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昭和二十八年(1953)

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次郎長三国志 第二部 次郎長初旅 じろちょうさんごくしだいにぶじろちょうはつたび
監督 マキノ雅弘
公開年 1953年
評点[A]
感想  今日は、マキノ雅弘監督の『次郎長三国志 次郎長初旅』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 清水の次郎長(小堀明男)は、喧嘩を仲裁したことから、お上に追われる身となってしまい、お蝶(若山セツ子)との婚礼の式を挙げたその足で旅に出る。旅先では兄弟分の佐太郎(堺左千夫)のところに世話になるつもりで飛んだ目に逢ったり、偶然出会った若い渡世人の仙右衛門(石井一雄 )のために喧嘩をするハメになったり、様々な出来事が起こる。

 村上元三原作の映画化シリーズ第二弾(脚本:村上元三・松浦健郎)。第一作はプロローグ的だったが、第二作は二つのエピソードで次郎長一家が動き回って楽しい。この作品では次郎長も貫禄を見せている。一家が裸道中をやらかすところなど笑える、任侠映画というより青春群像ドラマのような明るい雰囲気の作品。(2002/10/13)

夫婦 ふうふ
監督 成瀬巳喜男
公開年 1953年
評点[A’]
感想  今日は、成瀬巳喜男監督の『夫婦』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 転勤で東京に出てきた中原伊作(上原謙)・菊子(杉葉子)夫妻は家がなかなか見つからず、伊作の会社の同僚・武村良太(三国連太郎)が妻を失って一人暮らしになったばかりなので、彼の家に間借りすることになる。倦怠を覚えていた夫婦にとって良太の存在は何かと新鮮で、菊子と伊作の仲は微妙になる。

 成瀬監督の夫婦ものの一作。『青い山脈』の杉葉子が、若いが所帯じみている妻を好演していて、これはちょっと意外だった。上原謙も、同じ成瀬監督の『めし』『山の音』と同様に、かったるい感じのサラリーマンそのものの姿になりきっていた。
 平凡な夫婦たちの暮らしが実に淡々と描かれ、その中でも小事件が起こって人々の心をかき乱しはするものの、やはり日々は変わらず流れていく。人生とは退屈に耐えなければならないということなのか。しかし、はたから見るとつまらないことで当事者の心が乱されたりいらだったりする様子が上手く表現されているのは成瀬監督の手腕か。ただ、疲れているときに観ると眠くなっちゃうかも(笑)。
 菊子の妹として岡田茉莉子、兄として小林桂樹、父として藤原釜足が出演。(2003/05/24))

加賀騒動 かがそうどう
監督 佐伯清
公開年 1953年
評点[A’]
感想  今日は、佐伯清監督の『加賀騒動』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 加賀前田家の家臣・大槻伝蔵(大友柳太朗)は茶坊主あがりの軽輩だったが、江戸の大火事の夜に加賀火消しと定火消し(旗本火消し)・町火消しの三つ巴の争いを鎮めたことから藩主・前田吉徳(三島雅夫)の目にとまり、好いていた商家の娘お貞(東恵美子)を藩主のそばに上がらせたこともあって、一気に栄達を始める。しかし、家老・本田安房守(薄田研二)らごくわずかな理解者を除いて、国家老・前田土佐守(千田是也)や元上司の奥村長左衛門(加藤嘉)など、家中のほとんどは大槻を白眼視した。

 原作は村上元三(脚本:橋本忍)。歌舞伎や講談などで有名な“加賀騒動”を映画化。この作品では、芝居などでは悪役とされる大槻を、前田家中の勢力争いの犠牲となった悲劇の主人公として描いている。
 娯楽性を配慮したのか映画の時間の都合か、大槻が主導した加賀前田家の内政改革などにはほとんど触れられず、加賀騒動の要素を全て男女関係に還元してしまっているのは少々物足りない。ただし、大友柳太朗は出世の鬼と化した男の孤独を表現していたし、大友に好意的な側の本田安房守や元同輩の山村善右衛門(東野英治郎)・中間の又介(稲葉義男)らが丹念に描き込まれていて印象的。また、終盤の立ち回りの執拗な描写とラストシーンが良いので、全体として佳作という印象。
 映像的には、三木滋人の撮影によるソフトな白黒画面が美しく、説明的というか、状況を映像で説明する絵作りが上手い。(2002/12/31)

やっさもっさ(やつさもつさ) やっさもっさ
監督 渋谷実
公開年 1953年
評点[A’]
感想  今日は、渋谷実監督の『やっさもっさ』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 志村亮子(淡島千景)は、横浜で富豪の福田嘉代(東山千栄子)が主宰する混血孤児収容施設を理事として取り仕切っている。彼女は戦争のため腑抜けになった夫の四方吉(小澤栄、のち小澤英太郎)に飽き足らず仕事に熱中するが、寄付を求めに行った外国人実業家のドゥヴアル(ボッブ・ブース)に好意を寄せられる。一方、施設には収容児の一人トム(佐藤トシカズ)の母バズーカお時(倉田マユミ)がしつこく面会を求めてくる。

 渋谷監督による『てんやわんや』と『自由学校』に続く獅子文六原作の映画化(脚本:斎藤良輔)。前2作と主演俳優の何人かが共通しており、だらしない男と活発な女という戦後の風潮を反映したキャラクター設定も似ている。ただし、淡島千景の役柄は『てんやわんや』『自由学校』の“アプレ娘”から大きく変わっているが。
 この作品は、米軍人とパンパン(売春婦)・オンリー(現地妻)との間に生まれた混血児(冒頭では“占領児”とも呼称)問題というテーマが絡むため、前2作よりはシリアスな雰囲気になっている。しかしながら、社会派映画っぽくなっているわけではなく、登場人物には適度な戯画化が施されたりストーリーにドラマ性もあって楽しめるようになっているのが渋谷実の上手いところか(原作のおかげでもあるかもしれないが)。
 喜劇性は薄いが、多くのメインキャストがよく動いて最後に大きな盛り上がりが来るという渋谷演出らしさを観られる作品。(2005/06/26)

雨月物語 うげつものがたり
監督 溝口健二
公開年 1953年
評点[超A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954
溝口健二
大映作品集Vol.1
『お遊さま』
『雨月物語』
『祇園囃子』
『山椒大夫』
『噂の女』

 今日は、溝口健二監督の『雨月物語』放映の日!この作品が産まれた昭和二十八年(1953)年には小津安二郎の『東京物語』も作られ、日本映画最良の年でありました。

 戦国時代に生きる、源十郎(森雅之)と宮木(田中絹代)・藤兵衛(小澤榮、のちの小沢栄太郎)と阿濱(水戸光子)たち二組の夫婦。陶器を焼いて金儲けを企む源十郎と侍になって出世することを夢見る藤兵衛。その二人と彼らの妻たちを待ち受ける運命。

 やはり見事としか言いようのない作品。森雅之と田中絹代は、さすが上手い。源十郎が家に帰ってくるシーンは最高だ。源十郎を惑わす魔性の美女・若狭を演じた京マチ子もハマリ役。
 ただ、個人的には最後のモノローグが少々くどいように思うのだが…。(2000/12/18改稿)

地獄太鼓 じごくだいこ
監督 荒井良平
公開年 1953年
評点[B]
感想  今日は、大河内傳次郎主演の『地獄太鼓』を観た。監督は荒井良平で、昭和二十八年(1953)の作品。

 五代将軍綱吉(市川男女之助)は待望の跡継ぎ国松が生まれて大喜びしていた。国松を生んだのは筆頭老中・柳原甲斐守(市川小太夫)が推挙した側室お照の方(霧立のぼる)である。その頃、水戸の西山荘の畑を耕す光圀公(大河内傳次郎)を何者かの矢が襲う。

 戦前の作品が多い荒川良平がこれまた戦前派の監督・脚本家だった(戦後作もあるが)井上金太郎の原作を映画化(脚本:民門敏雄)。
 戦前から演じているだけあって大河内傳次郎の黄門は板についていて、普段のとぼけぶりと悪役を一喝するときの迫力との対比が良い。ストーリーは意外性に欠けるし、スリの長次(坂東好太郎)や飴売りの辰三(鶴田六郎)と言った長屋の住人のキャラクターと演技はちょっと類型的で昭和二十八年の映画としては少々古い気がしないでもないが、監督・原作が戦前派ならではの戦前映画っぽい暖かさがあり、古い時代劇映画ファンには好ましい作品だと思う。
 作中登場する江戸観光ガイド(?)の娘を演ずる久保幸江と飴屋の鶴田六郎が唄う歌が面白い。両者ともコロムビア所属の歌手らしい。(2006/03/12)

プーサン ぷうさん
監督 市川崑
公開年 1953年
評点[C]
感想  今日は、市川崑監督の『プーサン』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 補習学校(現在の予備校)で数学を教えている中年男の野呂(伊藤雄之助)は要領が悪く、やることなすこと上手くいかない。しかしそれでも、なんとかして生きて行くしかないのだ。

 原作は横山泰三の風刺マンガ『プーサン』ということになっているが、題名と僅かなアイデアを借りただけで、ほとんどオリジナルらしい。しかし、横山泰三のマンガが映画化されるほど人気があったとは隔世の感だ。今では『サルまん』のネタにされるくらいなのに。今の有名予備校の講師は高給取りで華やかな面もあるが、かつては冴えない職業の代表だったらしい。
 この作品は戦後の日本を諷刺して評価を受けたらしいが、個人的には全く好きにはなれなかった。諷刺といっても、人間の卑しく弱い面ばかりをクローズアップしただけで、ユーモアが感じられない。当時の観客は笑えたのかなぁ…。カリカチュアライズとはいうものの、人間の醜いところを大写しにして否定するだけなのは、傲慢だとさえ思った。
 当時はこういうものが求められたのだろうか。でも、現在の私には良さがわからなかった。時代に密着した作品なので、時の経過に弱い面もあるかもしれない。(2000/12/14)

もぐら横丁 もぐらよこちょう
監督 清水宏
公開年 1953年
評点[A’]
感想  今日は、清水宏監督の『もぐら横丁』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 新進作家・緒方一雄(佐野周二)と新妻の芳枝(島崎雪子)は下宿から立ち退かざるを得なくなったり子供ができたりして生活はもう大変。しかし、二人は持ち前の明るさで貧しいながらも楽しく生活していく。

 尾崎一雄の私小説数編を基に映画化した作品(脚本:吉村公三郎・清水宏)。主人公夫妻はもちろん原作者夫妻がモデルで、一緒に住むことになる伴克雄(和田孝)という若者は壇一雄、何かと主人公夫婦の世話をする早瀬稀美子(堀越節子)という女流作家は林芙美子がモデルで、その他の登場人物も実在の作家たちらしい。
 登場人物に悪人は一人もおらず、貧しい生活のはずなのに実に楽しげ。現実感に欠けるような気がしないでもないが、島崎雪子の演技は無理のない明るさを感じさせて嫌味がなく楽しく観られる。佐野周二も好演。佐野周二は戦争を経て二枚目の魅力が薄れたというのが定説だが、個人的には戦後の方が良いと思う。
 清水宏の演出は、代表作とされる作品とは異なり自然の風景も子供も出てこないが、オーソドックスで自然な絵作りに見えた。(2004/09/09)

関の弥太ッぺ(関の弥太っぺ) せきのやたっぺ
監督 田坂勝彦
公開年 1953年
評点[B]
感想  今日は、田坂勝彦監督の『関の弥太ッぺ』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 渡世人の関の弥太郎(黒川彌太郎)は、自分が斬った堺の和吉(河野秋武)に彼の娘お小夜(松島トモ子)を託され、和吉の亡妻の実家の旅籠へ預けに行った。弥太郎は渡世の仇である箱田の森介(坂東好太郎)と出会ってしまい、よく説明する暇もなく旅籠から飛び出す。十年を経て、成長したお小夜(山本富士子)が恩人を探している噂を聞いたものの、決して顔を出さぬと誓っていた弥太郎だったが……。

 サイレント時代から幾度も映画化されている長谷川伸の原作による作品(脚本:阿蘇太郎)。この作品は4本目らしい。
 生真面目そうな黒川彌太郎は義理堅い弥太郎に合っているし、子役時代の松島トモ子はやはり芸達者。しかし、それ以外のことは中村錦之助主演の『関の彌太ッぺ』(監督:山下耕作/脚本:成澤昌茂/昭和三十八年)を観た目では違和感というか物足りなく思うことが多かった。
 山下耕作版の方が弥太郎の個人的な事情を詳しく描いているため、弥太郎のお小夜に対する想いの強さが了解しやすいし、弥太郎と森介の関係も山下版の方がすんなり飲み込みやすくなっており、全体に山下版の方が現代人に受け入れやすくなっている印象。終盤の印象も悲劇的な山下版の方が圧倒的に強い。成澤昌茂の脚色と山下監督の演出は実に見事だったとあらためて思った。
 田坂版も突出したところはないものの目立った欠点もないが、全てが水準程度といった感じで、“決定版”的な山下監督版と比較されては分が悪いかも。しかし、田坂版は股旅物らしい旅情では山下監督版より勝っていると思う。また、山下版は演出がウェットすぎるのが欠点といえば欠点で、湿っぽいのが苦手な人には田坂版の方が受け入れやすいかもしれない。(2005/10/30)

次郎長三国志 第三部 次郎長と石松 じろちょうさんごくしだいさんぶじろちょうといしまつ
監督 マキノ雅弘
公開年 1953年
評点[A]
感想  今日は、マキノ雅弘監督の『次郎長三国志 次郎長と石松』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 前作で偶然出会って旅を共にしていた次郎長(小堀明男)と石松(森繁久彌)は、いったん別れて別の道を進む。正直の上に馬鹿がつく石松は、若い三五郎(小泉博)や女バクチ打ちのお仲(久慈あさみ)に騙されてばかり。一方、次郎長一家は旅先で世話になっていた親分の身代わりで牢屋に入ってしまう。

 村上元三原作(構成:小国英雄/脚本:松浦健郎)の『次郎長三国志』第三弾。前作では顔出し程度だった石松が主役となっている。石松と次郎長一家のエピソードが完全に別々になってしまっているが、それぞれ面白いので問題なし。
 森繁は石松という良い意味でバカな男を巧みに演じているし、牢内での次郎長一家も息がピッタリで、観ていて楽しい。今後、石松と次郎長一家が一緒になる続編を期待させられる作品。
 しかし、戦前のスターだった小杉義男がドリフのコントみたいなメイクの牢名主を演じていたのには、あららと思った(笑)。(2002/10/19)

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