(2001/02/24)

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昭和二十四年(1949)
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