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昭和二十九年(1954)

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初姿丑松格子 はつすがたうしまつごうし
監督 滝沢英輔
公開年 1954年
評点[A’]
感想  今日は、滝沢英輔監督の『初姿丑松格子』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 深川の料亭・川竹の板前だった丑松(島田正吾)は、そこの女中およね(島崎雪子)といい仲になり所帯を持ったのを潮に、別の料亭へ行くことになった。互いに惚れ合っていた二人だが、およねの美しさが過酷な運命を引き寄せる。

 原作は長谷川伸の『暗闇の丑松』で、舞台にもよくかかる作品(構成:橋本忍/脚本:堀江正太)。
 まず冒頭に登場する岡っ引(滝沢修)と下っ引(河野秋武)の冷たい雰囲気と取り調べの様子が現代の刑事のような雰囲気があり、その後も、人間の強い愛情が運命を左右する筋書きや登場人物の激しい感情の描写など、どことなく現代劇のような雰囲気もあるように感じた。
 丑松とおよねの間の激しい愛情は“業”と言って良いほどであり、それが悲劇を生むのだが、愛情で身を焼く丑松の姿は愚かしいと同時に、登場人物の一人がつぶやくようにそれが彼の本意であり一つの幸せでもあるように見えてしまうのは、島田正吾の熱演と演出のおかげだろうか。終始シリアスであり、やや暗い雰囲気だが、時代劇に舞台を借りた恋愛劇として良質の作品だと思う。
 滝沢修はやや固い雰囲気が岡っ引に合っていて、冒頭と終盤で姿を見せるのが効果的。丑松の知人の呑んだくれ浪人を演じた辰巳柳太郎も存在感を見せていた。(2004/02/29)

ほらふき丹次 ほらふきたんじ
監督 中川信夫
公開年 1954年
評点[B]
感想  今日は、中川信夫監督の『ほらふき丹次』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 大正末期の北海道。男やもめの丹次(藤田進)は村や町の者からホラ吹きと言われていたが、村人(小澤栄)を殺した脱獄囚(稲葉義男)を捕らえて大いに面目をほどこす。しかし、殺された村人の美しい娘はつ子(安西郷子)が丹次の家に世話になることに決まると、丹次ののんきな暮らしに変化が訪れる。

 藤田進が原作を気に入り、自ら映画化権を獲得して作られた作品だという(原作:寒川光太郎/脚本:八木隆一郎)。
 冒頭から中盤までののんびりしたエピソードや田舎町の暮らしはほのぼのしていて、本物の北海道ロケではないとは思うが田畑や森の映像も大変美しい(撮影:河崎喜久三)。そこまで観て、これはほのぼのした作品なのかな……と思っていると後半で急展開。原作がそうなのだろうが、唐突で驚かされる。人によって受け取り方は異なるとは思うけれども、私はちょっと意外に感じてしまった。中盤までの丹次のキャラクターが良かっただけに。ただし、その緊迫感は中川監督の手腕のおかげだろうか。
 東野英治郎の演ずる村の駐在所の老巡査が主人公に負けないほど大活躍したのは面白かった。(2005/06/08)

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昭和二十九年(1954)
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