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昭和三十二年(1952)

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危うし!伊達六十二万石 あやうしだてろくじゅうにまんごく
監督 山田達雄
公開年 1957年
評点[A’]
感想  今日は、嵐寛寿郎主演の『危うし!伊達六十二万石』を観た。監督は山田達雄で、昭和三十二年(1957)の作品。

 江戸時代前期、仙台藩伊達家当主の伊達綱宗(中村竜三郎)は江戸で吉原の太夫・高尾(魚住純子)に入れあげて放蕩三昧。江戸家老の原田甲斐(嵐寛寿郎)は諌めようともしない。国元では老臣の伊達安芸(高田稔)らが事を憂えて白河主殿(沼田曜一)・松前鉄之助(明智十三郎)などを江戸へ派遣するが……。

 歌舞伎の『伽羅先代萩』などの題材になっている伊達騒動を戦前の名脚本家・三村伸太郎のシナリオによって映画化。
 案外ひねりがなく、一般的に知られる伊達騒動をそのまま映画化しているが、かっちりとした演出と映像(撮影:河崎喜久三)で歌舞伎的ストーリーがリアルに映画になっているのも面白い。歌舞伎の政岡にあたる浅岡(日比野恵子)とその子(市川升丸)と若君(太田博之)が絡む“飯炊き”などのエピソードもちゃんとあり、浅岡の母親としての悲しみを示す場面は胸を打つ。
 しかし、それら以上に目を引くのは嵐寛寿郎の演ずる大悪役・原田甲斐。まさに悪の権化のような恐ろしいキャラで、他を圧倒。まさに歌舞伎的な演出の終盤の狂乱振りもすばらしい。
 新東宝製作のちょっと変な題名の作品なので、あまり期待していなかったのだが、意外な見ごたえのある佳作。(2006/02/12)

赤穂義士 あこうぎし
監督 伊賀山正光(正徳)
公開年 1957年
評点[A’]
感想  今日は、伊賀山正光監督の『赤穂義士』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 浅野内匠頭(尾上鯉之助)の刃傷による赤穂浅野家の断絶後、浅野家御用商人だった天野屋利兵衛(月形龍之介)はあらゆる艱難辛苦を乗り越えて、元浅野家家老の大石内蔵助(大河内傳次郎)以下の同志たちのために働こうとするのだった。

 浪曲師(春日井梅鴬・天津羽衣・春野百合子・松平国十郎)たちの語りが入る(浪曲構成:木村正一/作詞:吉野夫二郎)忠臣蔵ものの一本。
 この作品の三年前の大映作品と題名どころか浪曲映画という企画までそっくり。ただし、こちらは大石内蔵助以下の赤穂藩士ではなく、義商と言われる天野屋利兵衛(芝居などでは天河屋義兵衛とも)が主人公であるのが珍しい。
 天野屋の月形龍之介は思慮深い中に情熱を秘めた男を好演。彼の浅野家への忠義と家族への愛情は感動的で(脚本:尾形十三雄)、白黒の90分強で忠臣蔵映画としては小品だが、忠臣蔵外伝ものの佳作と言ってもいいかもしれない。
 また、モノクロ画面が美しく(撮影:杉田正二)、登場人物にあまり語らせたり大げさに表情を動かさせたりせず、押さえた演出も効果的になっている。(2005/12/24)

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昭和三十二年(1952)
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