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昭和二十九年(1954)

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春琴物語 しゅんきんものがたり
監督 伊藤大輔
公開年 1954年
評点[C]
感想  今日は、伊藤大輔監督の『春琴物語』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 明治初期、大阪の大きな薬種問屋の次女・春琴(京マチ子)は、幼時に視力を失ってから琴・三味線の道に打ち込み、師匠から名をもらうほどだった。誇り高く気難しい彼女は、店の奉公人だった佐助(花柳喜章)にだけ身の回りの世話をさせていた。

 谷崎潤一郎『春琴抄』の二度目の映画化。まだ三度目の山口百恵&三浦友和版しか観ていないので、それと比べると、この『春琴物語』はかなりオリジナル要素が多いような印象を受ける。琴の道でのライバル心を抱くキャラ(杉村春子)が増やされて、大店の若旦那(船越英二)が春琴に言い寄るエピソードの伏線になっている。
 脚本(八尋不二)も演出も全体的にわかりやすくしようと心がけているようだが、やり過ぎで観客の想像の余地を残しておいた方が良かったと思う。京マチ子は非常に美しいし(ちょっと付けマツゲが長いけど)、生真面目そうな花柳喜章は佐助に合っていたが。エピローグ部分も蛇足。
 映像(撮影:山崎安一郎)は、伊藤大輔らしく所々かなり凝った撮り方がされていたし、京マチ子を撮った屋外の露出オーバー気味の映像は、確かに若旦那が見とれるほど京マチ子の整った顔立ちが強調されていた。(2004/05/02)

次郎長三国志 第九部 荒神山・前編 じろちょうさんごくしだいきゅうぶこうじんやまぜんぺん
監督 マキノ雅弘
公開年 1954年
評点[C]
感想  今日は、マキノ雅弘監督の『次郎長三国志 荒神山・前編』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 石松の敵を討とうとして失敗し、あまつさえ付け火の濡れ衣を着せられて山の中を逃げ回る、大政(河津清三郎)以下の次郎長の子分たち。一方、次郎長は子分たちが放火の疑いをかけられているので、吉良の仁吉(若原雅夫)の婚礼に表立って顔を出すことはできず、陰ながら祝いを言いに来ていた。そこへ子分たちが現れるが……。

 村上元三原作のシリーズ最終作(脚本:橋本忍)。マキノ監督は本当は前作の『海道一の暴れん坊』で終わりにする予定だったが、前作の大ヒットによってこの第9作目が作られ、後編は作られなかったという。
 そのためもあってか、半分以上が次郎長一家が山にこもってゴタゴタやっているシーンで、終わり方も非常に中途半端。これまでの作品に比べると、楽しめる部分が少なかったような気がする。次郎長一家を演じている俳優たちは皆うまいのだが……。(2002/11/30)

花の白虎隊 はなのびゃっこたい
監督 田坂勝彦
公開年 1954年
評点[B]
感想  今日は、市川雷蔵主演の『花の白虎隊』を観た。監督は田坂勝彦で、昭和二十九年(1954)の作品。

 明治元年。徳川側の孤塁を守る会津藩に薩長ほか朝廷側の軍勢が押し寄せてきた。藩校「日新館」の教官・布施(三田隆)は閉校を告げ、そこで学んでいた婚約者のいる篠原準之助(市川雷蔵)・学問好きの池上仙吉(花柳武始)・病の老父と暮らす小林八十次郎(勝新太郎)ら16〜17歳の少年で編成された白虎隊も出陣し、帰ることはなかったのであった。

 のちに大スターとなった市川雷蔵と勝新太郎のデビュー作として有名な作品(脚本:八尋不二)。もう一人、新派の花柳章太郎の次男である花柳武始もデビューして話題となり、役柄やオープニングタイトルの扱いでは勝新より上だったが、花柳の映画出演はこの作品を含めてわずか3本ほどだったらしい。雷蔵たちの演技にはさすがに若さを感じられるが、それがかえって身を捨てて会津に殉ずる若者の哀しさを強調させて効果的かもしれない。
 また、脚本には女子供で泣かそうとするあざとさがあり、盛り上がったところで詩吟や霧島昇の歌を流す演出には疑問が残る(映画会社側の意向だったのかもしれないが)。けれども、最期まで武士として生きる若者たちの美しさには感動させられざるを得ない。やはり題材のおかげということか。(2004/12/05)

黒い潮 くろいしお
監督 山村聡
公開年 1954年
評点[B]
感想  今日は、山村聡監督の『黒い潮』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 雨が降る夏の晩、綾瀬駅近くの線路で秋山国鉄総裁(高島敏郎)の轢死体が発見された。3日前に国鉄が大量解雇を発表していたため多くのマスコミが他殺説を採る中、『毎朝新聞』社会部の速水デスク(山村聡)以下の記者たちは自殺説を固持した記事を書きつづけるが、世論は他殺説に同調し速水や山名部長(滝沢修)の立場は苦しくなる。

 昭和二十四年に連続して発生した国鉄の事件の一つである下山事件を題材にした井上靖の小説が原作(脚本:菊島隆三)。山村聡の監督第2作。
 自殺説を採った『毎日新聞』の記者をモデルにしているが、第一作の『蟹工船』がセミドキュメンタリータッチだったのに比べると、主人公の速水の過去などかなり作りこまれたドラマという感じになっている。
 山村聡に協力して滝沢修のほか千田是也・東野英治郎・芦田伸介・信欣三など演劇人が総出演の豪華キャストで皆熱演を繰り広げているが、そんな中で懐が広い感じの滝沢修が印象に残る。また、大真面目な内容と演技の中で、新聞社を訪れる政治家役の進藤英太郎が一服の清涼剤というか箸休めというか(笑)。ホント、いい味出す人だよな〜。
 脇役だった『蟹工船』と異なり主役と演出を兼ねたためか、この作品ではちょっと力みを感じたが、力作と言うことはできると思う。『蟹工船』でも『黒い潮』でも、クレジットには出ないものの有能なスタッフ陣が協力したらしいが。
 映像(撮影:横山実)はシャープだが録音は聞き取りづらいところがかなりあるのが惜しい。なぜ迫力を出そうとして人の声を割れ気味で録音しちゃうのかなぁ。(2004/06/16)

赤穂義士 あこうぎし
監督 荒井良平
公開年 1954年
評点[C]
感想  今日は、荒井良平監督の『赤穂義士』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 時は元禄十四年。浅野内匠頭(黒川弥太郎)が吉良上野介(瀬川路三郎)へ刃傷に及び切腹、浅野家は断絶。浅野家筆頭家老・大石内蔵助(進藤英太郎)のもとに集まった浅野家家臣の不破数右衛門(杉山昌三九)・岡野金右衛門(南条新太郎)・赤垣源蔵(坂東好太郎)には、それぞれの数奇な運命が待ち受けているのであった。

 おなじみ忠臣蔵もので、多くの場面で四人の浪曲師(寿々木米若・梅中軒鶯童・富士月子・玉川勝太郎)の語りが流れる浪曲映画(原作:萩原四朗/脚本:池田菁穂)。
 主な内容は不破数右衛門と病妻(三条美紀)の話・岡野金右衛門恋の絵図面取り・赤垣源蔵徳利の別れといった創作性の強いエピソードで、まさにいわゆる“浪花節的”な感じ。演出も湿っぽいというか、ちょっと定番的過ぎて一工夫欲しいような気もした。
 この作品の一番の見所は悪役の多い進藤英太郎が大石役であることかもしれない。吉良上野介役さえやっているのに(この作品の後らしいが)。月形龍之介も同じく吉良と大石を演じていて、両者とも一般的な大石のイメージとは異なる底の知れなさを感じさせるので(観る方の先入観のせいだが)、実際の大石の雰囲気に近いのかも……なんて思ったりもする。(2005/12/18)

二十四の瞳 にじゅうしのひとみ
監督 木下恵介
公開年 1954年
評点[A]
感想
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木下恵介 DVD-BOX 1
木下恵介 DVD-BOX 1
二十四の瞳
花咲く港
生きてゐる孫六
歓呼の町
陸軍
大曾根家の朝
わが恋せし乙女
結婚
不死鳥

 今日は、木下恵介監督の『二十四の瞳』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。原作は、誰でも知ってる(よね?)壺井栄の同題作品。

 昭和三年、小豆島の岬の分教場に赴任してきた大石先生(高峰秀子)。十二人の新入生を受け持つことになり、彼らの瞳を曇らせることなく伸ばしてやりたいと願うのであった。しかし、少年と少女たちの行く手には、貧困と戦争が待ち受けていた。
 有名な原作を木下監督が完全映画化。今から観ると少々冗長に感ずるところもあり(実際156分の長尺)、登場人物がよく泣いて濡れ濡れの演出には少々困るところもあった。だが、十二人の生徒たちの運命を見ると感動せざるを得ない。日本的センチメンタリズムの極致で、“泣かせ”にかかる作品ではこれ以上のものは無いのでは。
 二十歳過ぎから四十歳くらいまでの大石先生を演ずる高峰秀子の美しいこと。そして演技力。同僚の“男先生”は笠智衆。大石先生の夫役は、なんと天本英世で、若い頃は長身痩躯のイイ男。(2000/09/11)

忠臣蔵 花の巻・雪の巻 ちゅうしんぐらはなのまきゆきのまき
監督 大曾根辰夫
公開年 1954年
評点[B]
感想  今日は以前録画した『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』を鑑賞。先代松本幸四郎(松本白鴎)が大石内蔵助。長かった〜(3時間8分)。内容はチト古さを感じさせたが、こういうのがオーソドックスな忠臣蔵映画だったんだろうな。大石の妻りく役の山田五十鈴が松本幸四郎に負けない貫禄(?)があった。(1999/12/24)

近松物語 ちかまつものがたり
監督 溝口健二
公開年 1954年
評点[超A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.2 1954-1956
溝口健二
大映作品集Vol.2
『近松物語』
『楊貴妃』
『新・平家物語』
『赤線地帯』
「時代を越える溝口健二」
(NHKドキュメンタリー長尺版)

 先週、超久しぶりにレンタルビデオ(全て溝口健二監督作品)を借りた中から、昨日は『元禄忠臣蔵』、今日は『近松物語』と『雨月物語』を鑑賞。
 『近松物語』は、マゲがよく見えて良かった。元禄時代のマゲを堪能(笑)。長谷川一夫はカッコ良かったけど、二枚目過ぎたのかな〜。溝口監督としては。(1999/12/06)

新選組鬼隊長 しんせんぐみおにたいちょう
監督 河野寿一
公開年 1954年
評点[C]
感想
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新選組鬼隊長
新選組鬼隊長

 今日は、片岡千恵蔵主演の『新選組鬼隊長』を観た。監督は河野寿一で、昭和二十九年(1954)の作品。

 元治元年、池田屋事件で近藤勇(片岡千恵蔵)以下の新選組は多くの勤皇の浪士を斬殺。天下に名をとどろかせた。その頃から戊辰戦争に至るまでの、近藤と同志の土方歳三(原健策)・沖田総司(中村錦之助、のち萬屋錦之介)らの運命を描く。

 有名な子母沢寛の『新選組始末記』が原作ということになっている。しかしそれは一つのストーリーがある本ではないので原案という程度で、オリジナル脚本に近い(脚本:高岩肇・結束信二)。
 新選組物語を軸に近藤勇と沖田総司の恋物語を組み合わせているものの、粗筋は全ておなじみのものなので、池田屋事件から始めるのではなく、新選組が斜陽の時期を迎えた時点から描いた方がテーマを絞れたのではないか、と思った。終盤の、近藤と沖田の別れや近藤が新選組隊士たちと決別するシーンは哀切の極みなので。(2004/01/11)

山椒大夫 さんしょうだゆう
監督 溝口健二
公開年 1954年
評点[A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954
溝口健二
大映作品集Vol.1
『お遊さま』
『雨月物語』
『祇園囃子』
『山椒大夫』
『噂の女』

 溝口健二監督の『山椒大夫』を観る。あらすじを知っていたので泣くまでは行かなかったけど、えぇ話や。山椒大夫といわれてピンとこなくても、安寿と厨子王の話だと言えば誰でも知ってると思う。(1999/12/23)

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